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第二部 獣人武闘祭
第384話
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「このっ……」
「それに、あなたはご存じないでしょうが、タマラはこれまで何度も人を殺しています。実戦訓練のために、刑務所から腕の立つ重罪人を連れてきて、幾度も命がけの死合をさせましたからね。タマラに勝てば釈放してやるという条件を出すと、連中は目の色を変えて必死に戦いましたよ」
「…………」
「まあ結局は、全員タマラに殺されましたがね。死んで当然のクズどもですが、優しいタマラは奴らを殺すたび、ごめんなさいと泣いていましたよ。もちろん、その際の記憶は消してあるので、ご心配なく」
私は、パトリックに飛びかかった。
背後で、悲鳴が上がる。
タマラがミャオに襲いかかったのだ。
ミャオも爪を出し、なんとか鍔迫り合いで防ぐが、力の差は歴然、あっという間に壁際まで追いやられ、私に助けを求める。
「せ、せんせぇ~……」
私は突進し、タマラの脇腹を蹴飛ばした。
タマラはぶっ飛んだが、綺麗に受け身を取り、再びこちらに襲いかかってくる。
ぐううっ。
なんて連撃なの。
ミャオを庇いながら、なんとか攻撃をさばくが、少しずつ私の体はダメージを負っていく。頬、腕、足、脇腹。致命傷は防ぐが、体中、斬られてないところはないというほどに、斬り傷だらけだ。爪と牙をむき出しにした、獣人本来の攻撃は、素手の比ではない。
やばいわね。
最近、薄々感づき始めてたけど、長い間、実戦の中で『聖女の結界』を使っていなかったせいで、明らかに結界を張る能力が落ちてる。それでも、並の攻撃なら防ぐことができるが、タマラの必殺の一撃の前では、紙の盾同然だ。
まったく、情けない。聖女ディーナの名が泣くわね。ミャオを鍛えるのにかかりきりで、自分の修行を怠けたのは、ちょっとまずかったかな。
自嘲する私の内心など知らずに、パトリックは称賛するように言う。
「さすが、ディーナさん。タマラに殺されたクズどもとは、役者が違う。そうそう、あのドラム・ゼファー、タマラとの試合で負った怪我がもとで、死んだそうですよ。それにその旦那も、路地裏でタマラに殺されました。彼もついてない男です」
淡々と、論文でも発表するかのように、語り続ける。
「あの日は、突然ノエルがいなくなったことで、不安定になったタマラを落ち着かせるために、薬物を13錠も投与していましたからね。タマラの意識は混濁し、善悪の判断があいまいな、無邪気な怪物になっていたことでしょう」
「それに、あなたはご存じないでしょうが、タマラはこれまで何度も人を殺しています。実戦訓練のために、刑務所から腕の立つ重罪人を連れてきて、幾度も命がけの死合をさせましたからね。タマラに勝てば釈放してやるという条件を出すと、連中は目の色を変えて必死に戦いましたよ」
「…………」
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私は、パトリックに飛びかかった。
背後で、悲鳴が上がる。
タマラがミャオに襲いかかったのだ。
ミャオも爪を出し、なんとか鍔迫り合いで防ぐが、力の差は歴然、あっという間に壁際まで追いやられ、私に助けを求める。
「せ、せんせぇ~……」
私は突進し、タマラの脇腹を蹴飛ばした。
タマラはぶっ飛んだが、綺麗に受け身を取り、再びこちらに襲いかかってくる。
ぐううっ。
なんて連撃なの。
ミャオを庇いながら、なんとか攻撃をさばくが、少しずつ私の体はダメージを負っていく。頬、腕、足、脇腹。致命傷は防ぐが、体中、斬られてないところはないというほどに、斬り傷だらけだ。爪と牙をむき出しにした、獣人本来の攻撃は、素手の比ではない。
やばいわね。
最近、薄々感づき始めてたけど、長い間、実戦の中で『聖女の結界』を使っていなかったせいで、明らかに結界を張る能力が落ちてる。それでも、並の攻撃なら防ぐことができるが、タマラの必殺の一撃の前では、紙の盾同然だ。
まったく、情けない。聖女ディーナの名が泣くわね。ミャオを鍛えるのにかかりきりで、自分の修行を怠けたのは、ちょっとまずかったかな。
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