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断罪って案外あっさり終わるんですね
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「エメリア、おめでとう。君を縛る枷が無くなった」
婚約が破棄になっておめでとうもないだろうが、ユーシスの声も喜んでいるように聞こえる。
「こんな時だが、エメリア、君に婚約を申し込みたい。俺と結婚してくれ」
回りくどい言い方では無く、直球勝負でユーシスはエメリアの前に跪き、右手を差し出した。
「喜んで、ユーシス様」
青筋を立てているバーナードの前で、ユーシスはエメリアに求婚し、エメリアは笑顔で了承した。
「エメリア」
バーナードが腕にへばり付いている似非ヒロイン、アズサの事を忘れエメリアに掴みかかろうとしたが、当然ユーシスが黙って見ている筈がない。
エメリアの手を取り、立ち上がると鋭い目で睨み付けた。
「いい加減にしろ。お前は自分の立場を理解しているのか?」
ユーシスの厳しい叱責にバーナードがビクッと震える。
王家には3人の王子が居る。
1人は王太子として国を統治するものとなる。
もう1人は王太子の補佐としてその傍に立ち、王太子が即位すれば世継ぎの子供が生まれるまでは王太子として立つ。
では、残りの1人の役割はなんだ?
血のスペアとしての存在価値はあるが、求められるのは、大貴族として王家を支えるものになる事だろう。
バーナードはたった今、その役割を放棄した。
王家を支えるつもりのない者など、王族としての価値も無い。むしろ居るだけで争いの火種になる。
「王家にとって、お前は争いの火種になりかねない」
ユーシスの冷たい声にバーナードはへたり込んでしまった。
「バーナード、お前は王家から追放し、其処の嘘吐きと一緒に国外追放とする」
「嘘吐き?アタシはヒロインで……」
「発言を許した覚えは無い」
「ひっ」
ユーシスは声を荒げた訳でもないのに、アズサは身を隠すようにバーナードにしがみ付いた。
駆け付けた護衛官達がすぐにアズサの事を床に押さえ付け、拘束した。
「不敬罪で追放はやりすぎなのではないですか?」
「不敬罪だけでは無いからね。あの小娘は」
「だいたいの事は推測出来ますが、本気でなれると思ってたんでしょうか?」
ラティナがうんざりした顔でラウルを見た。
「ひっ、ヒロイン」
突然アズサが叫んだ。
ラティナが声の方に顔を向けると、丁度人垣が割れて、真っ青になったアズサが床に押し付けられた格好で顔だけ此方に向けていた。
すっかり忘れてたけど、私、ゲームのヒロインだったっけ。
馬鹿丸出しの、事故物件のヤバイ女の役なんてしないけど。
あっ、嫌な事気がついちゃった。
「何のことです?」
「あ、アンタ、居たのになんで……」
なんでヒロインしないのか?って言いたいんでしょうけど、冗談。
「ラウル伯爵。これはなんの罪を犯したのですか?」
「詐欺に偽証罪、それと、国家転覆の疑いもある」
ラウル伯爵がニヤッと悪い顔で笑う。
ラティナは、ラウル伯爵にエスコートされ、静かな足取りでアズサの側に寄ると、意識はしていないがかなり冷ややかな目をしながら、床に押し付けられているアズサを見下ろした。
「お前の今までの言動から推測すると、バーナード元王子を唆して王太子妃になろうとしていたようね。愚かな事」
コイツのヤバ過ぎる台詞はしっかり集めてある。
「ゲームじゃヒロインは王太子妃になってたのよ!」
「何を言ってるのか分かりませんが、バーナード元王子が王太子になる事はあり得ません」
レナード王太子殿下に顔を向ければ、頷く。
「妾妃の子が王太子になるには私達が死ななければその役目は回って来ない。衛兵、王族暗殺未遂と国家転覆の罪でそいつらを牢に放り込め」
王族暗殺未遂と国家転覆の罪。
重罪の極みの様な罪状では、国外追放は軽い処分に聞こえる。
「自分から罪を重くするとは、呆れて物が言えませんわ」
「拷問無しで自白したのだから、証言として使えるな」
ラティナとラウルが呆れた顔で呆気なく引き摺られて行く2人を見ていた。
きっと、アズサは大それた事なんか考えず、ただゲームの様なエンディングを楽しみたかっただけだろう。
でも、それは現実的ではない上、レナード王太子殿下やユーシス殿下の命を犠牲にする物だ。
笑って許せる事じゃない。
「考え無しの愚か者に成り下がった、と言う事ですね」
「ラティナはだから……」
エメリア様の何か言いたげな目に、私は頷いた。
多分、私ならゲームの様な状況にできた筈。やらないけどね。
「さて、厄介払いも出来ましたし、折角エメリア様が本当にお慕いしている方と婚約出来たのですから、今日はパーティーを……」
「楽しめると思いますか?余計な仕事が増えただけですよ」
折角明るい声を出したのに、ラウル伯爵が眉間に皺を寄せながらこっちを睨んでいた。
「後日やり直しをするとなると少々時間がかかる。パーティーは続行だ」
レナード王太子殿下が晴れやかな笑みで会場の者達を見る。
