[完結]悪役令嬢様。ヒロインなんかしたくないので暗躍します

紅月

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素早い対応に唖然

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伺いたい、と書いたけどまさか次の日に拉致られるとは思いませんでした。
相変わらずバロー家は対応が異様に早いですね。

「ラティナ、婚約おめでとう」
「ラルフ宰相の手際の良さに笑わせてもらったよ」
「あ、ありがとうございます」

満面の笑みを浮かべたエメリア様とバロー公爵様。そして

「どうしてアルフレッド様がいらっしゃるんですか」

当然だと言いたげな顔でバロー家の応接間に居る婚約者につい頭を抱えた。

「おや?驚くとは心外ですね。妻となるラティナがお支えする方にご挨拶は当然ですよ」

嘘つけ、と叫ばなかった私を誰か褒めてください。
腹が立つほどかっこいいからって、絆されると思わないで下さいね。
どうせ分かってやっているんですから。

「レナード陛下のお妃候補の選定の情報交換は王宮でして下さい」

仕事ならしますが、表舞台に引っ張り出さないで下さい。

「本当にラティナは勘が鋭いから助かるよ」

うわっ、腹黒そうな笑顔。
前世の私なら、此処で一発殴ってたよ。
こんなにやさぐれでるのに、私の表情筋は通常運転してる。

「お父様。ラティナと女同士の話をしたいので、わたくし達は庭に参ります」

エメリア様が取り成してくれたおかげでゆっくり話が出来ます。

「では、我々は執務室に行くか」

バロー公爵閣下。アルフレッド様の足止め、感謝します。
流石に前世絡みの話を聞かせる訳にはいきませんから。



無事エメリア様と2人だけになってホッとしたのも束の間

「手紙を読みましたわ。もう、王道のシュチュエーションですわ」

エメリア様のテンションが壊れた。
喜んでいるのか、悲しんでいるのか、または怒っているのか分からないくらいハイテンションだった。

「……話をまとめますと、これからの事は、その乙女ゲームとやらの王道設定で……」
「あのゲームの続編設定では、レナード様や他国の王子相手にわたくしがまた悪役令嬢になります」

またですか。続編があるなんて、ため息しか出ません。

「そして、女官として王宮に上がるラティナ、貴女がヒロインになるわ。そしてレナード陛下や他国の王子と……」

嫌です。絶対に嫌です。
だってどう考えても、事故物件アゲインでしょ。

「では、悪役令嬢様。私、ヒロインなんてしたくないので暗躍します」
「素敵。今度こそラティナが暗躍するところ見れるのね。嬉しいわ」

そこ、喜ぶ所ですか?
ですが、あくびが出るほどのんびりした生活では無いですが、毎日が楽しい。

自称悪役令嬢様の為にも、私、暗躍します。



次で完結します。
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