83 / 114
冒頭の叫びをもう一度。
しおりを挟む
いつもの姿に戻ったダドリーにホッとしたのか、シルヴィーも自然と笑顔になる。
「ですが、遠慮はしません」
なんの宣言だ、と聞く前にシルヴィーは抱き上げられ、ベッドに押し倒されていた。
「どうして、こうなった」
と、頭を抱えたかったが、ベッドに押し倒されている状況では、出来るわけない。
「ダドリー、貴方、今自分が何をしてるのか分かってるの?」
「当たり前だろ。やっと貴女を独り占めできるんだから」
覆い被さっている男、今は我が家の執事のダドリーが悪い笑みを浮かべ、執拗なほどねっとりしたキスをする。
「考え直して」
「何を?」
「私、ヒロインじゃないですよ」
「関係ないね。ヒロインの意味、解らないが俺はシルヴィー、貴女を独占したい」
何度も舌を絡めるキスに息が上がり、抵抗なんて出来なくなっていた。
「夜は長いんだし、存分に俺に溺れろ」
腹が立つほどイケメンの元暗殺者で、乙女ゲームの攻略対象者は嬉々としてシルヴィーの制服を脱がしていく。
もう一回言う。
どうして、こうなった?
だけど、現実逃避をする訳にはいかない。
「ダドリー、私は結婚する迄、清い身体でいたいの」
必死に、脱がされ掛けている制服を両手で死守し、今は漆黒の瞳になっているダドリーを睨んだ。
「それにヒロインみたいに、結婚する前から体の関係を持つなんて、恥ずかし過ぎて嫌」
真っ赤になって訴えるシルヴィーを押し倒していたダドリーは突然、ゲラゲラと笑い出した。
「ヒロインってそう言う意味なのか。ならば、シルヴィーはヒロインなんかじゃ無い」
違う、と言いたいが乙女と名が付いてても、18禁ゲームのヒロインは、だいたいラブエンドだからと言って、結婚前にキャラと体の関係を持っている。
「キスはお許し願えますか?」
笑いながらいやに丁寧な聞き方をするダドリーの目が見れないけど、小さく頷いた。
「人前は恥ずかしいから……」
ダドリーに触れられるのは嫌じゃ無いが、人前は恥ずかしい。
「シルヴィーは本当に可愛いな」
今度は軽いキスで、押し倒していたシルヴィーをベッドに座らせた。
「じゃあ、幸せな結婚の為にも、本格的にジルコニア一族をぶっ潰していいね」
口調はぞんざいになったが、基本は何一つ変わっていないダドリーにシルヴィーは頷いた。
「何処まで根を張り巡らせているか解らないけど、王国の為にならない物は排除するべきです」
「では、伯爵にそう提言しますか」
一瞬で色っぽい空気が無くなり、強かで冷酷な空気を纏い、シルヴィーに手を差し出した。
「ラスティックの方はウィリアム殿下達が動くので、私達はジルコニア一族の方を請け負いましょう」
シルヴィーもダドリーの手を取り、平然と言う。
「流石、未来のクリスタル子爵夫人だ」
「……クリスタル子爵って、まさか」
「伯爵に聞いてくれ」
「聞かない方がいい気がする」
シルヴィーの返事にまた、ダドリーがゲラゲラと笑った。
「ですが、遠慮はしません」
なんの宣言だ、と聞く前にシルヴィーは抱き上げられ、ベッドに押し倒されていた。
「どうして、こうなった」
と、頭を抱えたかったが、ベッドに押し倒されている状況では、出来るわけない。
「ダドリー、貴方、今自分が何をしてるのか分かってるの?」
「当たり前だろ。やっと貴女を独り占めできるんだから」
覆い被さっている男、今は我が家の執事のダドリーが悪い笑みを浮かべ、執拗なほどねっとりしたキスをする。
「考え直して」
「何を?」
「私、ヒロインじゃないですよ」
「関係ないね。ヒロインの意味、解らないが俺はシルヴィー、貴女を独占したい」
何度も舌を絡めるキスに息が上がり、抵抗なんて出来なくなっていた。
「夜は長いんだし、存分に俺に溺れろ」
腹が立つほどイケメンの元暗殺者で、乙女ゲームの攻略対象者は嬉々としてシルヴィーの制服を脱がしていく。
もう一回言う。
どうして、こうなった?
だけど、現実逃避をする訳にはいかない。
「ダドリー、私は結婚する迄、清い身体でいたいの」
必死に、脱がされ掛けている制服を両手で死守し、今は漆黒の瞳になっているダドリーを睨んだ。
「それにヒロインみたいに、結婚する前から体の関係を持つなんて、恥ずかし過ぎて嫌」
真っ赤になって訴えるシルヴィーを押し倒していたダドリーは突然、ゲラゲラと笑い出した。
「ヒロインってそう言う意味なのか。ならば、シルヴィーはヒロインなんかじゃ無い」
違う、と言いたいが乙女と名が付いてても、18禁ゲームのヒロインは、だいたいラブエンドだからと言って、結婚前にキャラと体の関係を持っている。
「キスはお許し願えますか?」
笑いながらいやに丁寧な聞き方をするダドリーの目が見れないけど、小さく頷いた。
「人前は恥ずかしいから……」
ダドリーに触れられるのは嫌じゃ無いが、人前は恥ずかしい。
「シルヴィーは本当に可愛いな」
今度は軽いキスで、押し倒していたシルヴィーをベッドに座らせた。
「じゃあ、幸せな結婚の為にも、本格的にジルコニア一族をぶっ潰していいね」
口調はぞんざいになったが、基本は何一つ変わっていないダドリーにシルヴィーは頷いた。
「何処まで根を張り巡らせているか解らないけど、王国の為にならない物は排除するべきです」
「では、伯爵にそう提言しますか」
一瞬で色っぽい空気が無くなり、強かで冷酷な空気を纏い、シルヴィーに手を差し出した。
「ラスティックの方はウィリアム殿下達が動くので、私達はジルコニア一族の方を請け負いましょう」
シルヴィーもダドリーの手を取り、平然と言う。
「流石、未来のクリスタル子爵夫人だ」
「……クリスタル子爵って、まさか」
「伯爵に聞いてくれ」
「聞かない方がいい気がする」
シルヴィーの返事にまた、ダドリーがゲラゲラと笑った。
62
お気に入りに追加
338
あなたにおすすめの小説
【完結】ヤンデレ設定の義弟を手塩にかけたら、シスコン大魔法士に育ちました!?
