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漸く糸口が出て来たようです
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「アリッサに惚れるなよ」
転移魔法で学園に戻ったサンキライの言葉に、エリンジウム達は目を見開いて驚いた。
「何故、サンキライ先生が……」
エリンジウムは戸惑っていたが、自分の淡い思いを否定するのか、とマロウやモルセラがサンキライを睨む。だが、サンキライの目は鋭く容赦なかった。
「アリッサにはドラゴンよりも怖い奴がそばに居る」
サンキライが誰を言っているのかなど言われなくても分かっている。
それでも、と言おうとした時サンキライが更に衝撃的な事を言った。
「それに、アリッサは厄介な呪いを掛けられてもいる」
えっ、と驚く彼らにガウラが不機嫌そうに頷いた。
「俺も聞いたことある。呪いのせいで勝手に時間が巻き戻っちまうって」
ループ魔法なんて聞いたこと無いが、年に似合わない実力と冷めた目をするアリッサの姿が呪いを肯定している。
「ノースマルド公爵令嬢。アリッサの手をとり、解呪魔法を使って下さい」
「えっ?わたくしにその様な力が?」
少し離れた場所に居たファルシオン達の会話に、エリンジウム達の重くなった空気が消される。
何の事だ、彼らが目を向けるとミモザは首を傾げながらアリッサを見る。
「シルバーからノースマルド公爵令嬢は稀有な解呪魔法の使い手だと聞きました」
アリッサの言葉にミモザの顔が少し青くなった。
「それでは、本当にアリッサ様は呪いに……」
「はい。厄介すぎて誰が何のために掛けた呪いかも分からないのです」
「分かりました。邪な呪いは無となり聖なる光よ戻りたまえ」
ミモザがアリッサの手を握り、頭の中に浮かんだ呪文らしきものを唱えた。
すると、明るいレモンイエローの光がアリッサだけで無く、エリンジウム達も包み込んだ。
「えっ」
「これは……」
柔らかな光の中、アリッサの左手に絡み付く太い鎖が見え、サンキライ達が驚いて目を見開いたが、ミモザはアリッサに絡み付く鎖を握ると更に魔力を込め呟いた。
「消え失せてしまいなさい。光は常に自由です」
稀有過ぎる魔法の為、正確な呪文を誰も知らないが、人の指ほど太い鎖が徐々に細くなっていく。
「ごめんなさい。これ以上は解呪出来ないみたい」
初めて解呪魔法を使ったのに、額に汗を浮かべながらミモザが悲しげな顔でアリッサを見る。
「いえ、可視化していただけるだけでも有難いのに、此処まで弱くしていただけて感謝の言葉が見つかりません」
糸のように細くなった鎖は、指で千切れそうな程頼りないものになっていた。
「素晴らしい魔力です。ノースマルド公爵令嬢の心が美しいお陰です」
ファルシオンも目を細め、ミモザに礼を言った。
「ですが、こんなに細いのに切れないなんて……」
ミモザが鎖を引っ張るが、びくともしない。
「元凶を片付けないと切れないのでしょう」
力を込めるミモザの手をやんわりと抑え、アリッサは微笑んだ。
転移魔法で学園に戻ったサンキライの言葉に、エリンジウム達は目を見開いて驚いた。
「何故、サンキライ先生が……」
エリンジウムは戸惑っていたが、自分の淡い思いを否定するのか、とマロウやモルセラがサンキライを睨む。だが、サンキライの目は鋭く容赦なかった。
「アリッサにはドラゴンよりも怖い奴がそばに居る」
サンキライが誰を言っているのかなど言われなくても分かっている。
それでも、と言おうとした時サンキライが更に衝撃的な事を言った。
「それに、アリッサは厄介な呪いを掛けられてもいる」
えっ、と驚く彼らにガウラが不機嫌そうに頷いた。
「俺も聞いたことある。呪いのせいで勝手に時間が巻き戻っちまうって」
ループ魔法なんて聞いたこと無いが、年に似合わない実力と冷めた目をするアリッサの姿が呪いを肯定している。
「ノースマルド公爵令嬢。アリッサの手をとり、解呪魔法を使って下さい」
「えっ?わたくしにその様な力が?」
少し離れた場所に居たファルシオン達の会話に、エリンジウム達の重くなった空気が消される。
何の事だ、彼らが目を向けるとミモザは首を傾げながらアリッサを見る。
「シルバーからノースマルド公爵令嬢は稀有な解呪魔法の使い手だと聞きました」
アリッサの言葉にミモザの顔が少し青くなった。
「それでは、本当にアリッサ様は呪いに……」
「はい。厄介すぎて誰が何のために掛けた呪いかも分からないのです」
「分かりました。邪な呪いは無となり聖なる光よ戻りたまえ」
ミモザがアリッサの手を握り、頭の中に浮かんだ呪文らしきものを唱えた。
すると、明るいレモンイエローの光がアリッサだけで無く、エリンジウム達も包み込んだ。
「えっ」
「これは……」
柔らかな光の中、アリッサの左手に絡み付く太い鎖が見え、サンキライ達が驚いて目を見開いたが、ミモザはアリッサに絡み付く鎖を握ると更に魔力を込め呟いた。
「消え失せてしまいなさい。光は常に自由です」
稀有過ぎる魔法の為、正確な呪文を誰も知らないが、人の指ほど太い鎖が徐々に細くなっていく。
「ごめんなさい。これ以上は解呪出来ないみたい」
初めて解呪魔法を使ったのに、額に汗を浮かべながらミモザが悲しげな顔でアリッサを見る。
「いえ、可視化していただけるだけでも有難いのに、此処まで弱くしていただけて感謝の言葉が見つかりません」
糸のように細くなった鎖は、指で千切れそうな程頼りないものになっていた。
「素晴らしい魔力です。ノースマルド公爵令嬢の心が美しいお陰です」
ファルシオンも目を細め、ミモザに礼を言った。
「ですが、こんなに細いのに切れないなんて……」
ミモザが鎖を引っ張るが、びくともしない。
「元凶を片付けないと切れないのでしょう」
力を込めるミモザの手をやんわりと抑え、アリッサは微笑んだ。
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