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恒例の報告会。

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「こんな言い方おかしいですが、トーラス侯爵令嬢は孤立させられても毅然とした態度で、喚く事などしなかった」

定例になった、学園での出来事をゼウリスに報告しているアルレスがポツリと呟いた。

「品格と矜持の差だね」

ゼウリスは紅茶を手にしながら、アルレスの話を聞いている。

「彼女は多少、我が儘な所は有りましたが、けっして自分をチヤホヤしろ、とは言わなかった」

消し去った過去の事だが、どの様な状況でもミルフィリアは高位の貴族令嬢としての品格を忘れることはなかった。

「品格に加えて、ミルフィリアは優しさに溢れているしね。私の快気祝いの茶会でも彼女は私の体調を考え、そっと祝ってくれたんだ」

懐かしそうに、初めて会った日の事をゼウリスが話せば、アルレスも頷く。

「何もかも消し去った過去と違い、優しい思い出ばかりです」
「……そう。だからアイツが栄華を享受出来る未来は、もう無いんだ」

ゼウリスの言葉に、アルレスがもう一度頷く。

「決められた未来なんて無い。選択肢が変われば、その先の未来も変わる」

アルレスの言葉が強さを増した。

「そう言えば、アルレス。メフレス殿をミルフィリアのところに連れて行った後誰と話していたんですか?」

ゼウリスの目が少し怖さを増した。

「アドンとノドスです。兄上、妙な事なんですが、彼らも消し去った過去の記憶が微かにあるみたいです」
「ほう、それは興味深い」

ゼウリスの目は怖さではなく、探る様な色になった。
アルレスがアドン達と話したのは、大したことでは無いが、彼らの言葉尻にはアルレスの中で引っ掛かる物があった。
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