9 / 44
更に進む騎士団自衛隊化計画
しおりを挟む
そんな会話のおかげか、アレキサンドラが士官学校に遊びに行くと、必ずイクリスがエスコートする様になり、アドリアーナや騎士団に助けられた貴族の令嬢や令息達も士官学校に顔を出す様になり、緩やかな交流が広がっていった。
「そう言えば隣国の騎士団が怯えてましたわ」
アドリアーナの言葉に周りのもの達がキョトンとする。
「怯える?何に?」
「我が国の騎士団が謁見式で一直線に並び瞬きもしないで睨んでいたとか」
あ!儀仗兵の澄み切った殺気。
アレキサンドラが頭の中で頷いているとイクリスが当然だと言う顔で頷いた。
「当然です。相手に対して敬意を表するのと同時に我が軍の士気の高さも示すものですから」
一部の乱れもなく並び瞬きをしないのは威嚇ではなく士気の高さを見せる行為の一つなのだ、と説明すれば訓練生達もうんうんと頷く。
「だが、うちの騎士団は必ず水曜日の昼に出るスープを絶賛していたぞ」
イズミルはあれは美味いと言いながら笑う横でアレキサンドラが海自のカレーみたいだよねー、と思っていた。
着実に騎士団の自衛隊化が進んでいる事にアレキサンドラはニマニマしているが、周りのもの達は女神の様な彼女の笑顔に見惚れていた。
そんな賑やかな空気に包まれながら、一年があっという間に過ぎ、アレキサンドラ達は学年が一つ上がった。
ゲームの事などすっかり忘れていたが、新入生の中にピンク色の髪をした少女を見つけ、アレキサンドラはふぅ、と溜息を漏らした。
「これからゲーム開始かぁ。面倒だこと」
『キラキラ・プリンセス~学園は花盛り~』は乙女ゲーム王道まっしぐらだから、通常ルートの断罪も悪役令嬢は修道院行きか、平民落ちくらいだ。
イジメや嫌がらせなどする気はないが、ヒロインが電波の入っている転生者だと、イジメを捏造されて断罪される事も考えられる。
「今の私が婚約者では無く、候補の1人だ、と言う事でシナリオは崩れている事に気が付いてくれれば、少しはマシかなぁ」
外に並ぶ新入生達の列で、目立つピンクの髪を窓辺から見ながら、これからの事を考えていると
「アレキサンドラ、そんな物憂げな溜息をついて」
アドリアーナがアレキサンドラの顔を覗き込み、心配そうな顔をしている。
「この一年、お父様が申し入れても、私が候補から外されなかったので」
それが全てではないが、溜息の要因の一つでもある。
「王家はペトリオス侯爵家の取り込みをしたいのよ。第一王子達の生母は身分の低い側妃ですから」
お母様から現陛下が学生の頃、乙女ゲームみたいな事があり、王妃様と婚約するのが大変だったと聞いた事がある。
「ですが、側妃様はその騒ぎの張本人では無かった、とも聞いています」
「ええ。張本人の男爵令嬢は戒律の厳しい北の修道院送りになったみたいですが、側妃様はその騒ぎの張本人である男爵令嬢の友人で、宰相を懐柔して側妃に収まったの」
うーん、側妃様は腹黒さんの様です。
そう言えば、第一王子達の側近には宰相閣下の次男や法皇猊下の三男、大商人の次男が付いててそれ全部が攻略キャラだった気がする。
ゲームに騎士キャラが居ないのは、隣同士だけど騎士は違う学校の生徒だもんね。
うん、納得だ。
「早く候補から外していただければいいのですが」
王子様達は私の事、熊みたいな女って言って嫌ってるんだから、とっとと外してくれよ。
「そう言えば隣国の騎士団が怯えてましたわ」
アドリアーナの言葉に周りのもの達がキョトンとする。
「怯える?何に?」
「我が国の騎士団が謁見式で一直線に並び瞬きもしないで睨んでいたとか」
あ!儀仗兵の澄み切った殺気。
アレキサンドラが頭の中で頷いているとイクリスが当然だと言う顔で頷いた。
「当然です。相手に対して敬意を表するのと同時に我が軍の士気の高さも示すものですから」
一部の乱れもなく並び瞬きをしないのは威嚇ではなく士気の高さを見せる行為の一つなのだ、と説明すれば訓練生達もうんうんと頷く。
「だが、うちの騎士団は必ず水曜日の昼に出るスープを絶賛していたぞ」
イズミルはあれは美味いと言いながら笑う横でアレキサンドラが海自のカレーみたいだよねー、と思っていた。
着実に騎士団の自衛隊化が進んでいる事にアレキサンドラはニマニマしているが、周りのもの達は女神の様な彼女の笑顔に見惚れていた。
そんな賑やかな空気に包まれながら、一年があっという間に過ぎ、アレキサンドラ達は学年が一つ上がった。
ゲームの事などすっかり忘れていたが、新入生の中にピンク色の髪をした少女を見つけ、アレキサンドラはふぅ、と溜息を漏らした。
「これからゲーム開始かぁ。面倒だこと」
『キラキラ・プリンセス~学園は花盛り~』は乙女ゲーム王道まっしぐらだから、通常ルートの断罪も悪役令嬢は修道院行きか、平民落ちくらいだ。
イジメや嫌がらせなどする気はないが、ヒロインが電波の入っている転生者だと、イジメを捏造されて断罪される事も考えられる。
「今の私が婚約者では無く、候補の1人だ、と言う事でシナリオは崩れている事に気が付いてくれれば、少しはマシかなぁ」
外に並ぶ新入生達の列で、目立つピンクの髪を窓辺から見ながら、これからの事を考えていると
「アレキサンドラ、そんな物憂げな溜息をついて」
アドリアーナがアレキサンドラの顔を覗き込み、心配そうな顔をしている。
「この一年、お父様が申し入れても、私が候補から外されなかったので」
それが全てではないが、溜息の要因の一つでもある。
「王家はペトリオス侯爵家の取り込みをしたいのよ。第一王子達の生母は身分の低い側妃ですから」
お母様から現陛下が学生の頃、乙女ゲームみたいな事があり、王妃様と婚約するのが大変だったと聞いた事がある。
「ですが、側妃様はその騒ぎの張本人では無かった、とも聞いています」
「ええ。張本人の男爵令嬢は戒律の厳しい北の修道院送りになったみたいですが、側妃様はその騒ぎの張本人である男爵令嬢の友人で、宰相を懐柔して側妃に収まったの」
うーん、側妃様は腹黒さんの様です。
そう言えば、第一王子達の側近には宰相閣下の次男や法皇猊下の三男、大商人の次男が付いててそれ全部が攻略キャラだった気がする。
ゲームに騎士キャラが居ないのは、隣同士だけど騎士は違う学校の生徒だもんね。
うん、納得だ。
「早く候補から外していただければいいのですが」
王子様達は私の事、熊みたいな女って言って嫌ってるんだから、とっとと外してくれよ。
131
お気に入りに追加
287
あなたにおすすめの小説
処刑される未来をなんとか回避したい公爵令嬢と、その公爵令嬢を絶対に処刑したい男爵令嬢のお話
真理亜
恋愛
公爵令嬢のイライザには夢という形で未来を予知する能力があった。その夢の中でイライザは冤罪を着せられ処刑されてしまう。そんな未来を絶対に回避したいイライザは、予知能力を使って未来を変えようと奮闘する。それに対して、男爵令嬢であるエミリアは絶対にイライザを処刑しようと画策する。実は彼女にも譲れない理由があって...
ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい
珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。
本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。
…………私も消えることができるかな。
私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。
私は、邪魔な子だから。
私は、いらない子だから。
だからきっと、誰も悲しまない。
どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。
そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。
異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。
☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。
彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。
学園首席の私は魔力を奪われて婚約破棄されたけど、借り物の魔力でいつまで調子に乗っているつもり?
今川幸乃
ファンタジー
下級貴族の生まれながら魔法の練習に励み、貴族の子女が集まるデルフィーラ学園に首席入学を果たしたレミリア。
しかし進級試験の際に彼女の実力を嫉妬したシルヴィアの呪いで魔力を奪われ、婚約者であったオルクには婚約破棄されてしまう。
が、そんな彼女を助けてくれたのはアルフというミステリアスなクラスメイトであった。
レミリアはアルフとともに呪いを解き、シルヴィアへの復讐を行うことを決意する。
レミリアの魔力を奪ったシルヴィアは調子に乗っていたが、全校生徒の前で魔法を披露する際に魔力を奪い返され、醜態を晒すことになってしまう。
※3/6~ プチ改稿中
デブだからといって婚約破棄された伯爵令嬢、前世の記憶を駆使してダイエットする~自立しようと思っているのに気がついたら溺愛されてました~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
デブだからといって婚約破棄された伯爵令嬢エヴァンジェリンは、その直後に前世の記憶を思い出す。
かつてダイエットオタクだった記憶を頼りに伯爵領でダイエット。
ついでに魔法を極めて自立しちゃいます!
師匠の変人魔導師とケンカしたりイチャイチャしたりしながらのスローライフの筈がいろんなゴタゴタに巻き込まれたり。
痩せたからってよりを戻そうとする元婚約者から逃げるために偽装婚約してみたり。
波乱万丈な転生ライフです。
エブリスタにも掲載しています。
88回の前世で婚約破棄され続けて男性不信になった令嬢〜今世は絶対に婚約しないと誓ったが、なぜか周囲から溺愛されてしまう
冬月光輝
恋愛
ハウルメルク公爵家の令嬢、クリスティーナには88回分の人生の記憶がある。
前世の88回は全てが男に婚約破棄され、近しい人間に婚約者を掠め取られ、悲惨な最期を遂げていた。
彼女は88回の人生は全て自分磨きに費やしていた。美容から、勉学に運動、果てには剣術や魔術までを最高レベルにまで極めたりした。
それは全て無駄に終わり、クリスは悟った。
“男は必ず裏切る”それなら、いっそ絶対に婚約しないほうが幸せだと。
89回目の人生を婚約しないように努力した彼女は、前世の88回分の経験値が覚醒し、無駄にハイスペックになっていたおかげで、今更モテ期が到来して、周囲から溺愛されるのであった。しかし、男に懲りたクリスはただひたすら迷惑な顔をしていた。
遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!
天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。
魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。
でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。
一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。
トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。
互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。
。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.
他サイトにも連載中
2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。
よろしくお願いいたします。m(_ _)m
侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!
婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~
ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。
そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。
自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。
マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――
※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。
※第二章まで完結してます。現在、最終章について考え中です(第二章が考えていた話から離れてしまいました(^_^;))
書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m
※小説家になろう様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる