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セシリアサイド ちょっと読み違えたみたいですね

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セシリアサイド


「違ったみたいですね」

セシリアがセレナからの近況報告と言う名の長文のメールを読みながら、うーんと呟いた。

「うん。違うね。アリアンナさんがアーロン殿下の婚約者だからそっちサイドで攻めてくるって思ってたのに、ね」

アリスもうーんと首を傾げた。
2人ともアリアンナをセシリアが支持し、積極的にアーロンを王太子に望むと公言すると思っていた。

「何故わたくしなのでしょう?わたくし、マーカス殿下に嫌われておりますのに」

納得出来ないセシリアが、更に首を傾げている。
幼い頃の数々の嫌がらせは、どう考えても自分の事が嫌いだからだ、と思っている。

「美しくなったセシリア様が惜しくなったのでは?」
「あれほど毛嫌いしていたのにですか?有り得ませんわ」

蓮の言葉に、セシリアがコロコロと鈴を転がすような軽やかな笑い声を上げた。
幼い頃からの仕打ちを話せばアリスだけで無く蓮も口元を引き攣らせ、嫌そうな顔をする。

「何ですかそれ」
「うわー、マーカスって奴殴って良い?」

好きな子に意地悪をするレベルを超えた嫌がらせに2人は顔を顰める。

「ですから、マーカス殿下がわたくしを、なんて有り得ませんわ」

セシリアの言葉にアリスや蓮だけで無く、周りにいる結城家の使用人も頷いた。


シルヴァンサイド


セシリア様との婚約が王命で整った後、王宮内が随分と綺麗になった。

廊下を歩いていても余計な気苦労をしなくて良くなったのは本当に清々しい。

物々しい護衛を連れて歩くマティウスの姿が見えた。
少し前なら喧しい輩が居たが、今はそれも無い。

「お久しぶりです。ウィンストン公爵令息」
「シルヴァン卿。良い朝だな」

マティウス様が軽く頷く。

「ザガリン侯爵が静かですね」

周りに目をやりながらマティウス様に声を掛けると

「バーバラ様の病状をお聞きして、事後処理に走り回っているのだろう」

と、黒い笑みを浮かべた。

「なるほど。では、陛下はご決断を?」

王妃として全く役に立たなかったバーバラ様を切り捨て、アウロラ妃を正妃に引き上げる事になった様だ。

ザガリン侯爵は王妃の養父である事を傘に、随分好き勝手をしていた男だが、今はその養父である為火消しに走り回っているのだろう。
王宮内の人事も一新される様だ。

「アーロン殿下も動きやすくなるでしょう」

マーカス殿下と違い、アーロン殿下は文武両道の優れた人物。
だが、第二妃の子供というだけで下に見るものも多かった。

「正統な評価がなされるだけだよ」

これでマーカスが王太子になる事はなくなり、王族の身分は残るが捨て駒にされる可能性が高くなった。

「セシリアを虐げていたのだ。今度は自分がその立場になっても、文句はないでしょう」

マティウス様の言葉に共感を覚える。
あれ程の令嬢を虐げるなど、王族であっても敬意を持って接する気は無い。
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