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仮面舞踏会は華やかに。
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結果から言うと、春の舞踏会を仮面舞踏会にして正解だった。
この春の舞踏会で社交会デビューをする令嬢、令息の数はかなり多かった。
その大量の令嬢や令息達が皆、似たような白いドレスやタキシードを着ている。うっかりするとパートナーを見失い、探すのが一苦労な程だ。
シルヴィーも白いドレスを纏い、レイモンドにエスコートされて国王陛下と妃殿下や他の王族方に謁見し、ファーストダンスを踊ることになっている。
初めてお目にかかった国王陛下と王妃殿下は、目を見張るほどの美男美女だった。
国王陛下はエメラルドよりも深みのある緑の髪に赤茶色にも見える赤紫の瞳で、ウィリアムはアレキサンド王国直系の色を強く引いた、国王陛下似だと分かる。
王妃殿下はパール公爵家の御令嬢らしく、真珠色の髪にブラックパールのような、艶やかな灰色の瞳が優しげだった。
多くの言葉を交わす事はなかったが、2人ともシルヴィーを好意的に見ているようで、シルヴィーは、はにかみながら2人の前を後にした。
大勢で踊るファーストダンスの後、多くの貴族の令息達がシルヴィーをダンスに誘おうとしていたが、エインやレイモンドそして護衛としてシルヴィーに付いていたダドリー達がお披露目が終わったシルヴィーを控室に連れて行き、無事影武者のレミと変わることが出来た。
特に目立った特徴のない白いドレスと仮面を付けた影武者役のレミに令息達が群がっていたが、別人だと分かるとすごすごと退散していく。
その後もドレスと仮面を変えたシルヴィーを見つけられなかった令息達は渋々自分のパートナーや他の令嬢達と踊る事になり、レミは如才なく任務を終え、満足げにしていた。
「この作戦が有効なのは今回だけだけど、あの群がり方を見ると次も対策を考えないと駄目ね」
ワインレッドの大人びたドレスを纏うシルヴィーがため息を吐くとさり気なく、黒い夜会服を着こなして婚約者のような顔でエスコートをしているダドリーがクスリと笑い、手を差し出してきた。
「お嬢様、一曲お相手をお願いしても宜しいでしょうか?」
「そうね。ファーストダンスだけで帰るのはちょっと寂しいもの」
躊躇いもせずダドリーの手に手を重ね、フロアへ向かった。
髪色に近いワインレッドのドレスが広がる度、深紅の薔薇の花が咲いたような美しいシルヴィーに、彼女と気が付かない者達も見入っていた。
「美しい方、一曲お相手をお願いします」
何人もの男性から誘いがあったが、シルヴィーはやんわりと
「彼以外とは踊らないように、と父から申しつけられておりますので」
と、微笑んでみせれば大体の男は哀しげに頷いてシルヴィーの前から消えていった。
「上手い断り方ですね」
「踊れば私が誰だか判るものも居るでしょうし、詮索されるのは面倒です」
不意にシルヴィー達の視界にウィリアムよりも紫掛かった淡い緑の髪をした貴族が漆黒の髪をした令嬢と楽しげに踊る様子が見えた。
パトリックとシンシアだと、知っているものならすぐに判る。
「ラリマー宰相は本当に有能な方ですね」
「お嬢様の助言で動かれたのでしょう」
仮面に隠れ素顔は判らないが、2人の様子は見ている此方も楽しくなる程で、シルヴィーはホッとしていた。
「きっと、かの国は良き隣国になってくれる筈です」
後は、大きなトラブルが無い限り此方から接触する必要はない。
あの2人は、お膳立てされた物ではなく、自分達の気持ちを優先した関係が築ければいい。
この春の舞踏会で社交会デビューをする令嬢、令息の数はかなり多かった。
その大量の令嬢や令息達が皆、似たような白いドレスやタキシードを着ている。うっかりするとパートナーを見失い、探すのが一苦労な程だ。
シルヴィーも白いドレスを纏い、レイモンドにエスコートされて国王陛下と妃殿下や他の王族方に謁見し、ファーストダンスを踊ることになっている。
初めてお目にかかった国王陛下と王妃殿下は、目を見張るほどの美男美女だった。
国王陛下はエメラルドよりも深みのある緑の髪に赤茶色にも見える赤紫の瞳で、ウィリアムはアレキサンド王国直系の色を強く引いた、国王陛下似だと分かる。
王妃殿下はパール公爵家の御令嬢らしく、真珠色の髪にブラックパールのような、艶やかな灰色の瞳が優しげだった。
多くの言葉を交わす事はなかったが、2人ともシルヴィーを好意的に見ているようで、シルヴィーは、はにかみながら2人の前を後にした。
大勢で踊るファーストダンスの後、多くの貴族の令息達がシルヴィーをダンスに誘おうとしていたが、エインやレイモンドそして護衛としてシルヴィーに付いていたダドリー達がお披露目が終わったシルヴィーを控室に連れて行き、無事影武者のレミと変わることが出来た。
特に目立った特徴のない白いドレスと仮面を付けた影武者役のレミに令息達が群がっていたが、別人だと分かるとすごすごと退散していく。
その後もドレスと仮面を変えたシルヴィーを見つけられなかった令息達は渋々自分のパートナーや他の令嬢達と踊る事になり、レミは如才なく任務を終え、満足げにしていた。
「この作戦が有効なのは今回だけだけど、あの群がり方を見ると次も対策を考えないと駄目ね」
ワインレッドの大人びたドレスを纏うシルヴィーがため息を吐くとさり気なく、黒い夜会服を着こなして婚約者のような顔でエスコートをしているダドリーがクスリと笑い、手を差し出してきた。
「お嬢様、一曲お相手をお願いしても宜しいでしょうか?」
「そうね。ファーストダンスだけで帰るのはちょっと寂しいもの」
躊躇いもせずダドリーの手に手を重ね、フロアへ向かった。
髪色に近いワインレッドのドレスが広がる度、深紅の薔薇の花が咲いたような美しいシルヴィーに、彼女と気が付かない者達も見入っていた。
「美しい方、一曲お相手をお願いします」
何人もの男性から誘いがあったが、シルヴィーはやんわりと
「彼以外とは踊らないように、と父から申しつけられておりますので」
と、微笑んでみせれば大体の男は哀しげに頷いてシルヴィーの前から消えていった。
「上手い断り方ですね」
「踊れば私が誰だか判るものも居るでしょうし、詮索されるのは面倒です」
不意にシルヴィー達の視界にウィリアムよりも紫掛かった淡い緑の髪をした貴族が漆黒の髪をした令嬢と楽しげに踊る様子が見えた。
パトリックとシンシアだと、知っているものならすぐに判る。
「ラリマー宰相は本当に有能な方ですね」
「お嬢様の助言で動かれたのでしょう」
仮面に隠れ素顔は判らないが、2人の様子は見ている此方も楽しくなる程で、シルヴィーはホッとしていた。
「きっと、かの国は良き隣国になってくれる筈です」
後は、大きなトラブルが無い限り此方から接触する必要はない。
あの2人は、お膳立てされた物ではなく、自分達の気持ちを優先した関係が築ければいい。
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