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冬のパーティが始まる
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「冬のパーティーでは盛大に幻覚魔法を解呪して下さい」
後数日で冬のパーティーになった時、アリッサが笑顔でミモザにお願いをした。
学園は既に幻覚魔法を信じ切った者達と自分の力と目で真実を見つけたものと2つに分かれていた。
2つというと同数に聞こえるが、実際のところ大多数は真実を理解した者達で、残りは少数の愚か者に分けられている。
「思っていた以上の生徒がしっかりした目を持っていることが分かり、私達にも恩恵があったな」
「はい。良い選別になります」
エリンジウムがにっこり笑えば、マロウ達もいい笑顔で頷く。
やっと辛い日々が終わりを告げる。
冬のパーティー当日。
ミモザ達はそれぞれのパートナーが贈ったドレスを纏い、会場へ入って来た。
「ミモザ・ノースマルド公爵令嬢。此方に」
冬のパーティーが始まる時、エリンジウムがミモザの名前を呼んだ。
ニヤつく者の前に立つミモザは夏のパーティーの様にエリンジウムの瞳の色を映し取った様な色のドレスを着こなし、毅然と前に進み出た。
「貴女を婚約者として迎えるにあたり、聞きたい事がある」
醜悪にニヤける顔を隠しもしないものを横目に、ミモザは美しい姿勢でカーテシーをした。
「聞かれて困る様な行動はしておりません」
「なるほど。では、現状をどう理解している?」
エリンジウムの発言にニヤけた者達の顔がさらに歪む。
「大魔法使いファルシオンの進言では、幻覚魔法が学園を覆っている、と」
ミモザの凛とした声に会場内が俄かに騒めき、ニヤけた顔をしていた者達の顔に焦りが浮かぶ。
アリッサの掛けた幻覚魔法は精神まで支配する強力な物ではなく、歪な認識をほんの少し肯定するもの。
だから自分の力で抵抗する者や噂に踊らされないでミモザ達を庇う者達が多数いるのだ。
「で、ミモザ・ノースマルド公爵令嬢。貴女ならどうする?」
「幸い、わたくしは解呪魔法の使い手だと魔法省で認定を受けましたので、幻覚魔法を解呪したいと思ってます」
エリンジウムとミモザはパーティーが始まる前から話し合い、アリッサの掛けた幻覚魔法の解呪の機会をパーティーが始まる前にしよう、と決めたのだ。
「アリッサ、準備は?」
「万全です」
今回は裏方に回ったアリッサがローブのフードを少し持ち上げ、ニコッと笑う。
実際、ミモザに解呪してもらう時にアリッサ達が更に演出をし、派手にするつもりだ。
騒つく会場を見ながら、ファルシオンも頷く。
「こっちもアンサシアが協力すると言い出した時はちょっと驚きましたが、アンサシアもこの世界を弄ぶ力に腹を立てている様ですから」
「俺の方にはドラゴンのゴールドが怒鳴り込んできたぞ」
「ゴールドが?何故?」
「アイツらも時間がぐちゃぐちゃにされてるのに腹を立ててたし、なにより自分が助けたミモザ嬢を攻撃したからな」
「……派手になりそうですね」
アリッサはエリンジウムと話しているミモザの合図を確認し、ゆっくりと手を上げた。
後数日で冬のパーティーになった時、アリッサが笑顔でミモザにお願いをした。
学園は既に幻覚魔法を信じ切った者達と自分の力と目で真実を見つけたものと2つに分かれていた。
2つというと同数に聞こえるが、実際のところ大多数は真実を理解した者達で、残りは少数の愚か者に分けられている。
「思っていた以上の生徒がしっかりした目を持っていることが分かり、私達にも恩恵があったな」
「はい。良い選別になります」
エリンジウムがにっこり笑えば、マロウ達もいい笑顔で頷く。
やっと辛い日々が終わりを告げる。
冬のパーティー当日。
ミモザ達はそれぞれのパートナーが贈ったドレスを纏い、会場へ入って来た。
「ミモザ・ノースマルド公爵令嬢。此方に」
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ニヤつく者の前に立つミモザは夏のパーティーの様にエリンジウムの瞳の色を映し取った様な色のドレスを着こなし、毅然と前に進み出た。
「貴女を婚約者として迎えるにあたり、聞きたい事がある」
醜悪にニヤける顔を隠しもしないものを横目に、ミモザは美しい姿勢でカーテシーをした。
「聞かれて困る様な行動はしておりません」
「なるほど。では、現状をどう理解している?」
エリンジウムの発言にニヤけた者達の顔がさらに歪む。
「大魔法使いファルシオンの進言では、幻覚魔法が学園を覆っている、と」
ミモザの凛とした声に会場内が俄かに騒めき、ニヤけた顔をしていた者達の顔に焦りが浮かぶ。
アリッサの掛けた幻覚魔法は精神まで支配する強力な物ではなく、歪な認識をほんの少し肯定するもの。
だから自分の力で抵抗する者や噂に踊らされないでミモザ達を庇う者達が多数いるのだ。
「で、ミモザ・ノースマルド公爵令嬢。貴女ならどうする?」
「幸い、わたくしは解呪魔法の使い手だと魔法省で認定を受けましたので、幻覚魔法を解呪したいと思ってます」
エリンジウムとミモザはパーティーが始まる前から話し合い、アリッサの掛けた幻覚魔法の解呪の機会をパーティーが始まる前にしよう、と決めたのだ。
「アリッサ、準備は?」
「万全です」
今回は裏方に回ったアリッサがローブのフードを少し持ち上げ、ニコッと笑う。
実際、ミモザに解呪してもらう時にアリッサ達が更に演出をし、派手にするつもりだ。
騒つく会場を見ながら、ファルシオンも頷く。
「こっちもアンサシアが協力すると言い出した時はちょっと驚きましたが、アンサシアもこの世界を弄ぶ力に腹を立てている様ですから」
「俺の方にはドラゴンのゴールドが怒鳴り込んできたぞ」
「ゴールドが?何故?」
「アイツらも時間がぐちゃぐちゃにされてるのに腹を立ててたし、なにより自分が助けたミモザ嬢を攻撃したからな」
「……派手になりそうですね」
アリッサはエリンジウムと話しているミモザの合図を確認し、ゆっくりと手を上げた。
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