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我が家は少し変わってます
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「お前みたいな、野暮ったい石のような女、僕がエスコートする訳無いだろ」
学園の廊下の真ん中で、婚約者からの言葉に頭を抱えそうになった。
偉そうに言ってますが、婚約者が居ながら別の令嬢に入れ込んでいる段階で、立場的にアウトなのが理解出来てないようです。
「分かりました。では、失礼します」
面倒な事になりそうですが、彼の腕に絡み付いている令嬢や後ろの取り巻きの令息達がにやにや笑ってますね。
嫌だ、と泣いて縋るとでも思っているのでしょうか?
お慕いした事もない方に何故縋らなければならないのでしょうか?
本当に面倒です。
「お父様、ご相談したいことがあります」
卒業まで後1週間になった時、私、マリアーナ・ガーネットは父、ダドリー・ガーネットの執務室を訪れた。
私の訪問を知っていたようなお父様の顔に決心が揺らぎそうになったけど、顔を上げた。
「お父様。誠に申し訳ありませんが、私の力が足りず、トーマ様の心を繋ぎ止めることが出来ませんでした」
「トーマス・ダスト伯爵令息の事は知っている。マリ、何故もっと早く相談に来なかった?」
「お父様に相談をすれば、お祖父様達にもご迷惑を掛けると思って」
普通なら、普通の貴族ならすぐに親に相談する事だけど、うちはねぇ。
「シオン兄さんやアーネスト父さんがヤキモキしてたよ」
やっぱり。
「ま、さっくり片付けておくからゆっくり寝なさい」
「はい」
トーマ様、終わったな。
私は頭を下げ、お父様の執務室を出た。
簡単に我が家の事とこの国のことを説明するとしましょう。
この国の名はアレキサンド王国。
例外はありますが、貴族の多くは宝石を家名にしており、見た目も宝石の色を髪や瞳にしている。
そして我が家はガーネット子爵家と言い、外交官の補佐をしている。
当主はお父様のダドリー・ガーネット。
アーネストお祖父様と同じ、銀髪に見える白い髪とアメジストのような目をしている。
お母様はマチルダ・ガーネット。
ルビーのような透き通る赤い髪と紅い目の美女。
お兄様はルシル・ガーネットと言う。
お兄様は銀髪にガーネットみたいな目のやっぱり美形。
お父様がシオン兄さん、と呼んでいた方は、シオン・ラリマー侯爵様でこのアレキサンド王国の外交官でもあります。
2人ともクリスタル子爵であるアーネスト・クリスタル子爵とシルヴィー・クリスタル夫人の子供だが、クリスタル子爵は一代限りの貴族なので、それぞれ別の家に養子になった。
クリスタル子爵家は、爵位はそれほど高くないけど、お祖父様やお祖母様が規格外の方達なので、王家とも関係が深く普通とは縁遠い。
一昨年お亡くなりになったお祖母様が凄すぎて、私たち家族の感覚がちょっとおかしくなっているのは分かってます。
魔法レベルが100を超えたら無敵とさえ言われているのに、お祖母様は軽く200を超えていらした。
しかも現国王陛下のウィリアム・アレキサンドライト陛下夫妻の幼馴染であり、長く王妃イザベル様の侍女長を務めていた。
これだけでもとんでもないのに、前ガーネット子爵であったエインお祖父様は元第一騎士団長で、お父様の妹ソフィア様はローランド王太子殿下の妃殿下。
火力が強すぎて、うっかり愚痴を言えば大変な事になります。
何故って?
私がお祖母様のような、髪も目も同じガーネット色をしているし、クリスタル家関係者で唯一の女の孫なので、溺愛されまくっているんです。
「魔獣王様や精霊王様にまでこの騒ぎ、行かないよね」
お祖母様の交友関係は広すぎて、私も把握し切れてない。
学園の廊下の真ん中で、婚約者からの言葉に頭を抱えそうになった。
偉そうに言ってますが、婚約者が居ながら別の令嬢に入れ込んでいる段階で、立場的にアウトなのが理解出来てないようです。
「分かりました。では、失礼します」
面倒な事になりそうですが、彼の腕に絡み付いている令嬢や後ろの取り巻きの令息達がにやにや笑ってますね。
嫌だ、と泣いて縋るとでも思っているのでしょうか?
お慕いした事もない方に何故縋らなければならないのでしょうか?
本当に面倒です。
「お父様、ご相談したいことがあります」
卒業まで後1週間になった時、私、マリアーナ・ガーネットは父、ダドリー・ガーネットの執務室を訪れた。
私の訪問を知っていたようなお父様の顔に決心が揺らぎそうになったけど、顔を上げた。
「お父様。誠に申し訳ありませんが、私の力が足りず、トーマ様の心を繋ぎ止めることが出来ませんでした」
「トーマス・ダスト伯爵令息の事は知っている。マリ、何故もっと早く相談に来なかった?」
「お父様に相談をすれば、お祖父様達にもご迷惑を掛けると思って」
普通なら、普通の貴族ならすぐに親に相談する事だけど、うちはねぇ。
「シオン兄さんやアーネスト父さんがヤキモキしてたよ」
やっぱり。
「ま、さっくり片付けておくからゆっくり寝なさい」
「はい」
トーマ様、終わったな。
私は頭を下げ、お父様の執務室を出た。
簡単に我が家の事とこの国のことを説明するとしましょう。
この国の名はアレキサンド王国。
例外はありますが、貴族の多くは宝石を家名にしており、見た目も宝石の色を髪や瞳にしている。
そして我が家はガーネット子爵家と言い、外交官の補佐をしている。
当主はお父様のダドリー・ガーネット。
アーネストお祖父様と同じ、銀髪に見える白い髪とアメジストのような目をしている。
お母様はマチルダ・ガーネット。
ルビーのような透き通る赤い髪と紅い目の美女。
お兄様はルシル・ガーネットと言う。
お兄様は銀髪にガーネットみたいな目のやっぱり美形。
お父様がシオン兄さん、と呼んでいた方は、シオン・ラリマー侯爵様でこのアレキサンド王国の外交官でもあります。
2人ともクリスタル子爵であるアーネスト・クリスタル子爵とシルヴィー・クリスタル夫人の子供だが、クリスタル子爵は一代限りの貴族なので、それぞれ別の家に養子になった。
クリスタル子爵家は、爵位はそれほど高くないけど、お祖父様やお祖母様が規格外の方達なので、王家とも関係が深く普通とは縁遠い。
一昨年お亡くなりになったお祖母様が凄すぎて、私たち家族の感覚がちょっとおかしくなっているのは分かってます。
魔法レベルが100を超えたら無敵とさえ言われているのに、お祖母様は軽く200を超えていらした。
しかも現国王陛下のウィリアム・アレキサンドライト陛下夫妻の幼馴染であり、長く王妃イザベル様の侍女長を務めていた。
これだけでもとんでもないのに、前ガーネット子爵であったエインお祖父様は元第一騎士団長で、お父様の妹ソフィア様はローランド王太子殿下の妃殿下。
火力が強すぎて、うっかり愚痴を言えば大変な事になります。
何故って?
私がお祖母様のような、髪も目も同じガーネット色をしているし、クリスタル家関係者で唯一の女の孫なので、溺愛されまくっているんです。
「魔獣王様や精霊王様にまでこの騒ぎ、行かないよね」
お祖母様の交友関係は広すぎて、私も把握し切れてない。
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