【完結】お父様。私、悪役令嬢なんですって。何ですかそれって。

紅月

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ミルフィリアの行動。

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この2人が自分の道を見つけるのにミルフィリアが関わっている事をアルレスは勿論、ゼウリスも知っていた。

エリスが入学する一年前、父親の愚かさに項垂れて、隠れる様に本を読んでいたアドンに図書館で声を掛けたのは、歴史書を持ったミルフィリアだった。

「フレイス伯爵令息も声なき声を汲み上げているのですね」
「声なき声?」

アドンはミルフィリアのよく分からない言葉に首を傾げた。

「歴史書はそういうものです。遥か昔の多くの人たちの営みや思想を文字から読み取るものです」

各国の歴史に精通したミルフィリアとの謎かけの様な会話が楽しくて、ミルフィリアと別れた後もアドンは暇さえあれば色々な歴史書を読み、いつの間にかその知識は教師達を唸らせるほどになっていた。

其処から自分の道を見つけたアドンは、
歴史学者を目指す様になった。

ノドスもオスカーに敗れ剣に見切りをつけ退役後、下働きとして入った学園で生き甲斐を見つけられず、毎日馬の世話ばかりしていた。
そんな彼に、ミルフィリアが

「貴方がお世話をしている子達は皆、健康的で優秀な子ばかりですね。きっと良い調教師の才能があるのね」

と、微笑みかけた。

ミルフィリアにとっては記憶に残らない、些細な一言だったかもしれないが、ノドスは天啓を授けられた気がした。

それから、学園の下働きをしながら調教師の資格を取る勉強を始めると、次第に遠巻きにしていた者達が話しかけて来て仲間ができ、毎日が充実してきた。

消し去った過去と違い、彼らに笑顔が溢れて生き生きとしているのをアルレスは満足そうに見ていた。
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