26 / 46
ミルフィリアの行動。
しおりを挟む
この2人が自分の道を見つけるのにミルフィリアが関わっている事をアルレスは勿論、ゼウリスも知っていた。
エリスが入学する一年前、父親の愚かさに項垂れて、隠れる様に本を読んでいたアドンに図書館で声を掛けたのは、歴史書を持ったミルフィリアだった。
「フレイス伯爵令息も声なき声を汲み上げているのですね」
「声なき声?」
アドンはミルフィリアのよく分からない言葉に首を傾げた。
「歴史書はそういうものです。遥か昔の多くの人たちの営みや思想を文字から読み取るものです」
各国の歴史に精通したミルフィリアとの謎かけの様な会話が楽しくて、ミルフィリアと別れた後もアドンは暇さえあれば色々な歴史書を読み、いつの間にかその知識は教師達を唸らせるほどになっていた。
其処から自分の道を見つけたアドンは、
歴史学者を目指す様になった。
ノドスもオスカーに敗れ剣に見切りをつけ退役後、下働きとして入った学園で生き甲斐を見つけられず、毎日馬の世話ばかりしていた。
そんな彼に、ミルフィリアが
「貴方がお世話をしている子達は皆、健康的で優秀な子ばかりですね。きっと良い調教師の才能があるのね」
と、微笑みかけた。
ミルフィリアにとっては記憶に残らない、些細な一言だったかもしれないが、ノドスは天啓を授けられた気がした。
それから、学園の下働きをしながら調教師の資格を取る勉強を始めると、次第に遠巻きにしていた者達が話しかけて来て仲間ができ、毎日が充実してきた。
消し去った過去と違い、彼らに笑顔が溢れて生き生きとしているのをアルレスは満足そうに見ていた。
エリスが入学する一年前、父親の愚かさに項垂れて、隠れる様に本を読んでいたアドンに図書館で声を掛けたのは、歴史書を持ったミルフィリアだった。
「フレイス伯爵令息も声なき声を汲み上げているのですね」
「声なき声?」
アドンはミルフィリアのよく分からない言葉に首を傾げた。
「歴史書はそういうものです。遥か昔の多くの人たちの営みや思想を文字から読み取るものです」
各国の歴史に精通したミルフィリアとの謎かけの様な会話が楽しくて、ミルフィリアと別れた後もアドンは暇さえあれば色々な歴史書を読み、いつの間にかその知識は教師達を唸らせるほどになっていた。
其処から自分の道を見つけたアドンは、
歴史学者を目指す様になった。
ノドスもオスカーに敗れ剣に見切りをつけ退役後、下働きとして入った学園で生き甲斐を見つけられず、毎日馬の世話ばかりしていた。
そんな彼に、ミルフィリアが
「貴方がお世話をしている子達は皆、健康的で優秀な子ばかりですね。きっと良い調教師の才能があるのね」
と、微笑みかけた。
ミルフィリアにとっては記憶に残らない、些細な一言だったかもしれないが、ノドスは天啓を授けられた気がした。
それから、学園の下働きをしながら調教師の資格を取る勉強を始めると、次第に遠巻きにしていた者達が話しかけて来て仲間ができ、毎日が充実してきた。
消し去った過去と違い、彼らに笑顔が溢れて生き生きとしているのをアルレスは満足そうに見ていた。
248
お気に入りに追加
727
あなたにおすすめの小説

言いたいことはそれだけですか。では始めましょう
井藤 美樹
恋愛
常々、社交を苦手としていましたが、今回ばかりは仕方なく出席しておりましたの。婚約者と一緒にね。
その席で、突然始まった婚約破棄という名の茶番劇。
頭がお花畑の方々の発言が続きます。
すると、なぜが、私の名前が……
もちろん、火の粉はその場で消しましたよ。
ついでに、独立宣言もしちゃいました。
主人公、めちゃくちゃ口悪いです。
成り立てホヤホヤのミネリア王女殿下の溺愛&奮闘記。ちょっとだけ、冒険譚もあります。
君を愛す気はない?どうぞご自由に!あなたがいない場所へ行きます。
みみぢあん
恋愛
貧乏なタムワース男爵家令嬢のマリエルは、初恋の騎士セイン・ガルフェルト侯爵の部下、ギリス・モリダールと結婚し初夜を迎えようとするが… 夫ギリスの暴言に耐えられず、マリエルは神殿へ逃げこんだ。
マリエルは身分違いで告白をできなくても、セインを愛する自分が、他の男性と結婚するのは間違いだと、自立への道をあゆもうとする。
そんなマリエルをセインは心配し… マリエルは愛するセインの優しさに苦悩する。
※ざまぁ系メインのお話ではありません、ご注意を😓

