[完結]ヤンデレ・メリバは好きですか?

紅月

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さぁ、ゲームが始まる

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白い光が、彼女の魂を包み、新しい家族の下に運ぶのを見ながら、白い髪の青年は青紫の瞳を閉じた。

「ねぇ、ハナは無事に生まれ変わった?」
「勿論。で、アイツのほうはどうなった」

陽炎の様にはっきりしないが、ハナに良く似た女性が姿を現した。

「苦しんでいるみたいだよ。当然よ、ハナを殺したのだから」

怒りを滲ませる声に、青年はにやっと笑う。

「移植を阻止した様だな、ユキ」
「あんな奴にハナの心臓、移植なんてさせない。で、アイツどうするの?このまま死んで終わり?」

ユキの苛烈な怒りが心地良い。

「まさか。私の愛し子を殺して、あっさり死なせる訳など無い」

ハナは白い髪の青年の愛し子で、祝福して前世の世界に送り出したのに、彼女に嫉妬したツキの生霊に殺された。

もし、ツキがハナを大切にしていたら、ツキの病気は青年の祝福の恩恵を受け、完治したはずだが、ツキはハナに嫉妬して苦しめて来た。

ハナを守る為にユキは生まれ、大切に守っていたのに、目の前でハナがツキの生き霊に殺されるのを見た為、忘れていた使命を思い出し、青年に復讐を願った。

本来なら復讐を願った事で魂が傷付き、消滅する存在だったが、青年はハナの優しさでユキの魂を包み、消滅を防いだ。

「アイツは、ヤンデレが好きだった様だな」
「ああ、ゲームね。それが?」
「丁度、アイツがしていたゲームによく似た世界がある。其処に放り込んでやる」

怒りを滲ませる目で壮絶な笑みを浮かべた青年をユキはジッと見詰める。

「ヒロインっとやらは、病んだ男達に愛されるのだろ」
「あんな奴をヒロインにすんの」

ユキの怒りが地吹雪の様に荒れ狂う。

「まさか。病んだ男達は、愛する者以外にはどう対処するのか見ものだと思わないか?」

魂まで凍り付きそうな怒り。
青年の言いたい事がわかったユキは、フンと鼻を鳴らした。

「私はハナが幸せになるなら、あとは気にしない」
「それは問題無い。ハナは今度こそ幸せになる」
「なら、お手並拝見って感じかな」
「状況が動き出したら君が見れる様、其処に映像を送ろう」

ゲーム用のチップがユキの手の中に転がる。

「ハナの成長過程も見たいなぁ」
「心得た」

ユキはチップを握り締め、頷くとその場からスッと消えた。

「ハナ、愛しい君が幸せになる世界が待っているよ。もう、悲しませたりしない」



青年が手を広げると、何も無かった世界が色を持ち、乙女ゲームの世界の様な国が現れた。
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