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聖地巡礼か現場の下見か?

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「ちょっと待ってよぉ。アタシはこのゲームのヒロインなのよ」

何を言ってもデニスロード達は、振り向きもしない。
屈強な護衛騎士に囲まれ、身動きできないまま、彼女は入学式を欠席した。



問題児をさっさと隔離したおかげで入学式は平穏に終わった。

学院長が挨拶をし、学年トップの成績で入学したアリアが代表として挨拶をし、在校生代表としてデニスロードが祝辞を述べて解散と言う平穏な式だった。

「アリアと同じクラスになれたから、わたくしはもう満足よ」

寮に戻る道、カサンドラが嬉しそうに微笑み、アリアも笑顔で頷いた。

「カサンドラ様と同じクラスで、同じ寮。夢見たいです」

クラスの事は成績がある為、カサンドラが努力したが、寮はカレドラス侯爵家がちゃっかり圧力を掛けていたのを知らないアリアは、本当に嬉しそうに笑う。



一方、入学式の間中騎士達に隔離されていた女子生徒が屋上で、ぶつぶつ文句を言っている。

「なによ、ちょっとフライングしただけなのに。王太子とのイベントはこれからなんだから」

彼女はずっとゲーム、と言っているが彼女以外その内容は知らない。

「独占欲の塊のデニスはこの後の試験で1番になるアタシに興味を持ってくれるまで攻略出来ないのよね」

彼女は夢物語の様にぶつぶつ呟き出した。

言っている事がまとまりがない為正確なことは理解出来ないが、どうやら攻略対象は3人で、王太子のデニスロードは独占欲の塊で、ヒロインを独占する為、監禁しヒロインに自分以外のものを接触させない様にする。

2人目は騎士のレオアニスは執着心が強く、ヒロインをストーカーし、様々な恐怖を与え自分に依存させるようだ。

最後は魔術師のシオンナリス。
ヒロインを手に入れる為なら、高位の貴族子弟の暗殺も辞さない。
魔力でヒロインの魂を縛り付けるようだ。

そして此処は、その攻略対象の1人である騎士イベントの中盤辺りでカサンドラから突き落とされそうになる場所。

石造りの手摺りがあり、ちょっと怖いイベントだが、これをこなさないと騎士キャラ、レオニアスと親密度を上げられない。

「次は魔術教師のシオンナリスとのイベント場所、確認しておこっと」

そうぶつぶつ言いながら屋上から出た時、キラキラ輝く金髪の美少女とすれ違った。
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