【完結】お父様。私、悪役令嬢なんですって。何ですかそれって。

紅月

文字の大きさ
上 下
45 / 46

後日談 アドン編

しおりを挟む
アドン編

僕は父親の情け無い所業を知ってから、家を出て文官では無く別の仕事に着こう、と思っていた。

学園でミルフィリア様と知り合ったことから歴史学者を目指していたが、気が付けばゼウリス王太子殿下の補佐官になっていた。

「僕は卒業したら歴史学者として、いろんな国を回るつもりだったのに」

自宅で書類を片付けながらぼやくと、あの出来事から友人になったノドスやバーニスがゲラゲラ笑った。

「無理無理。仕事が出来るってバレたし、爵位も継いだんだろ」

エルフ領の伯爵配で、凄腕の調教師として有名になったノドス。

筋骨逞しく、下手な騎士より鍛えてるのだろう。がっしりした体格とおおらかな性格で、既に3人の子供の父親だ。

「そうそう。アドンは役人の方がいいって」

真っ黒に日焼けしたバーニス。

リリアン・マルケ男爵令嬢と結婚し、マルケ男爵領で作り出した生で食べられるトマトを皮切りに新しい農業を領民たちと模索し、着実に実績を上げておりそろそろ陞爵の噂が上がっているくらい有能な領主になっている。

そんな2人は、呑気にアドンを誉めていた。

人の気も知らないで。
爵位を継いだから、領民の為に貴族の仕事はするけど、アクヤクーナを調べるのは僕のライフワークなのに。

「それより、アドン。お前、今ヤバイ女に纏わりつかれているんだろ。そっちをどうにかしないと」

ノドスが言ったように、確かに僕はあの魔女みたいな女に纏わりつかれている。

「そっちは別の人が対処するから、仕事頑張れって言われている」

ゼウリス王太子殿下に相談したら、すごい笑顔で大丈夫だ、と言われたから放っているんだが。
本当に大丈夫かな?


「アタシみたいに可愛い子を嫌いな男は居ないわ、だそうです」

ゼウリスは部下の報告に、一瞬眉間に皺がよった。

「頭の中身が腐っているのは、アイツだけでは無い様だな」
「はい。余りに不快だったので、切り捨てようかと思いました」

魔女騒ぎを知っている部下は、冷え切った目をしている。

「嫌だぁ。私の大切な子に虫が付いちゃう」

突然、妖艶な美女が現れ、ゼウリスの手元にある報告書を摘んで、ざっくり読むとすぐに燃やした。

「メフレス殿」
「あら、今はフェリスよ」

金色の猫の様な目に、濃い紫色の髪の妖艶な美女は魔族の国の大公爵であるメフレス・フェリス・パズス。

本来の姿だと面倒な男達が湧くので、信頼しない者には男の姿で接していると聞いた時、ゼウリスは少なからず同情していた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

婚約破棄を要求されましたが、俺に婚約者はいませんよ?

紅葉ももな(くれはももな)
恋愛
長い外国留学から帰ってきたラオウは、突然婚約破棄を要求されました。 はい?俺に婚約者はいませんけど?  そんな彼が幸せになるまでのお話。

もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」 婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。 もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。 ……え? いまさら何ですか? 殿下。 そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね? もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。 だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。 これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。 ※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。    他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。

婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣国へ行きますね

ルーシャオ
恋愛
アンカーソン伯爵家令嬢メリッサはテイト公爵家後継のヒューバートから婚約破棄を言い渡される。幼い頃妹ライラをかばってできたあざを指して「失せろ、その顔が治ってから出直してこい」と言い放たれ、挙句にはヒューバートはライラと婚約することに。 失意のメリッサは王立寄宿学校の教師マギニスの言葉に支えられ、一人で生きていくことを決断。エミーと名前を変え、隣国アスタニア帝国に渡って書籍商になる。するとあるとき、ジーベルン子爵アレクシスと出会う。ひょんなことでアレクシスに顔のあざを見られ——。

