[完結]18禁乙女ゲームのモブに転生したら逆ハーのフラグを折ってくれと頼まれた。了解ですが、溺愛は望んでません。

紅月

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もうすぐ15歳になります。

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4年なんて過ぎてしまえばいあっという間だ。

もうすぐ15歳になるシルヴィーはこの4年間は人脈作りと魔法の訓練や騎士としての訓練に明け暮れ、気が付けばギルド内でも非公式だが、ユーノに次ぐ立場に立っていた。

「シルヴィー様、新しいアイテムはどうやら改良が必要かもしれないですな」

マークの言葉にユーノと頷きながらシルヴィーはガラスペンを走らせる。

このガラスペンも気が付けば当たり前のように普及しており、魔法での錬成では無くガラス工房で作られるようになっていた。

「要望をカインに伝えてください。あっ駄目だ。カインは錬成士長になってるから……」
「大丈夫ですよ。カインならシルヴィー様の要望とあれば他の仕事を差し置いても進めますから」
「有難いよなぁ、シルヴィー様が話をしてくれればすぐに改良してもらえるなんて」

マークはしみじみ感心した様に頷く。

「良いのかなぁ。カイン、物凄く偉くなった筈なのに」

シルヴィーが心配するのも当然だ。
カインはこの4年で錬成士長になるだけでなく、王宮魔術院の責任者にも抜擢され、次期長官の呼び声もある。

「それよりダドリーが来てますよ」
「えっ、もうそんな時間!!じゃあユーノ。今日はもう帰るね。次は多分来週かな」

シルヴィーが慌てて立ち上がるとダドリーがさっと鞄を持っている。

「急ぎの仕事はないので大丈夫ですよ」
「じゃあ、アイテムの改良の事はカインに伝えておくね」

当たり前のようにダドリーはシルヴィーの後ろで軽く頭を下げてからシルヴィーを馬車にエスコートした。

馬車に乗り込むとダドリーが何通かの手紙を差し出した。

「どうやらカーボン男爵家に養女が迎え入れられた見たいね」

ウィリアムからの報告書に目を通したシルヴィーが頷く。

魔術学園入学迄後半年になった今、問題の養女が姿を見せたようだ。

有能なウィリアムは、既に魔術学園の寮に入っているのに王家の仕事もこなしているようだ。

「街の噂ではかなり特殊な令嬢だと聞いております」
「特殊?頭がお花畑さんなの?」
「はい。見事なお花畑だそうです」

4年前、自分の執事も兼任する事になったダドリーにも予知夢としてゲーム内容を教えていた為、訳のわからない事を言う自己中の女をお花畑、と呼ぶようになっていた。

「ウィリアム殿下のこめかみがピクピクしてない事を祈らないと」
「明日、早速面会を要請されております」
「かなり苛立っているようね」

どれくらい話が通じないか調べて対策を練らないと面倒な事をやらかす気がしてシルヴィーは大きな溜め息を吐いた。
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