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後日談 イズミル編

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イズミル編

初恋が木っ端微塵になってから怒涛の新年会が終わり、ちょっと時間が許せるようになったからと、デュランとアドリアーナが俺の失恋を慰める会をしてくれた。
んだけど……。

「うわーん、アレキサンドラが結婚しちゃう」

酒瓶抱えて、アドリアーナが号泣してしまった。
16歳から酒は飲めるし、酒豪だと思っていたが、これはなんなんだ?

「デュラン、これは?」
「リアナは5年も前からアレキサンドラに興味があったし、学園では親友だったからな」

それにしても、この泣き方は尋常じゃない。

「まぁ、初めて出来た、同性の友達だから思い入れは、な」

まるで恋人を失ったような泣き方に、俺の方がオロオロしてしまう。

「俺達しか居ないから、リアナも安心して感情を出してんだよ」

つまみのオリーブを食べながら、デュランは優しい目でアドリアーナを見ている。

「俺達王族はいろんな物を我慢しているが、平民や貴族ではありえない事を許される。でも、人の心までは自由に出来ない」

デュランの言葉でハッとした。
ユフラティス帝国から圧力を掛ければ、アレキサンドラを妻に出来るが、アレキサンドラの心は永遠に離れてしまう。

アドリアーナもそれが分かっているから感情を殺し、笑顔でアレキサンドラの婚約を祝っていたのか。

「アドリアーナは強いな」
「強くなったんだよ。少なくとも、俺の知ってたリアナはもっと我儘だった」

確かにそうだ。
アドリアーナは高位の貴族令嬢らしく、自領と自分だけが大切だった。

でも学園での彼女は、下位の貴族達にも目を配るようになり、結果、優れたものをそばに置くようになっている。

「大切な物を見つけると、それだけ人は強くなるって事だな」

デュランもアドリアーナと出会って、振り向かせようと努力したから、黒すぎるが強くなった。

「俺も、強くなる」
「そうだな。こっちとしては、それ以上強くなると面倒だけど、な」

酔い潰れたアドリアーナを抱き上げ、デュランが笑った。

恋を知って、俺の何かが変わった気がする。
それが何か、今は分からないが、きっといい事だ。

「進級前の休み、一度帝国に帰ってみたらどうだ?違う何かが見えるかもな」

デュランの言葉に頷いて、休みに国に戻る事を決めた。

……あいつ、絶対親父に何か頼まれてたんだ。
でも、うん、迷惑じゃ無い。
幼馴染の彼女が、あんなに綺麗になって俺を待っててくれていたんだから。
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