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貴方は何者?

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「まったく、責任感が強すぎるのも困ったものだ。解った、クリスタル子爵、入りなさい」
「失礼します」

聞き慣れた声がする。
シルヴィーが扉の方を見ると、貴族らしい服装に銀色に見える白い髪とアメジストの様な紫の瞳をしたダドリーが入ってきた。

「ダドリー」
「初めまして。アーネスト・クリスタルです」

全く知らない名前だが、別人とは思えない。

「お父様」
「君の婚約者候補の、クリスタル子爵だ」

訳が解らなくなったシルヴィー目をぱちくりしていると、クリスタル子爵がクスッと笑う。

「シルヴィー様がダドリーを望んで下さったら、ダドリーのままでしたが」
「えっ?」

望んで良かったのか?と頭の中で色々考えてしまったが、答えが出ないまま涙が零れた。

「シ、シルヴィー様?」
「もう、どっちでもいい。ダドリーでもアーネストでも、貴方は貴方だもの」

慌てるアーネストと名乗ったダドリーに、シルヴィーが抱き付いた。

嬉しさと驚きとで頭の中はしっちゃかめっちゃかになっているが、ダドリーとの婚約を了承し、ジルコン公爵家の出来事をレイモンドにも話、金曜日はアーネストではなく、ダドリーとしてジルコン公爵家に連れて行きたい、と伝えた。

「それで、ダドリー……銀髪の時はアーネストと呼びますが、貴方は一体何者?」

レイモンドに伝えたい事を伝え、一旦部屋に戻ったシルヴィーは、にこやかなアーネストに質問した。

「私は、シルヴィーの婚約者のアーネスト・クリスタル子爵で、執事のダドリーでもあり、……アサシンのファーストでもありました」

流石にシルヴィーの脳みそもショートしそうなのだろう、唖然とアーネストを見詰めた。

「本当にシルヴィーは愛らしい」
「ダドリー……違った、アーネスト」

頭の中の整理が出来ていないから、どうしても慣れ親しんだ彼の名が出てしまう。

「婚約式が決まる迄は、ダドリーのままでいますよ」

右手を軽く振ると、銀髪は漆黒の髪に戻り、紫の瞳も黒になった。
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