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忙しい夏休み ラティナ編
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無事に夏休みに入り、ラティナは自主的に商会の事務室で大量の資料に囲まれていた。
「馬の産地偽装?」
「良質の馬の産地は多いですが、調教は優劣が付きます」
書類を持ちながらラティナが首を傾げれば、担当の者が説明を始めた。
要約すると、ここ数年良い馬だが調教が悪い馬が近衛騎士団にあてがわれている、と言う事だ。
「近衛騎士団は王立軍のトップなのに?」
「産地が偽装されている噂があるんです」
商会でも馬を扱う部門はある。
だが、近衛騎士団の馬はより良い馬を、と言う理由から商会から買付け、騎士団で選別されている。
そして稀にだが、その選考から漏れた馬は貴族達に下げ渡されることもある。
「騎士団で不正があるなら、私達が口出しはできないけど」
そう言いながらラティナがにっこり笑った。
「お兄様経由でレナード王太子殿下の耳に入る様にしましょう」
カインの耳に入れれば、レナード王太子殿下本人では無く、誰かがきっと調べるはずだ。
また、別の日は難しい顔をして書類と売り上げ帳簿を見ていたラティナが
「どなたか、薬草に詳しい方居ない?」
と、事務所で働くもの達に声を掛けた。
商会の薬草部門を強化したい、と考えるラティナの質問に、薬草を扱う部門の者がいくつかの論文を持ってきたが、その中の一つをラティナが首を傾げながら読んでいた。
「お嬢様?」
「この論文、とても素晴らしいけど、本当にこの人が書いたのかしら?」
論文には草や花から採れる油に薬効成分があると書かれているが、書いた人物にどうしても疑問を持ってしまう。
「斬新な視点で、学会でも噂の方ですが?」
担当者も論文は読んでいたらしく、ラティナの疑問に首を傾げた。
「本人を学園で見ているけど、こんな繊細で忍耐強い人じゃない」
ラティナの観察眼を知る担当者がゆっくりと席を立った。
「調べる価値はありますね」
「よろしくね」
厳しい顔で部屋を出る担当者に、ラティナは手を振った。
夏休みも半ばになった時
「見事なスターサファイアね」
宝石を買い付けに行っていた担当者がラティナに、買い付けてきたスターサファイアを見せると、ラティナがほぅ、と感心したように息を吐いた。
「お嬢様の推察した通りでした」
担当者は満足げに笑い、いくつかのスターサファイアを選び、髪飾りの注文を受けたと報告した。
「アクアマリンを探している、と聞いていたからね」
「髪飾りができ次第、此方にいらっしゃるそうです」
「あら気が早い。では、最高の細工師に出来るだけ急いで、と伝えて」
「承知しました」
手元に残ったスターサファイアも見事な星を浮かび上がらせているが、ラティナは別の何かを見ているようだ。
気が付けば夏休みも終わりに近くなり、案件もある程度目処が付いたので束の間の休暇を楽しんでいた。
「穏やかな一日。本当に幸せ」
何もしなくていい贅沢にラティナは淑女の微笑みでは無い笑顔でアンを見ると
「お嬢様は働き過ぎなのです。社交界デビューをされたのに、お出かけするのは仕事がらみばかりで」
と、泣かれてしまい慌てたのも楽しい思い出になった。
「馬の産地偽装?」
「良質の馬の産地は多いですが、調教は優劣が付きます」
書類を持ちながらラティナが首を傾げれば、担当の者が説明を始めた。
要約すると、ここ数年良い馬だが調教が悪い馬が近衛騎士団にあてがわれている、と言う事だ。
「近衛騎士団は王立軍のトップなのに?」
「産地が偽装されている噂があるんです」
商会でも馬を扱う部門はある。
だが、近衛騎士団の馬はより良い馬を、と言う理由から商会から買付け、騎士団で選別されている。
そして稀にだが、その選考から漏れた馬は貴族達に下げ渡されることもある。
「騎士団で不正があるなら、私達が口出しはできないけど」
そう言いながらラティナがにっこり笑った。
「お兄様経由でレナード王太子殿下の耳に入る様にしましょう」
カインの耳に入れれば、レナード王太子殿下本人では無く、誰かがきっと調べるはずだ。
また、別の日は難しい顔をして書類と売り上げ帳簿を見ていたラティナが
「どなたか、薬草に詳しい方居ない?」
と、事務所で働くもの達に声を掛けた。
商会の薬草部門を強化したい、と考えるラティナの質問に、薬草を扱う部門の者がいくつかの論文を持ってきたが、その中の一つをラティナが首を傾げながら読んでいた。
「お嬢様?」
「この論文、とても素晴らしいけど、本当にこの人が書いたのかしら?」
論文には草や花から採れる油に薬効成分があると書かれているが、書いた人物にどうしても疑問を持ってしまう。
「斬新な視点で、学会でも噂の方ですが?」
担当者も論文は読んでいたらしく、ラティナの疑問に首を傾げた。
「本人を学園で見ているけど、こんな繊細で忍耐強い人じゃない」
ラティナの観察眼を知る担当者がゆっくりと席を立った。
「調べる価値はありますね」
「よろしくね」
厳しい顔で部屋を出る担当者に、ラティナは手を振った。
夏休みも半ばになった時
「見事なスターサファイアね」
宝石を買い付けに行っていた担当者がラティナに、買い付けてきたスターサファイアを見せると、ラティナがほぅ、と感心したように息を吐いた。
「お嬢様の推察した通りでした」
担当者は満足げに笑い、いくつかのスターサファイアを選び、髪飾りの注文を受けたと報告した。
「アクアマリンを探している、と聞いていたからね」
「髪飾りができ次第、此方にいらっしゃるそうです」
「あら気が早い。では、最高の細工師に出来るだけ急いで、と伝えて」
「承知しました」
手元に残ったスターサファイアも見事な星を浮かび上がらせているが、ラティナは別の何かを見ているようだ。
気が付けば夏休みも終わりに近くなり、案件もある程度目処が付いたので束の間の休暇を楽しんでいた。
「穏やかな一日。本当に幸せ」
何もしなくていい贅沢にラティナは淑女の微笑みでは無い笑顔でアンを見ると
「お嬢様は働き過ぎなのです。社交界デビューをされたのに、お出かけするのは仕事がらみばかりで」
と、泣かれてしまい慌てたのも楽しい思い出になった。
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