騒ついていたが徐々に落ち着きを取り戻し、会場の者達はユーシスとエメリアに婚約の祝辞を述べ、無事に終了した。
婚約が破棄になっておめでとうもないだろうが、ユーシスの声も喜んでいるように聞こえる。
「こんな時だが、エメリア、君に婚約を申し込みたい。俺と結婚してくれ」
回りくどい言い方では無く、直球勝負でユーシスはエメリアの前に跪き、右手を差し出した。
「喜んで、ユーシス様」
青筋を立てているバーナードの前で、ユーシスはエメリアに求婚し、エメリアは笑顔で了承した。
「エメリア」
バーナードが腕にへばり付いている似非ヒロイン、アズサの事を忘れエメリアに掴みかかろうとしたが、当然ユーシスが黙って見ている筈がない。
エメリアの手を取り、立ち上がると鋭い目で睨み付けた。
「いい加減にしろ。お前は自分の立場を理解しているのか?」
ユーシスの厳しい叱責にバーナードがビクッと震える。
王家には3人の王子が居る。
1人は王太子として国を統治するものとなる。
もう1人は王太子の補佐としてその傍に立ち、王太子が即位すれば世継ぎの子供が生まれるまでは王太子として立つ。
では、残りの1人の役割はなんだ?
血のスペアとしての存在価値はあるが、求められるのは、大貴族として王家を支えるものになる事だろう。
バーナードはたった今、その役割を放棄した。
王家を支えるつもりのない者など、王族としての価値も無い。むしろ居るだけで争いの火種になる。
「王家にとって、お前は争いの火種になりかねない」
ユーシスの冷たい声にバーナードはへたり込んでしまった。
「バーナード、お前は王家から追放し、其処の嘘吐きと一緒に国外追放とする」
「嘘吐き?アタシはヒロインで……」
「発言を許した覚えは無い」
「ひっ」
ユーシスは声を荒げた訳でもないのに、アズサは身を隠すようにバーナードにしがみ付いた。
駆け付けた護衛官達がすぐにアズサの事を床に押さえ付け、拘束した。
「不敬罪で追放はやりすぎなのではないですか?」
「不敬罪だけでは無いからね。あの小娘は」
「だいたいの事は推測出来ますが、本気でなれると思ってたんでしょうか?」
ラティナがうんざりした顔でラウルを見た。
「ひっ、ヒロイン」
突然アズサが叫んだ。
ラティナが声の方に顔を向けると、丁度人垣が割れて、真っ青になったアズサが床に押し付けられた格好で顔だけ此方に向けていた。
すっかり忘れてたけど、私、ゲームのヒロインだったっけ。
馬鹿丸出しの、事故物件のヤバイ女の役なんてしないけど。
あっ、嫌な事気がついちゃった。
「何のことです?」
「あ、アンタ、居たのになんで……」
なんでヒロインしないのか?って言いたいんでしょうけど、冗談。
「ラウル伯爵。これはなんの罪を犯したのですか?」
「詐欺に偽証罪、それと、国家転覆の疑いもある」
ラウル伯爵がニヤッと悪い顔で笑う。
ラティナは、ラウル伯爵にエスコートされ、静かな足取りでアズサの側に寄ると、意識はしていないがかなり冷ややかな目をしながら、床に押し付けられているアズサを見下ろした。
「お前の今までの言動から推測すると、バーナード元王子を唆して王太子妃になろうとしていたようね。愚かな事」
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「何を言ってるのか分かりませんが、バーナード元王子が王太子になる事はあり得ません」
レナード王太子殿下に顔を向ければ、頷く。
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王族暗殺未遂と国家転覆の罪。
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きっと、アズサは大それた事なんか考えず、ただゲームの様なエンディングを楽しみたかっただけだろう。
でも、それは現実的ではない上、レナード王太子殿下やユーシス殿下の命を犠牲にする物だ。
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「考え無しの愚か者に成り下がった、と言う事ですね」
「ラティナはだから……」
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多分、私ならゲームの様な状況にできた筈。やらないけどね。
「さて、厄介払いも出来ましたし、折角エメリア様が本当にお慕いしている方と婚約出来たのですから、今日はパーティーを……」
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折角明るい声を出したのに、ラウル伯爵が眉間に皺を寄せながらこっちを睨んでいた。
「後日やり直しをするとなると少々時間がかかる。パーティーは続行だ」
レナード王太子殿下が晴れやかな笑みで会場の者達を見る。
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