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更に進む騎士団自衛隊化計画

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そんな会話のおかげか、アレキサンドラが士官学校に遊びに行くと、必ずイクリスがエスコートする様になり、アドリアーナや騎士団に助けられた貴族の令嬢や令息達も士官学校に顔を出す様になり、緩やかな交流が広がっていった。

「そう言えば隣国の騎士団が怯えてましたわ」

アドリアーナの言葉に周りのもの達がキョトンとする。

「怯える?何に?」
「我が国の騎士団が謁見式で一直線に並び瞬きもしないで睨んでいたとか」

あ!儀仗兵の澄み切った殺気。

アレキサンドラが頭の中で頷いているとイクリスが当然だと言う顔で頷いた。

「当然です。相手に対して敬意を表するのと同時に我が軍の士気の高さも示すものですから」

一部の乱れもなく並び瞬きをしないのは威嚇ではなく士気の高さを見せる行為の一つなのだ、と説明すれば訓練生達もうんうんと頷く。

「だが、うちの騎士団は必ず水曜日の昼に出るスープを絶賛していたぞ」

イズミルはあれは美味いと言いながら笑う横でアレキサンドラが海自のカレーみたいだよねー、と思っていた。

着実に騎士団の自衛隊化が進んでいる事にアレキサンドラはニマニマしているが、周りのもの達は女神の様な彼女の笑顔に見惚れていた。

そんな賑やかな空気に包まれながら、一年があっという間に過ぎ、アレキサンドラ達は学年が一つ上がった。

ゲームの事などすっかり忘れていたが、新入生の中にピンク色の髪をした少女を見つけ、アレキサンドラはふぅ、と溜息を漏らした。

「これからゲーム開始かぁ。面倒だこと」

『キラキラ・プリンセス~学園は花盛り~』は乙女ゲーム王道まっしぐらだから、通常ルートの断罪も悪役令嬢は修道院行きか、平民落ちくらいだ。

イジメや嫌がらせなどする気はないが、ヒロインが電波の入っている転生者だと、イジメを捏造されて断罪される事も考えられる。

「今の私が婚約者では無く、候補の1人だ、と言う事でシナリオは崩れている事に気が付いてくれれば、少しはマシかなぁ」

外に並ぶ新入生達の列で、目立つピンクの髪を窓辺から見ながら、これからの事を考えていると

「アレキサンドラ、そんな物憂げな溜息をついて」

アドリアーナがアレキサンドラの顔を覗き込み、心配そうな顔をしている。

「この一年、お父様が申し入れても、私が候補から外されなかったので」

それが全てではないが、溜息の要因の一つでもある。

「王家はペトリオス侯爵家の取り込みをしたいのよ。第一王子達の生母は身分の低い側妃ですから」

お母様から現陛下が学生の頃、乙女ゲームみたいな事があり、王妃様と婚約するのが大変だったと聞いた事がある。

「ですが、側妃様はその騒ぎの張本人では無かった、とも聞いています」
「ええ。張本人の男爵令嬢は戒律の厳しい北の修道院送りになったみたいですが、側妃様はその騒ぎの張本人である男爵令嬢の友人で、宰相を懐柔して側妃に収まったの」

うーん、側妃様は腹黒さんの様です。
そう言えば、第一王子達の側近には宰相閣下の次男や法皇猊下の三男、大商人の次男が付いててそれ全部が攻略キャラだった気がする。
ゲームに騎士キャラが居ないのは、隣同士だけど騎士は違う学校の生徒だもんね。
うん、納得だ。

「早く候補から外していただければいいのですが」

王子様達は私の事、熊みたいな女って言って嫌ってるんだから、とっとと外してくれよ。
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