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攻略対象者脱落 3人目です
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教師ゼノビスは震えていた。
学会から突然の呼び出しに、首を捻っていたが新しい論文はまだか、と言われるだろうと思っていた。
「あいつ、最近怠惰だな。戻ったら書かないと婚約しないと脅すか」
ぶつぶつ悪態を叩きながらも、会議室の前で服の乱れを直し、ノックをした。
学会が使う会議室に入ると、其処には重鎮達が勢揃いして、入って来たゼノビスを一斉に睨んだ。
しかもこの場に、アンナ・カドニスも居る。後ろ暗いゼノビスにとって居心地の悪い空間になっていた。
「会長、今日は何の集まりですか?」
「サイモン・ゼノビス。この恥知らずが。学者の命とも言える論文を盗むとは、呆れてものも言えん」
挨拶もなしに会長が怒鳴り付けた。
「ひっ」
会長の怒鳴り声にゼノビスは、青褪めるどころか血の気を失い白い顔でガタガタ震え始めた。
昨日、ゼノビスの名前で出されていた全ての論文の真偽の結果が学会に提出され、事実が白日の下に晒された。
ゼノビスが糾弾されるのは当然だ。
今まで学会に出した全ての論文は、ゼノビスの名前で出したが、実際は婚約話をちらつかせてアンナに書かせていた物だ。
ばれる事は絶対無い、と侮っていたが様々な証拠を積み上げている学会の重鎮達の厳しい視線に冷や汗が止まらない。
「む、無名の者の論文は多くの方の目に止まらないと思い……」
「学会に籍を置くものは、例え無名の者の論文でも自分の専門分野の論文には必ず目を通す。それに、あれ程画期的で有用な論文なら分科会で無名の新人を引き上げることもする」
重鎮の1人が苛立ちながらゼノビスの言葉を遮った。
「全く。君は学会の権威に泥を塗った。除名処分でも足りないくらいだ」
会長の顔が、恐ろしくて見れない。
ずっとガタガタ体が震えて、立っているのがやっとだ。
「カドニス君。君には謝罪の言葉も見つけられぬ程申し訳ない事をした。こいつが出した論文は、全て君の名前で再提出され、受理された」
会長の言葉に、学園の図書室の司書をしているアンナの目からポロポロと涙が流れる。
「……私も、学者として登録されるのですか?」
「勿論だ。薬草学の期待の新人として。君の活躍を心から期待している」
アンナ・カドニス博士の誕生に、学会のメンバー達から拍手が湧き上がった。
「お前、いつ迄其処に居るつもりだ?此処は学会の関係者以外立ち入り禁止だ。即刻立ち去れ」
とうとうへたり込んでしまったゼノビスを会長は冷ややかに一瞥し、追い払うように手を振った。
「アンナ……」
ゼノビスが縋るようにアンナを見たが、アンナは涙を拭いてからニコッと微笑み
「私、もうマークさんと言う素敵な婚約者が居るの。喜んで、貴方が大好きなアズサ様の側にべったり付いても、もう文句は言いませんから」
と、言って背を向けた。
「アンナさんの精油って、すごくリラックス出来るのね」
ダナエがハンカチに染み込ませたラベンダーの香りを堪能しながら、微笑んだ。
「枕元に香りを置くと、安眠もできます」
ターニャが精油の入った瓶を大切そうに両手で持ち、うっとりしている。
「ロレンス商会で販売を始めました」
アンナがにこにこしながら紅茶を淹れると、2人がクスクス笑い出す。
「きっと今頃、ラティナ様アワアワしてますでしょうね」
「普段は冷静なのに、極度の緊張屋さんですもの」
「ラベンダーの香油はお役に立てたでしょうか?」
ついさっき、拉致される様にバロー公爵家の馬車に乗せられて行ったラティナを思い出して3人はまたクスクス笑い出す。
学会から突然の呼び出しに、首を捻っていたが新しい論文はまだか、と言われるだろうと思っていた。
「あいつ、最近怠惰だな。戻ったら書かないと婚約しないと脅すか」
ぶつぶつ悪態を叩きながらも、会議室の前で服の乱れを直し、ノックをした。
学会が使う会議室に入ると、其処には重鎮達が勢揃いして、入って来たゼノビスを一斉に睨んだ。
しかもこの場に、アンナ・カドニスも居る。後ろ暗いゼノビスにとって居心地の悪い空間になっていた。
「会長、今日は何の集まりですか?」
「サイモン・ゼノビス。この恥知らずが。学者の命とも言える論文を盗むとは、呆れてものも言えん」
挨拶もなしに会長が怒鳴り付けた。
「ひっ」
会長の怒鳴り声にゼノビスは、青褪めるどころか血の気を失い白い顔でガタガタ震え始めた。
昨日、ゼノビスの名前で出されていた全ての論文の真偽の結果が学会に提出され、事実が白日の下に晒された。
ゼノビスが糾弾されるのは当然だ。
今まで学会に出した全ての論文は、ゼノビスの名前で出したが、実際は婚約話をちらつかせてアンナに書かせていた物だ。
ばれる事は絶対無い、と侮っていたが様々な証拠を積み上げている学会の重鎮達の厳しい視線に冷や汗が止まらない。
「む、無名の者の論文は多くの方の目に止まらないと思い……」
「学会に籍を置くものは、例え無名の者の論文でも自分の専門分野の論文には必ず目を通す。それに、あれ程画期的で有用な論文なら分科会で無名の新人を引き上げることもする」
重鎮の1人が苛立ちながらゼノビスの言葉を遮った。
「全く。君は学会の権威に泥を塗った。除名処分でも足りないくらいだ」
会長の顔が、恐ろしくて見れない。
ずっとガタガタ体が震えて、立っているのがやっとだ。
「カドニス君。君には謝罪の言葉も見つけられぬ程申し訳ない事をした。こいつが出した論文は、全て君の名前で再提出され、受理された」
会長の言葉に、学園の図書室の司書をしているアンナの目からポロポロと涙が流れる。
「……私も、学者として登録されるのですか?」
「勿論だ。薬草学の期待の新人として。君の活躍を心から期待している」
アンナ・カドニス博士の誕生に、学会のメンバー達から拍手が湧き上がった。
「お前、いつ迄其処に居るつもりだ?此処は学会の関係者以外立ち入り禁止だ。即刻立ち去れ」
とうとうへたり込んでしまったゼノビスを会長は冷ややかに一瞥し、追い払うように手を振った。
「アンナ……」
ゼノビスが縋るようにアンナを見たが、アンナは涙を拭いてからニコッと微笑み
「私、もうマークさんと言う素敵な婚約者が居るの。喜んで、貴方が大好きなアズサ様の側にべったり付いても、もう文句は言いませんから」
と、言って背を向けた。
「アンナさんの精油って、すごくリラックス出来るのね」
ダナエがハンカチに染み込ませたラベンダーの香りを堪能しながら、微笑んだ。
「枕元に香りを置くと、安眠もできます」
ターニャが精油の入った瓶を大切そうに両手で持ち、うっとりしている。
「ロレンス商会で販売を始めました」
アンナがにこにこしながら紅茶を淹れると、2人がクスクス笑い出す。
「きっと今頃、ラティナ様アワアワしてますでしょうね」
「普段は冷静なのに、極度の緊張屋さんですもの」
「ラベンダーの香油はお役に立てたでしょうか?」
ついさっき、拉致される様にバロー公爵家の馬車に乗せられて行ったラティナを思い出して3人はまたクスクス笑い出す。
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