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どうやらアホの子が誕生した様です
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アリア達が王立エセルバス学院への入学が1週間後になった時、セレナ・コール男爵令嬢が突然高熱を出し、倒れたと社交界で噂になった。
「コール男爵令嬢が」
カサンドラは真新しい制服を見ながら屋敷のサロンでお茶をアリアとしていた。
「お知り合い?」
アリアが不思議そうな顔でカサンドラを見る。
「コール男爵令嬢は光属性しか持たない珍しい方で、社交界で噂になった事があったの」
「珍しいですね。単一の属性しか持たない方も居ますが、光属性だけは聞いた事がありません」
この世界の者なら誰もが強弱関係なく魔力を持ち、5属性の中で主属性とサポートとしていくつかの属性を持つこともある。
火、水、風、土、そして光。闇属性は創造神ユリシリア以外は持つ事ができない為、人はだいたいこの五つの魔法を使っている。
アリアは主属性は風だが、勉強をしている為全ての属性魔法を使えるが、元々それ程魔力が強く無い為、多くの魔力を使う高度な魔法は1日に一度くらいしか使えない。
カサンドラは魔力が強く火属性魔法を主に使い、風と土もある程度使える。
そして光属性の魔法は、主属性として使う者も居るが単一では無い。
むしろ、ある程度の力と知識がなければ使えない魔法なので、光属性だけ、なのは珍しいのだ。
「コール男爵令嬢も今期、学院に入学されるのですか?」
「ええ、そうなの。でも」
「でも?」
「高熱の為か性格が随分変られたみたいで、男爵夫妻も戸惑っているみたい」
カサンドラがフッ、とため息を漏らす。
「高熱で性格が変わるなんて、初めて聞きました」
アリアが首を傾げる。
「元はとても体が弱く、人見知りの令嬢だったみたいだけど、目が覚めてからは……アホになったみたい」
随分な言い方だが、社交界ではかなり噂が広がっているらしい。
「……アホ?ですか」
「自分はこのゲームのヒロインで、王太子の恋人になる、と言っているみたい」
アリアもなんだか頭痛がして来た。
先日、カサンドラが正式にデニスロード殿下の婚約者に決まったばかりなのに。
「その方、何が言いたいのですか?ゲームとかヒロインとか如何いう意味で使われているのでしょうか?」
「まるっきり解らないけど、デニスロード殿下は面白いから放っておけ、と仰るのよ」
「ですが……」
それは婚約者になったカサンドラを蔑ろにしている様にも聞こえる。
「男爵家の令嬢如きが王家の決定に嘴を出すなど、家を断絶させたいのかしら?」
「子供の絵本を信じ切っている、て感じですね」
幼い子供達の読む絵本には、虐げられていた女の子が王子様と結婚する話もある。
『大人になったら王子様と結婚する』
と、夢見る子供もいたが、それは現実を知らない子供の夢であって、社交界にデビューする年になっても信じて、夢を見る者は居ない。
「学院の生活が不安です」
「あら、面白そうじゃない?」
クスッと冷たい笑みを浮かべるカサンドラは類い稀なる美少女。
家柄などを見ても、コール男爵令嬢が優るものは無いだろう。
「早く夢から覚める事を祈ります」
アリアはため息と共に小さく呟いた。
「コール男爵令嬢が」
カサンドラは真新しい制服を見ながら屋敷のサロンでお茶をアリアとしていた。
「お知り合い?」
アリアが不思議そうな顔でカサンドラを見る。
「コール男爵令嬢は光属性しか持たない珍しい方で、社交界で噂になった事があったの」
「珍しいですね。単一の属性しか持たない方も居ますが、光属性だけは聞いた事がありません」
この世界の者なら誰もが強弱関係なく魔力を持ち、5属性の中で主属性とサポートとしていくつかの属性を持つこともある。
火、水、風、土、そして光。闇属性は創造神ユリシリア以外は持つ事ができない為、人はだいたいこの五つの魔法を使っている。
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カサンドラは魔力が強く火属性魔法を主に使い、風と土もある程度使える。
そして光属性の魔法は、主属性として使う者も居るが単一では無い。
むしろ、ある程度の力と知識がなければ使えない魔法なので、光属性だけ、なのは珍しいのだ。
「コール男爵令嬢も今期、学院に入学されるのですか?」
「ええ、そうなの。でも」
「でも?」
「高熱の為か性格が随分変られたみたいで、男爵夫妻も戸惑っているみたい」
カサンドラがフッ、とため息を漏らす。
「高熱で性格が変わるなんて、初めて聞きました」
アリアが首を傾げる。
「元はとても体が弱く、人見知りの令嬢だったみたいだけど、目が覚めてからは……アホになったみたい」
随分な言い方だが、社交界ではかなり噂が広がっているらしい。
「……アホ?ですか」
「自分はこのゲームのヒロインで、王太子の恋人になる、と言っているみたい」
アリアもなんだか頭痛がして来た。
先日、カサンドラが正式にデニスロード殿下の婚約者に決まったばかりなのに。
「その方、何が言いたいのですか?ゲームとかヒロインとか如何いう意味で使われているのでしょうか?」
「まるっきり解らないけど、デニスロード殿下は面白いから放っておけ、と仰るのよ」
「ですが……」
それは婚約者になったカサンドラを蔑ろにしている様にも聞こえる。
「男爵家の令嬢如きが王家の決定に嘴を出すなど、家を断絶させたいのかしら?」
「子供の絵本を信じ切っている、て感じですね」
幼い子供達の読む絵本には、虐げられていた女の子が王子様と結婚する話もある。
『大人になったら王子様と結婚する』
と、夢見る子供もいたが、それは現実を知らない子供の夢であって、社交界にデビューする年になっても信じて、夢を見る者は居ない。
「学院の生活が不安です」
「あら、面白そうじゃない?」
クスッと冷たい笑みを浮かべるカサンドラは類い稀なる美少女。
家柄などを見ても、コール男爵令嬢が優るものは無いだろう。
「早く夢から覚める事を祈ります」
アリアはため息と共に小さく呟いた。
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