【完結】『妹の結婚の邪魔になる』と家族に殺されかけた妖精の愛し子の令嬢は、森の奥で引きこもり魔術師と出会いました。
蜜柑
恋愛
メリルはアジュール王国侯爵家の長女。幼いころから妖精の声が聞こえるということで、家族から気味悪がられ、屋敷から出ずにひっそりと暮らしていた。しかし、花の妖精の異名を持つ美しい妹アネッサが王太子と婚約したことで、両親はメリルを一族の恥と思い、人知れず殺そうとした。
妖精たちの助けで屋敷を出たメリルは、時間の止まったような不思議な森の奥の一軒家で暮らす魔術師のアルヴィンと出会い、一緒に暮らすことになった。

【完結】義家族に婚約者も、家も奪われたけれど幸せになります〜義妹達は華麗に笑う
鏑木 うりこ
恋愛
お姉様、お姉様の婚約者、私にくださらない?地味なお姉様より私の方がお似合いですもの!
お姉様、お姉様のお家。私にくださらない?お姉様に伯爵家の当主なんて務まらないわ
お母様が亡くなって喪も明けないうちにやってきた新しいお義母様には私より一つしか違わない双子の姉妹を連れて来られました。
とても美しい姉妹ですが、私はお義母様と義妹達に辛く当たられてしまうのです。
この話は特殊な形で進んで行きます。表(ベアトリス視点が多い)と裏(義母・義妹視点が多い)が入り乱れますので、混乱したら申し訳ないですが、書いていてとても楽しかったです。

婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣国へ行きますね
ルーシャオ
恋愛
アンカーソン伯爵家令嬢メリッサはテイト公爵家後継のヒューバートから婚約破棄を言い渡される。幼い頃妹ライラをかばってできたあざを指して「失せろ、その顔が治ってから出直してこい」と言い放たれ、挙句にはヒューバートはライラと婚約することに。
失意のメリッサは王立寄宿学校の教師マギニスの言葉に支えられ、一人で生きていくことを決断。エミーと名前を変え、隣国アスタニア帝国に渡って書籍商になる。するとあるとき、ジーベルン子爵アレクシスと出会う。ひょんなことでアレクシスに顔のあざを見られ——。

婚約者を譲れと姉に「お願い」されました。代わりに軍人侯爵との結婚を押し付けられましたが、私は形だけの妻のようです。
ナナカ
恋愛
メリオス伯爵の次女エレナは、幼い頃から姉アルチーナに振り回されてきた。そんな姉に婚約者ロエルを譲れと言われる。さらに自分の代わりに結婚しろとまで言い出した。結婚相手は貴族たちが成り上がりと侮蔑する軍人侯爵。伯爵家との縁組が目的だからか、エレナに入れ替わった結婚も承諾する。
こうして、ほとんど顔を合わせることない別居生活が始まった。冷め切った関係になるかと思われたが、年の離れた侯爵はエレナに丁寧に接してくれるし、意外に優しい人。エレナも数少ない会話の機会が楽しみになっていく。
(本編、番外編、完結しました)

ご自慢の聖女がいるのだから、私は失礼しますわ
ネコ
恋愛
伯爵令嬢ユリアは、幼い頃から第二王子アレクサンドルの婚約者。だが、留学から戻ってきたアレクサンドルは「聖女が僕の真実の花嫁だ」と堂々宣言。周囲は“奇跡の力を持つ聖女”と王子の恋を応援し、ユリアを貶める噂まで広まった。婚約者の座を奪われるより先に、ユリアは自分から破棄を申し出る。「お好きにどうぞ。もう私には関係ありません」そう言った途端、王宮では聖女の力が何かとおかしな騒ぎを起こし始めるのだった。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる