24 / 44
イケメンはどんな表情しててもイケメンです
しおりを挟む
士官学校の訓練場で、イクリスさんが下級生の指導をしているのが見える。
どうやら、イクリスが辺境伯の養子になったことや、お兄様と互角に戦える事を知った下級生達が指導を仰いだ様子に、ほっこりしてしまう。
邪魔してしまうかも、と訓練場の端で見ていると、イクリスが笑顔で此方に向かって来る。
「こんにちは。お邪魔してしまった様で」
「とんでもない。アレキサンドラ様がいらして下されば、下級生も訓練に気合が入ります」
まさか、と思いながら彼らに目を向けると、気合の入った声を上げながら訓練を始めました。
なんで?
「ねっ。それより、話しておきたいことがあります」
いつもより、緊張した顔を見せるイクリス……様。
なんでしょう。胸がムズムズします。
「以前、陛下から嬉しい申し出があったとお話しましたね。あれは、婚約者が決まったことなんです」
イクリス様に婚約者が……。
何故だろう。意味もなく、胸が痛くなって来ました。
学園に入ってから、ずっと親しくさせていただいていたせいかしら?
痛む胸を誤魔化しながら頷くと、真っ赤になったイクリス様が、ジッと此方を見ています。
「陛下は……アレキサンドラ様、貴女を私の婚約者に、と仰って下さいました」
そうですか、そのアレキサンドラ様がイクリス様の婚約者……。
ん?アレキサンドラ?私と同じ名前ですね。
ん?貴女……。
「うぇ、わ、わ、私?」
「はい。辺境伯となる条件に貴女を妻にしたいとお願いしたら……。あの、嫌でしたか?」
うー、前世で見た蓄音機の前で首を傾げるワンちゃんみたいです。
可愛らしい!!
「嫌だなんて……。でも、私で宜しいのでしょうか?」
令嬢らしさが無さすぎるので、申し訳なさすぎます。
「アレキサンドラ様が良いのです」
イケメンの照れた顔は破壊力抜群です。
意識が飛びそうです。
「しばらくは内密にして欲しいのですが、嬉しくて黙ってられなかった」
絶対、私、今茹で上がったタコみたいに真っ赤になっている。
でも、でも、嬉しい。
無意識にイクリス様に恋をしていたんだろう。
「辺境伯領は過酷な土地です。その様な場所に貴女を連れて行くことに戸惑いはありますが、過酷ゆえ愛する人が必要なんです」
イクリス様の言いたいことは、良く分かる。過酷な土地でも、愛する家族が居れば守りたいと思うし、頑張れる。
ノーエ辺境伯も、貴族では珍しい恋愛結婚ですから。
ゲームの断罪イベントでは、辺境伯に嫁ぐってなってたけど、現実世界ではハッピーエンドですよ。
こうなったら冤罪でのざまぁエンド?喜んでお受けします。
「不束者ですが、よろしくお願いします」
「良かったぁ。断られたら立ち直れなかったよ」
ホッとした顔が更にイケメンで、困ります。
どうやら、イクリスが辺境伯の養子になったことや、お兄様と互角に戦える事を知った下級生達が指導を仰いだ様子に、ほっこりしてしまう。
邪魔してしまうかも、と訓練場の端で見ていると、イクリスが笑顔で此方に向かって来る。
「こんにちは。お邪魔してしまった様で」
「とんでもない。アレキサンドラ様がいらして下されば、下級生も訓練に気合が入ります」
まさか、と思いながら彼らに目を向けると、気合の入った声を上げながら訓練を始めました。
なんで?
「ねっ。それより、話しておきたいことがあります」
いつもより、緊張した顔を見せるイクリス……様。
なんでしょう。胸がムズムズします。
「以前、陛下から嬉しい申し出があったとお話しましたね。あれは、婚約者が決まったことなんです」
イクリス様に婚約者が……。
何故だろう。意味もなく、胸が痛くなって来ました。
学園に入ってから、ずっと親しくさせていただいていたせいかしら?
痛む胸を誤魔化しながら頷くと、真っ赤になったイクリス様が、ジッと此方を見ています。
「陛下は……アレキサンドラ様、貴女を私の婚約者に、と仰って下さいました」
そうですか、そのアレキサンドラ様がイクリス様の婚約者……。
ん?アレキサンドラ?私と同じ名前ですね。
ん?貴女……。
「うぇ、わ、わ、私?」
「はい。辺境伯となる条件に貴女を妻にしたいとお願いしたら……。あの、嫌でしたか?」
うー、前世で見た蓄音機の前で首を傾げるワンちゃんみたいです。
可愛らしい!!
「嫌だなんて……。でも、私で宜しいのでしょうか?」
令嬢らしさが無さすぎるので、申し訳なさすぎます。
「アレキサンドラ様が良いのです」
イケメンの照れた顔は破壊力抜群です。
意識が飛びそうです。
「しばらくは内密にして欲しいのですが、嬉しくて黙ってられなかった」
絶対、私、今茹で上がったタコみたいに真っ赤になっている。
でも、でも、嬉しい。
無意識にイクリス様に恋をしていたんだろう。
「辺境伯領は過酷な土地です。その様な場所に貴女を連れて行くことに戸惑いはありますが、過酷ゆえ愛する人が必要なんです」
イクリス様の言いたいことは、良く分かる。過酷な土地でも、愛する家族が居れば守りたいと思うし、頑張れる。
ノーエ辺境伯も、貴族では珍しい恋愛結婚ですから。
ゲームの断罪イベントでは、辺境伯に嫁ぐってなってたけど、現実世界ではハッピーエンドですよ。
こうなったら冤罪でのざまぁエンド?喜んでお受けします。
「不束者ですが、よろしくお願いします」
「良かったぁ。断られたら立ち直れなかったよ」
ホッとした顔が更にイケメンで、困ります。
156
お気に入りに追加
322
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

婚約者の態度が悪いので婚約破棄を申し出たら、えらいことになりました
神村 月子
恋愛
貴族令嬢アリスの婚約者は、毒舌家のラウル。
彼と会うたびに、冷たい言葉を投げつけられるし、自分よりも妹のソフィといるほうが楽しそうな様子を見て、アリスはとうとう心が折れてしまう。
「それならば、自分と妹が婚約者を変わればいいのよ」と思い付いたところから、えらいことになってしまうお話です。
登場人物たちの不可解な言動の裏に何があるのか、謎解き感覚でお付き合いください。
※当作品は、「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています

「平民との恋愛を選んだ王子、後悔するが遅すぎる」
ゆる
恋愛
平民との恋愛を選んだ王子、後悔するが遅すぎる
婚約者を平民との恋のために捨てた王子が見た、輝く未来。
それは、自分を裏切ったはずの侯爵令嬢の背中だった――。
グランシェル侯爵令嬢マイラは、次期国王の弟であるラウル王子の婚約者。
将来を約束された華やかな日々が待っている――はずだった。
しかしある日、ラウルは「愛する平民の女性」と結婚するため、婚約破棄を一方的に宣言する。
婚約破棄の衝撃、社交界での嘲笑、周囲からの冷たい視線……。
一時は心が折れそうになったマイラだが、父である侯爵や信頼できる仲間たちとともに、自らの人生を切り拓いていく決意をする。
一方、ラウルは平民女性リリアとの恋を選ぶものの、周囲からの反発や王家からの追放に直面。
「息苦しい」と捨てた婚約者が、王都で輝かしい成功を収めていく様子を知り、彼が抱えるのは後悔と挫折だった。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。

【完結】転生地味悪役令嬢は婚約者と男好きヒロイン諸共無視しまくる。
なーさ
恋愛
アイドルオタクの地味女子 水上羽月はある日推しが轢かれそうになるのを助けて死んでしまう。そのことを不憫に思った女神が「あなた、可哀想だから転生!」「え?」なんの因果か異世界に転生してしまう!転生したのは地味な公爵令嬢レフカ・エミリーだった。目が覚めると私の周りを大人が囲っていた。婚約者の第一王子も男好きヒロインも無視します!今世はうーん小説にでも生きようかな〜と思ったらあれ?あの人は前世の推しでは!?地味令嬢のエミリーが知らず知らずのうちに戦ったり溺愛されたりするお話。
本当に駄文です。そんなものでも読んでお気に入り登録していただけたら嬉しいです!
婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした
アルト
ファンタジー
今から七年前。
婚約者である王太子の都合により、ありもしない罪を着せられ、国外追放に処された一人の令嬢がいた。偽りの悪業の経歴を押し付けられ、人里に彼女の居場所はどこにもなかった。
そして彼女は、『魔の森』と呼ばれる魔窟へと足を踏み入れる。
そして現在。
『魔の森』に住まうとある女性を訪ねてとある集団が彼女の勧誘にと向かっていた。
彼らの正体は女神からの神託を受け、結成された魔王討伐パーティー。神託により指名された最後の一人の勧誘にと足を運んでいたのだが——。
公爵家の家族ができました。〜記憶を失くした少女は新たな場所で幸せに過ごす〜
月
ファンタジー
記憶を失くしたフィーは、怪我をして国境沿いの森で倒れていたところをウィスタリア公爵に助けてもらい保護される。
けれど、公爵家の次女フィーリアの大切なワンピースを意図せず着てしまい、双子のアルヴァートとリティシアを傷付けてしまう。
ウィスタリア公爵夫妻には五人の子どもがいたが、次女のフィーリアは病気で亡くなってしまっていたのだ。
大切なワンピースを着てしまったこと、フィーリアの愛称フィーと公爵夫妻から呼ばれたことなどから双子との確執ができてしまった。
子どもたちに受け入れられないまま王都にある本邸へと戻ることになってしまったフィーに、そのこじれた関係のせいでとある出来事が起きてしまう。
素性もわからないフィーに優しくしてくれるウィスタリア公爵夫妻と、心を開き始めた子どもたちにどこか後ろめたい気持ちを抱いてしまう。
それは夢の中で見た、フィーと同じ輝くような金色の髪をした男の子のことが気になっていたからだった。
夢の中で見た、金色の花びらが舞う花畑。
ペンダントの金に彫刻された花と水色の魔石。
自分のことをフィーと呼んだ、夢の中の男の子。
フィーにとって、それらは記憶を取り戻す唯一の手がかりだった。
夢で会った、金色の髪をした男の子との関係。
新たに出会う、友人たち。
再会した、大切な人。
そして成長するにつれ周りで起き始めた不可解なこと。
フィーはどのように公爵家で過ごしていくのか。
★記憶を失くした代わりに前世を思い出した、ちょっとだけ感情豊かな少女が新たな家族の優しさに触れ、信頼できる友人に出会い、助け合い、そして忘れていた大切なものを取り戻そうとするお話です。
※前世の記憶がありますが、転生のお話ではありません。
※一話あたり二千文字前後となります。

【完結】婚約者も両親も家も全部妹に取られましたが、庭師がざまぁ致します。私はどうやら帝国の王妃になるようです?
鏑木 うりこ
恋愛
父親が一緒だと言う一つ違いの妹は姉の物を何でも欲しがる。とうとう婚約者のアレクシス殿下まで欲しいと言い出た。もうここには居たくない姉のユーティアは指輪を一つだけ持って家を捨てる事を決める。
「なあ、お嬢さん、指輪はあんたを選んだのかい?」
庭師のシューの言葉に頷くと、庭師はにやりと笑ってユーティアの手を取った。
少し前に書いていたものです。ゆるーく見ていただけると助かります(*‘ω‘ *)
HOT&人気入りありがとうございます!(*ノωノ)<ウオオオオオオ嬉しいいいいい!
色々立て込んでいるため、感想への返信が遅くなっております、申し訳ございません。でも全部ありがたく読ませていただいております!元気でます~!('ω')完結まで頑張るぞーおー!
★おかげさまで完結致しました!そしてたくさんいただいた感想にやっとお返事が出来ました!本当に本当にありがとうございます、元気で最後まで書けたのは皆さまのお陰です!嬉し~~~~~!
これからも恋愛ジャンルもポチポチと書いて行きたいと思います。また趣味趣向に合うものがありましたら、お読みいただけるととっても嬉しいです!わーいわーい!
【完結】をつけて、完結表記にさせてもらいました!やり遂げた~(*‘ω‘ *)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる