[完結]7回も人生やってたら無双になるって

紅月

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美しすぎるのは危険なので隠しましょう

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翌日は、朝からアリッサはミモザの侍女達に捕まり、ドレスの着付けから化粧まで一切の身支度をもの凄い熱量で施された。

「アリッサ様は飾り甲斐があって楽しかったです」

サマーパーティが始まる前からアリッサはぐったりしていたが、着飾った姿は息を呑むほど美しい。

「ミモザ様には、大変お世話になりました」

過去、これほど気合を入れて着飾った事がないアリッサは鏡に映る自分の姿が他人のように見え、本気で戸惑っていた。

「やはり、ファルシオン先生とパーティーの間は一緒にいた方がいい様ですわ」
「暴走する方が出そうですね」
「暴走?廊下を走るのですか?」
「ミモザ様、すこしアリッサ様の情緒が心配です」
「……アリッサ様はファルシオン先生と行動を共にして下さいね」

ミモザが侍女達とアリッサに言い聞かせる様に言うと、丁度ノックの音がした。
返事をすれば、ランタナとエニシダが着飾った姿でミモザの部屋に入って来た。

「……ミモザ様。これは……」

アリッサの姿に2人は唖然としている。

「アリッサ様は飾り甲斐があって、侍女達が頑張ってくれましたの」
「アリッサ様。けっしてファルシオン先生から離れないで下さい。会場がある意味戦場になります」

エニシダの言葉に、アリッサも引き攣りながら頷く。



自分達のパートナーと合流する為控え室を出た4人を他の学生達が羨望の眼差しで見詰める。

其々が違った美しさを持ち、朗らかに微笑む姿は、同じ学生だと言うのに格の違いを見せ付けた。

彼女達はけっして自分達の美しさをひけらかしている訳では無い。
でも、光り輝く様な姿は、他者を平伏させる圧倒的な力になりうる。

形式ばっていないサマーパーティでこれ程なのだから、正式な夜会や舞踏会ではどれ程輝くのか、逆に見てみたくなると周りはキャーキャー言い出していた。

「ノースマルド公爵令嬢のドレス、エリンジウム王太子殿下がプレゼントしたはずよね」

ペールブルーのドレスはエリンジウムの瞳の色と同じ物。

「ネムタス伯爵令嬢の緑のドレスって、モルセラ様の瞳の色と一緒みたい」

エニシダの深緑の髪より明るい緑のドレスは、モルセラの瞳の色。

「メリス子爵令嬢のドレスは……」
「ご自分の瞳の色より深い紫と言う事は……」

ランタナの瞳も紫だが、ドレスの色はマロウの瞳や髪の色の方が近い。

そして圧巻だったのはアリッサの姿だ。
アメジストの様な澄んだ紫が白からグラデーションで夏らしい涼しげな装い。
ハーフアップされた銀髪がアリッサの美貌をさらに引き立てている。

「何方かしら?」
「見惚れる程美しい方」

此処は女子生徒しか居ないが、これで会場に入れば更に騒がしくなるだろう。

「ミモザ様。アリッサさんを隠しましょう」

ランタナが真剣な目でミモザに訴えれば、エニシダも頷く。

「そうですね。せめて会場に入るまではわたくし達でお守りしましょう」

ミモザも頷き、アリッサを囲む様にして会場に向かった。
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