【完結】断罪されなかった悪役令嬢ですが、その後が大変です

紅月

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婚約が決まりました。覚えて無いですが

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結果だけ言えば、数ヶ月後、私はユリアス様と婚約した。
色々あり過ぎて覚えてません。



「マリアーナ・パール公爵令嬢。良い名前よね」

パール公爵邸のサロンで、アマリア様がキャッキャと淑女らしからぬ喜び方で何度も私の新しい名前を呼ぶ。

ユリアス様の気持ちは嬉しいが子爵家から公爵家に嫁ぐのは難しいから、と何度も言ったのにユリアス様はウィリアム陛下とパール公爵家を巻き込んで私をパール公爵家の養女にし、婚約を結んだ。

「私は頭が痛いです」

怒涛の忙しさにため息を吐けば、さり気なくお茶を差し出す私専属のメイドになったフローラさんがもの凄く嬉しそうに笑う。
ラリマー家の教育はしっかりフローラさんを一流のメイドに仕上げている。

フローラさん曰く、私がジルコン家に嫁ぐ時は、専属メイドとしてジルコン家に就職するそうです。
子爵家の娘が公爵家に嫁ぐ。考えただけで胃が壊れそうです。

これなら断罪を受けて修道院に入っていた方が心労は少なかった気がします。
ですが、裏で暗躍しているであろうお兄様達がすんなり認めてくれるとは思えない。

今回の養女のことも、きっと裏で話し合った結果なんだろう。
初恋の方と婚約出来て……う、嬉しいなんてお兄様達の前ではおっかなくて口に出せませんが……。



「認めてないからな」

ラリマー家に挨拶に来たユリアスを睨むラファエルのこめかみの血管が、もの凄く浮き出ているのは気のせいでは無いだろう。

「私も認めてませんからね」

ミカリスも静かに怒りを溜めている。

「そう言われても、陛下の命令ですから」

そう、涼しげに言うユリアスは顔が締まっていない。

「汚いぞ、陛下に何を吹き込んだ」
「なにも。ちょっとお願いをしただけです」

ラファエルが噛み付く様に文句を言っているが、ユリアスはどこ吹く風である。

「……ラファエル、これ以上ユリアスに文句を言っても婚約はなかった事にはならない。それより」

ルシルが冷ややかにユリアスを睨んだ。
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