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断罪出来なかったヒロインが手伝います
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「やっとマリアーナ様の専属メイドになれました」
マリアーナがユリアスの婚約者になり、住まいをパール公爵家に移してすぐ、小麦色の髪をしたフローラがラリマー家に挨拶に来た。
「頑張っていたからね。おめでとう」
ラリマー家のメイド長の言葉にフローラが笑顔で頷くと、背後からクスクス笑う声がした。
「専属になったと言うことは、学園に復学する気はないのかい」
「はい。マリアーナ様のお側を離れるなんて嫌です」
「君は変わらないね。マリアーナ一筋で」
ミカリスの楽しげな声にフローラは照れながらもメイドらしく、綺麗なカーテシーをした。
最初は恐ろしかったミカリスの綺麗すぎる笑顔だが、ラリマー家でメイドとしてのスキルを磨く間に随分親しくなっていた。
「何も出来なかった私を鍛えて下さったラリマー家の皆様のおかげです」
「本当によく頑張りましたね」
メイド長の優しい言葉に目が潤んでしまったのか、ヘーゼル色の瞳がキラキラしている。
「デブリ男爵は相変わらずかい?」
「……はい。お義母様は私を認めて下さいますが」
デブリ男爵は庶子とはいえ自分の子供なのにフローラを引き取る事を嫌がっていた。
入り婿でありながらフローラの母親を無理矢理囲い、フローラを孤児院に捨て虐げていた。
そんなフローラの現状をデブリ男爵夫人は良しとせず、フローラを孤児院から引き取ったのだ。
「ふむ、ではフローラ、私に協力してくれるかな?」
ミカリスの突然の言葉にフローラは首を傾げたが、小さく頷いた。
内密の話がある、とミカリスの執務室に連れて行かれ、お茶をミカリスが淹れ始めた。
「ラリマー公爵令息様、お茶でしたら私が」
フローラが慌ててミカリスの横に立つと、ミカリスはクスッと笑った。
「お茶を淹れるのは私の趣味なんでね」
そう言われてしまうとフローラも諦めるしか無い。
香りの良いお茶を前にフローラが背筋を伸ばし、ミカリスを見詰めた。
「緊張しないで欲しいな」
そう言われても、と言いたげなフローラの顔は緊張で少し青くなっている。
「簡単な事ではないけど、君にしか出来ない事だ」
ミカリスの真剣な顔に、フローラは息を飲んで頷いた。
「フローラ、私と結婚してくれるかな?」
「……はい?」
突然の言葉にフローラは、ミカリスの真意が理解が出来ない。
「何故、私なのですか?ラリマー公爵令息様でしたらもっと高位貴族の令嬢を……」
「デブリ男爵が犯罪に手を染めている」
ミカリスから、もっと唐突過ぎる言葉が出た。
ミカリスの話を聞くとフローラの腑が怒りで煮えたぎりそうになった。
デブリ男爵は母だけで無く、かなりの女性を虐げ、奴隷として他国に売っている。かなり狡猾で、その首を抑える為にフローラの協力が必要だ、と言われればフローラに断る理由なんてない。
「お義母様だけで無く、多くの女性を助ける為ですもの、喜んで協力致します」
そう、フローラが強い眼差しでミカリスを見詰めた。
結果だけを言えば、デブリ男爵はあっさり捕まった。
奴隷にしていた女性たちを解放し、証拠も押さえられてはぐうの音も出なかったようだ。
マリアーナがユリアスの婚約者になり、住まいをパール公爵家に移してすぐ、小麦色の髪をしたフローラがラリマー家に挨拶に来た。
「頑張っていたからね。おめでとう」
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「専属になったと言うことは、学園に復学する気はないのかい」
「はい。マリアーナ様のお側を離れるなんて嫌です」
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そんなフローラの現状をデブリ男爵夫人は良しとせず、フローラを孤児院から引き取ったのだ。
「ふむ、ではフローラ、私に協力してくれるかな?」
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内密の話がある、とミカリスの執務室に連れて行かれ、お茶をミカリスが淹れ始めた。
「ラリマー公爵令息様、お茶でしたら私が」
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「お茶を淹れるのは私の趣味なんでね」
そう言われてしまうとフローラも諦めるしか無い。
香りの良いお茶を前にフローラが背筋を伸ばし、ミカリスを見詰めた。
「緊張しないで欲しいな」
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「簡単な事ではないけど、君にしか出来ない事だ」
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「フローラ、私と結婚してくれるかな?」
「……はい?」
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「何故、私なのですか?ラリマー公爵令息様でしたらもっと高位貴族の令嬢を……」
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ミカリスの話を聞くとフローラの腑が怒りで煮えたぎりそうになった。
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「お義母様だけで無く、多くの女性を助ける為ですもの、喜んで協力致します」
そう、フローラが強い眼差しでミカリスを見詰めた。
結果だけを言えば、デブリ男爵はあっさり捕まった。
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