[完結]悪役令嬢様。ヒロインなんかしたくないので暗躍します

紅月

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胃が壊れそうなお茶会は意識統一と断罪後の報告です

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表面上は和やかなお茶会ですが、もう駄目、私の胃が緊張で悲鳴をあげてます。
お兄様助けて……。
視線を逸らすな!肩で笑うな!

「では、結論から言えば、この後バーナードが騒ぎを起こしたら、即刻婚約を破棄しユーシスに託すつもりだ」

うわっ、あっさり前置き無しで事前の意識統一の時間にシフトしたよ。

颯爽と宣言をするレナード王太子殿下をユーシス殿下達が嬉しそうに見ているし、バロー公爵閣下も頷いている。
バロー家の独立は、もう無いですね。

「バーナード殿下の取り巻きだった奴らの処分はどうなさいます?」

バロー公爵閣下、笑顔が怖いです。

「とっくにラウルが終わらせているよ。犯罪に関わった2人は既に牢の中だし、シギーサ侯爵家は子爵に降格し、犯罪に関わっていない侯爵の弟が継ぐ事になった」

潰さないだけ温情あるだろ、とレナード王太子殿下がにっこり笑った。

体面が第一の貴族社会で、爵位を落とされた家が穏便に済む訳無いですよね。

「元シギーサ侯爵のご子息の処分は?」

迷惑を掛けられたのにエメリア様が心配そうな顔で、レナード王太子殿下を見ている。
うん、身分を剥奪され平民に、ってところかな?あの貴族のボンボンが市井で生活?無理だろうなぁ。

「犯罪に関わっていないようですが騒いで煩かったから、規律の厳しい教会に入れたました。平民にしたら、市井の民に迷惑になります」

ラウル宰相。何気に厳しいですね。
なに満足そうな笑顔でこっちを見てるんですか。
ま、ダナエ様は隣国に嫁がれるから、教会に居ても顔を合わせないでしょうから無難な選択ですね。

「そうそう、ダグラス近衛騎士団長から礼を言われましたよ」

ユーシス殿下がのんびりお茶を飲みながら話を振ってきた。

「あぁ、ロドネフ元騎士団長の不正の件だろ。王家を馬鹿にしてるとしか思えないね」

いつの間にかレナード王太子殿下の腹が真っ黒になった気がします。

馬の産地偽装から見付かった、馬の横流しとそれに加担した騎士団長の収賄事件だよね。
裏で情報を集めてた時は、まさかこんな大事になるなんて思ってもいなかったよ。

「まさかロドネフの騎士団長降格だけで終わらせたのですか?」
「そんな手緩い事で終わらせるはずがない。勿論懲戒解雇処分にしたよ。今頃兵団の雑用係で親子共々扱かれてるだろうな」

バロー公爵の質問にレナード王太子殿下がまたにっこり笑う。
この処分を聞けば、爵位も剥奪されているんだろうな。
しかし兵団の雑用係か。騎士団に入るターニャ様とは顔を合わせる事も無くなって良かったです。

「学会の方も処分は終わったそうです」

ラウル宰相も、なんでもない事のように報告してますね。
アンナさんから聞いてますが、ゼノビス先生は学会と学園から追放されて、再就職先が無いらしい。
間違いなく再起不能になってますよ。

胃が痛い。
情報の影響が大きすぎます。

「全てラティナ嬢のお陰だ。感謝する」
「いえ、私は気になった事を兄に伝えていただけです」

こんなにあっちこっちの粛清の発端になるなんて、思ってませんでした。
えっ?、レナード王太子殿下だけで無く、全員がにこにこしてこっちを見てるけど……。
お兄様、何を言ったんですか!

「妹の着眼点は鋭く、海面に微かに見える氷の塊を見つけるように、情報の中から巨悪のささやかな綻びを見抜きます」

なんて事言うんですか!
お兄様、それでは私が……。駄目だ、皆さん頷いている。

私は裏で動いているのが楽なのに、表舞台に出されるのは辛いです。
お願い。私の胃が壊れる前にお茶会が終わって。
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