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気の許せる仲間達。

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「さて、うちの事はこれくらいで。で、ウィリアム殿下、首尾はいかがですか?」

硬い話をするのだからウィリアムに敬称を付けて名前を呼ぶとウィリアムはにやっと笑う。

「手抜かりは無いね。一週間後の謁見で旧アイテムの禁止と新アイテムの承認、カインの錬成士長就任とジルコニア伯爵令嬢の婚約は無効に出来る手筈は整った」

再度ニヤリ、と笑うウィリアム殿下の腹は何処まで黒いのだろう。
13歳だと言うのに水面下でこれ程多くの事を根回しできるのだから優秀を通り越して末恐ろしく感じる。

「当日は直接見れませんが、翌日殿下から直接お話を聞ければ問題ないでしょう」

しれっとまるでいってらっしゃい、と言うかの様に手を振ってシルヴィーが笑う。

「なんで来れないんだよ。シルヴィー、君が発端なのに」
「社交界へのデビューもまだの、役職なしの私が謁見の場に居るのはおかしいですよ」
「あっ、忘れてた。俺の軍師ってか、参謀だったから……」

子供らしからぬ行動と言動の所為でシルヴィーの実年齢をすっかり忘れて、ウィリアムは完全にシルヴィーを自分の参謀に任命している気になっていた。

「参謀として見ていただけるだけで頑張った甲斐があります」

言わないが、この2人ならどんな国が攻めて来ても瞬殺するんじゃないのか?とユーノ達は顔を見合わせている。

「ですが、殿下も半月も経っていないのに既に官僚の扱いは慣れた様ですね」

カインが王宮内でのウィリアムの仕事ぶりを話すとユーノとシルヴィーは唖然とした。

「宰相閣下を顎で使うなんて、腹黒い……」
「シルヴィー様。そこは有能ですね、と」
「えー、ユーノだって腹黒だって思ったくせに」
「否定はしませんが肯定するのは命懸けですよ」

軽口を叩ける程の信頼関係があるからこそ、この場にいる者達は皆、良い笑顔だ。

「腹黒だろうが、有能だろうが俺はイザベルと結婚する為に頑張ってんだよ」

ちょっとむくれた顔をしているが、ウィリアムも彼らとの関係を楽しんでいる。

「そうなると、早めにトルマリン侯爵にイザベルとの婚約を打診した方がいいですね。イザベルの手紙では侯爵様がイザベルの婚約者候補を考えて釣書を揃えているそうです」

昨日届いたイザベルからの手紙にはそう書いてあった。

「なんだって。今からトルマリン侯爵を捕まえて聞き出してくる」

言い終わるより早く、ウィリアムは部屋から飛び出していた。

「はやっ。イザベルは侯爵様に殿下との話なら受けたいって言ってたって……」

伝えるつもりだったのに、とシルヴィーは困った顔をしているが、カイン達は笑いを堪えて震えるだけだった。

「部屋の主人が居なくなってしまったし、用事は済みましたから私はこれで失礼します」
「そうだね。カイン、当日の話、楽しみにしてるね」
「はい。良い報告ができる事を祈っております」
「明日の正午に彼を連れて行きますので、伯爵様にお伝えください」

カインとユーノとはウィリアムの部屋の前で別れ、シルヴィーは馬車に乗り込んだ。
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