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どうしてへこむんですか?

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「面倒に巻き込んだな」

卒業パーティーのエスコートをお願いする手紙を出したらすぐに我が家にユリアス様本人がいらした。

久しぶりにお会いしたユリアス様が嫌味では無く、謝罪らしき言葉を言う。
これは本当に厄介な事が起こっている様です。
しかし、相変わらずの仏頂面ですね。

綺麗な白い髪も蜂蜜色の瞳も剣聖と呼ばれたユーリファス様にそっくりなのに、笑顔だけは受け継いでいない様です。
存命の時にはお会いできませんでしたが、ジルコン公爵家のユーリファス様の肖像画は優しい笑顔しかありませんよ。

いけない、意識が明後日の方に飛んでしまった。

「では、話せるところまでで構いません。何がありました?」

学園に通いながらお兄様達の仕事も手伝ってますので、概要だけでも聞いておきたい。

「学園内で面倒な術が使われているらしい」

面倒な術。嫌な予感がします。

「術が使われているのに、卒業パーティーだけで大丈夫ですか?」
「陛下の話では、卒業パーティーの時が一番分かりやすいそうだ」

ユリアス様は首を傾げているが、なんとなく理解しました。
ゲームの断罪シーンを再現する為に、て感じですね、多分。

「分かりました。では、パーティーのエスコート、お願いします」
「あぁ、よろしく頼む。ドレスは……」
「ルシルお兄様が贈って下さいましたので」

断罪シーンは多分無いと思いますが、万が一も考えられますから。
ドレスは大丈夫です、と伝えたら何故かへこんでいますが、どうしました?



一週間なんてあっという間に過ぎ、今日は卒業式です。

勿論、ダスト伯爵令息との婚約は解消しましたので、とっても身軽です。

朝、今日で最後となる制服を愛しげに撫で、私は学園に向かう馬車に、家族全員で乗りました。

学園では、卒業式が厳かに行われ、卒業生代表として挨拶もしました。
私を含め多くの方が父兄の方や学園関係者の方々に祝福され、無事卒業しました。

感傷に浸り目元も潤んでしまいましたが、ゲーム内では、この後学園ルートの断罪劇なのですが、多分ダスト伯爵令息達は何も出来ないでしょう。
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