【完結】『妹の結婚の邪魔になる』と家族に殺されかけた妖精の愛し子の令嬢は、森の奥で引きこもり魔術師と出会いました。

蜜柑
恋愛
メリルはアジュール王国侯爵家の長女。幼いころから妖精の声が聞こえるということで、家族から気味悪がられ、屋敷から出ずにひっそりと暮らしていた。しかし、花の妖精の異名を持つ美しい妹アネッサが王太子と婚約したことで、両親はメリルを一族の恥と思い、人知れず殺そうとした。 妖精たちの助けで屋敷を出たメリルは、時間の止まったような不思議な森の奥の一軒家で暮らす魔術師のアルヴィンと出会い、一緒に暮らすことになった。

【完結】王子と結婚するには本人も家族も覚悟が必要です

宇水涼麻
ファンタジー
王城の素晴らしい庭園でお茶をする五人。 若い二人と壮年のおデブ紳士と気品あふれる夫妻は、若い二人の未来について話している。 若い二人のうち一人は王子、一人は男爵令嬢である。 王子に見初められた男爵令嬢はこれから王子妃になるべく勉強していくことになる。 そして、男爵一家は王子妃の家族として振る舞えるようにならなくてはならない。 これまでそのような行動をしてこなかった男爵家の人たちでもできるものなのだろうか。 国王陛下夫妻と王宮総務局が総力を挙げて協力していく。 男爵令嬢の教育はいかに! 中世ヨーロッパ風のお話です。

お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】 私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。 その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。 ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない 自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。 そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが―― ※ 他サイトでも投稿中   途中まで鬱展開続きます(注意)

妹に全てを奪われるなら、私は全てを捨てて家出します

ねこいかいち
恋愛
子爵令嬢のティファニアは、婚約者のアーデルとの結婚を間近に控えていた。全ては順調にいく。そう思っていたティファニアの前に、ティファニアのものは何でも欲しがる妹のフィーリアがまたしても欲しがり癖を出す。「アーデル様を、私にくださいな」そうにこやかに告げるフィーリア。フィーリアに甘い両親も、それを了承してしまう。唯一信頼していたアーデルも、婚約破棄に同意してしまった。私の人生を何だと思っているの? そう思ったティファニアは、家出を決意する。従者も連れず、祖父母の元に行くことを決意するティファニア。もう、奪われるならば私は全てを捨てます。帰ってこいと言われても、妹がいる家になんて帰りません。

【完結】婚約者も両親も家も全部妹に取られましたが、庭師がざまぁ致します。私はどうやら帝国の王妃になるようです?

鏑木 うりこ
恋愛
 父親が一緒だと言う一つ違いの妹は姉の物を何でも欲しがる。とうとう婚約者のアレクシス殿下まで欲しいと言い出た。もうここには居たくない姉のユーティアは指輪を一つだけ持って家を捨てる事を決める。 「なあ、お嬢さん、指輪はあんたを選んだのかい?」  庭師のシューの言葉に頷くと、庭師はにやりと笑ってユーティアの手を取った。  少し前に書いていたものです。ゆるーく見ていただけると助かります(*‘ω‘ *) HOT&人気入りありがとうございます!(*ノωノ)<ウオオオオオオ嬉しいいいいい! 色々立て込んでいるため、感想への返信が遅くなっております、申し訳ございません。でも全部ありがたく読ませていただいております!元気でます~!('ω')完結まで頑張るぞーおー! ★おかげさまで完結致しました!そしてたくさんいただいた感想にやっとお返事が出来ました!本当に本当にありがとうございます、元気で最後まで書けたのは皆さまのお陰です!嬉し~~~~~!  これからも恋愛ジャンルもポチポチと書いて行きたいと思います。また趣味趣向に合うものがありましたら、お読みいただけるととっても嬉しいです!わーいわーい! 【完結】をつけて、完結表記にさせてもらいました!やり遂げた~(*‘ω‘ *)

処理中です...