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絶対尾鰭だけでは済んでない話。
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2人だけで話している時、シルヴィー達は店の商品を見て回った。
「父達は……」
「大丈夫よ。食い違いは解消されると思うよ」
リリーは不安そうに、奥に入った2人のことを気に掛けているが、案外あっさり話し合いは終わる、とシルヴィーは思っていた。
ベリルが自分のイーリスの鞘を新調したい、と言い出したので、リリーは弟を呼んだ。
「弟のユーリです。来年、魔術学園に入学する予定です」
ジルコン公爵によく似た、綺麗な少年だが、目付きが鋭い。
快活に笑うが、目が笑っていない事にシルヴィーは気が付き、なんとなくほっこりした。
身分を明かさない自分達を、姉の為に警戒しているのだろう。
「お姉さん思いの、いい弟さんだね。私はシルヴィー・ロードライト。こちらは魔術学園の騎士科主任教師のベリル先生です」
此方の身分を名乗ると、途端に、ユーリの目がキラキラ輝き始める。
「シルヴィー・ロードライト様って、姉さんが憧れてる人ですよね。お会い出来て光栄です」
リリーがどんな事を言っているのか不安になったシルヴィーがリリーを見ると、照れた様な笑みで、シルヴィーを見ている。
「リリー、何を言ったの?」
「えっ?ありのままですが」
ありのまま……。絶対尾鰭やなんやらが付きまくっているに違いない。
「姉さんが言ってました。騎士団のイーリスを持った騎士でも、シルヴィー様の前に立ったら一歩も動けないとか、暗殺団を一撃で倒したとか」
ユーリがキラキラした目でシルヴィーを見る。
ユーリの話だけを聞くと、シルヴィーは途轍もない剣豪に聞こえるが、誇張し過ぎだ、とシルヴィーはふぅ、とため息を吐いた。
「リリー、説明を省き過ぎです。一歩も動けなかったのは、馬鹿者に踊らされて実力を見誤った騎士であって、一撃で倒した暗殺団は1人だけです」
きちっと説明すれば、ベリルから呆れた声が掛けられる。
「騎士であれば、実力が伴わなくとも動けない事は無いし、暗殺を生業にしている者を一撃で戦闘不能になど、普通は出来ませんよ」
「あうっ」
ダドリー並みの切り返しの鋭さに、シルヴィーは二の句が継げない。
「やっぱり、凄い」
ユーリのキラキラした目が、更に輝いてしまった。
ベリルの新しい鞘の注文が終わる頃、漸く話し合いが終わったのか、2人が非常に良い笑顔で奥から出て来た。
「シルヴィー嬢、金曜日はぜひ、わしの屋敷に来てくれ」
ジルコン公爵の笑顔が怖い。
「そうですね。掃除も終わった綺麗な屋敷で、リリーとの手合わせ、私も楽しみです」
リーリウムも怖い笑顔だ。
「伺っても宜しいのでしょうか?」
何かに巻き込まれた気配に、シルヴィーの言葉が弱々しい。
「……掃除のお手伝いも」
「それは終わらせておく」
完全に、何かに巻き込まれた。
やらなければならない事が増えた気がするが、シルヴィーは頷いた。
「父達は……」
「大丈夫よ。食い違いは解消されると思うよ」
リリーは不安そうに、奥に入った2人のことを気に掛けているが、案外あっさり話し合いは終わる、とシルヴィーは思っていた。
ベリルが自分のイーリスの鞘を新調したい、と言い出したので、リリーは弟を呼んだ。
「弟のユーリです。来年、魔術学園に入学する予定です」
ジルコン公爵によく似た、綺麗な少年だが、目付きが鋭い。
快活に笑うが、目が笑っていない事にシルヴィーは気が付き、なんとなくほっこりした。
身分を明かさない自分達を、姉の為に警戒しているのだろう。
「お姉さん思いの、いい弟さんだね。私はシルヴィー・ロードライト。こちらは魔術学園の騎士科主任教師のベリル先生です」
此方の身分を名乗ると、途端に、ユーリの目がキラキラ輝き始める。
「シルヴィー・ロードライト様って、姉さんが憧れてる人ですよね。お会い出来て光栄です」
リリーがどんな事を言っているのか不安になったシルヴィーがリリーを見ると、照れた様な笑みで、シルヴィーを見ている。
「リリー、何を言ったの?」
「えっ?ありのままですが」
ありのまま……。絶対尾鰭やなんやらが付きまくっているに違いない。
「姉さんが言ってました。騎士団のイーリスを持った騎士でも、シルヴィー様の前に立ったら一歩も動けないとか、暗殺団を一撃で倒したとか」
ユーリがキラキラした目でシルヴィーを見る。
ユーリの話だけを聞くと、シルヴィーは途轍もない剣豪に聞こえるが、誇張し過ぎだ、とシルヴィーはふぅ、とため息を吐いた。
「リリー、説明を省き過ぎです。一歩も動けなかったのは、馬鹿者に踊らされて実力を見誤った騎士であって、一撃で倒した暗殺団は1人だけです」
きちっと説明すれば、ベリルから呆れた声が掛けられる。
「騎士であれば、実力が伴わなくとも動けない事は無いし、暗殺を生業にしている者を一撃で戦闘不能になど、普通は出来ませんよ」
「あうっ」
ダドリー並みの切り返しの鋭さに、シルヴィーは二の句が継げない。
「やっぱり、凄い」
ユーリのキラキラした目が、更に輝いてしまった。
ベリルの新しい鞘の注文が終わる頃、漸く話し合いが終わったのか、2人が非常に良い笑顔で奥から出て来た。
「シルヴィー嬢、金曜日はぜひ、わしの屋敷に来てくれ」
ジルコン公爵の笑顔が怖い。
「そうですね。掃除も終わった綺麗な屋敷で、リリーとの手合わせ、私も楽しみです」
リーリウムも怖い笑顔だ。
「伺っても宜しいのでしょうか?」
何かに巻き込まれた気配に、シルヴィーの言葉が弱々しい。
「……掃除のお手伝いも」
「それは終わらせておく」
完全に、何かに巻き込まれた。
やらなければならない事が増えた気がするが、シルヴィーは頷いた。
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