三月よる
恋愛
14歳の誕生日、ピフラは自分が乙女ゲーム「LOVE/HEART(ラブハート)」通称「ラブハ」の悪役である事に気がついた。シナリオ通りなら、ピフラは義弟ガルムの心を病ませ、ヤンデレ化した彼に殺されてしまう運命。生き残りのため、ピフラはガルムのヤンデレ化を防止すべく、彼を手塩にかけて育てる事を決意する。その後、メイドに命を狙われる事件がありながらも、良好な関係を築いてきた2人。
そして10年後。シスコンに育ったガルムに、ピフラは婚活を邪魔されていた。姉離れのためにガルムを結婚させようと、ピフラは相手のヒロインを探すことに。そんなある日、ピフラは謎の美丈夫ウォラクに出会った。彼はガルムと同じ赤い瞳をしていた。そこで「赤目」と「悪魔と黒魔法士」の秘密の相関関係を聞かされる。その秘密が過去のメイド事件と重なり、ピフラはガルムに疑心を抱き始めた。一方、ピフラを監視していたガルムは自分以外の赤目と接触したピフラを監禁して──?
【完結】生贄として育てられた少女は、魔術師団長に溺愛される
未知香
恋愛
【完結まで毎日1話~数話投稿します・最初はおおめ】
ミシェラは生贄として育てられている。
彼女が生まれた時から白い髪をしているという理由だけで。
生贄であるミシェラは、同じ人間として扱われず虐げ続けられてきた。
繰り返される苦痛の生活の中でミシェラは、次第に生贄になる時を心待ちにするようになった。
そんな時ミシェラが出会ったのは、村では竜神様と呼ばれるドラゴンの調査に来た魔術師団長だった。
生贄として育てられたミシェラが、魔術師団長に愛され、自分の生い立ちと決別するお話。
ハッピーエンドです!
※※※
他サイト様にものせてます
推しの兄を助けたら、なぜかヤンデレ執着化しました
群青みどり
恋愛
伯爵令嬢のメアリーは高熱でうなされている時に前世の記憶を思い出し、好きだった小説のヒロインに転生していると気づく。
しかしその小説は恋愛が主軸ではなく、家族が殺されて闇堕ちし、復讐に燃える推しが主人公のダークファンタジー小説だった。
闇堕ちしない推しと真っ当な恋愛を楽しむため、推しの家族を必ず救うと決意する。
家族殺害の危機を回避するために奮闘する日々を送っていると、推しの兄であるカシスと関わるようになる。
カシスは両親殺害の濡れ衣を着せられ処刑される運命で、何より推しが心から慕う相手。
必ず生きてもらわねば……! と強く願うメアリーはカシスと仲良くなり、さらには協力者となる。
「(推しの闇落ちを防ぐために)カシス様には幸せに生き続けて欲しいのです」
メアリーはカシス相手に勘違い発言を連発する中、ついに推しの家族を守ることに成功する。
ようやく推しとの明るい恋愛を楽しめると思っていたが、何やらカシスの様子がおかしくなり──
「君は弟を手に入れるため、俺に近づいて利用しようとしていたんだね」
「俺に愛されて可哀想に」
これは推しと恋愛するため奮闘していた少女が、気づけば推しの兄の重い愛に囚われてしまったお話。
【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。
樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」
大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。
はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!!
私の必死の努力を返してー!!
乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。
気付けば物語が始まる学園への入学式の日。
私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!!
私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ!
所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。
でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!!
攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢!
必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!!
やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!!
必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。
※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。
※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。
ヒロインではないので婚約解消を求めたら、逆に追われ監禁されました。
曼珠沙華
恋愛
「運命の人?そんなの君以外に誰がいるというの?」
きっかけは幼い頃の出来事だった。
ある豪雨の夜、窓の外を眺めていると目の前に雷が落ちた。
その光と音の刺激のせいなのか、ふと前世の記憶が蘇った。
あ、ここは前世の私がはまっていた乙女ゲームの世界。
そしてローズという自分の名前。
よりにもよって悪役令嬢に転生していた。
攻略対象たちと恋をできないのは残念だけど仕方がない。
婚約者であるウィリアムに婚約破棄される前に、自ら婚約解消を願い出た。
するとウィリアムだけでなく、護衛騎士ライリー、義弟ニコルまで様子がおかしくなり……?
モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します
みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが……
余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。
皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。
作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨
あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。
やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。
この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。
【本編完結】副団長様に愛されすぎてヤンデレられるモブは私です。
白霧雪。
恋愛
王国騎士団副団長直属秘書官――それが、サーシャの肩書きだった。上官で、幼馴染のラインハルトに淡い恋をするサーシャ。だが、ラインハルトに聖女からの釣書が届き、恋を諦めるために辞表を提出する。――が、辞表は目の前で破かれ、ラインハルトの凶悪なまでの愛を知る。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる