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密かに張り巡らされる策略。

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「測定の方は如何だった?」
「予測通りです。元々大した力の量では無かったのに、無理矢理大きな魔術を使ったせいで、今は枯渇寸前です」

王宮魔術院長官の報告をゼウリス達は無言で頷いた。

数ヶ月前からゼウリスは密かにエリスの魔力を測定させていた。
大した力の量では無い、と思っていたがもしも、と言うことも考えられる。

その結果がもたらされ、やはり予想通りだった事に少し安堵したのも事実。

「トーラス侯爵が杖の精霊の力を借りて10年の時を巻き戻した、と聞いた時、魔女の方は?と思ったがやはりな」
「はい。杖の精霊の力によって10倍の力を発揮する、と聞き私も思いました」

長官も静かに頷く。

「では、この後処分しても問題はないと認識していいのだな」
「御意。拘束した時すぐに魔封じの枷をはめれば、暴走もありません。ですが、数値を見ると既に枯渇しているかも知れません」

長官の言葉にゼウリスは頷き、ずっと黙っていたアルレスに目を向けた。

「アルレス、卒業式の後のパーティーで魔女を拘束しろ。罪状と方法は君に任せる」
「……それは断罪していい、と言う意味ですか?」
「それで君の気が済むならな」
「気が済むかは疑問ですが、煩わしい魔女がその罪に相応しい罰を受ける事なら如何様にも」

普段、逞しいのに何処か優しげで、テーミスにも揶揄われている姿を見せているが、本来のアルレスは苛烈な性格と冷徹なモノを持っている。

「当日が楽しみだ」

ゼウリスはアルレスより更に冷酷な面を持っている。
だが、それを見るのは彼らの敵になった者だけだろう。

「ですが、何故卒業パーティーで、なのですか?」

これだけ準備が整っているなら、今すぐでも問題はないだろう、とアルレスは問いたかったが

「記憶とは厄介だ。忘れたふりをしてても消せない」

アルレスが時折過去の記憶に魘されている事を知っている。

「だから記憶を上書きするんだよ。卒業パーティーは魔女を断罪したモノだってね」

敵には冷酷であっても、身内までは冷酷にすることは無い。
幼かったアルレスの涙を見た時、そして今、自分を支える有能な弟の為にゼウリスは力を貸す、と決めたのだ。

「ありがとうございます。ですが、アイツがのこのこパーティーに出てくるとは思えません」

アルレスの心配は想定内だ。

「大丈夫だよ。そっちも手配済みだ」

クスッと笑うゼウリスの水色の目は、背筋が凍りそうな程、冷たかった。
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