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第二部 獣人武闘祭
第343話(実況席)
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「あらら~、完全に、極まっちゃいましたね」
「な? うちの言うたとおりやろ?」
「ミャオ選手も途中まで、いい感じだったのに……」
「寝技っちゅうんはな、経験値の差がもろに出るんよ。同じ技でも、何通りもの入り方・極める手順があり、それに対応する、何通りもの防ぎ方・逃げ方がある。あの猫ちゃんのセンスは素晴らしいけど、たった四ヶ月の修行じゃ、本職のレスラーに極められるんは、時間の問題やったっちゅうわけやな」
「なるほど。なんだか今日は、凄いちゃんとした解説者みたいですね」
「うちはいつだって凄いちゃんとした解説者や」
「これで、勝負ありでしょうか?」
「ギブアップした方がええやろな。ゴリラのねーさんがもうちょい力込めたら、腕、ポッキリいくで」
「う~ん、まだまだ放送時間があるんで、もう少し頑張ってほしいところですが」
「くーちゃんにとっては、はよ終わった方がええんと違う?」
「えっ? 何でですか?」
「はよ終わったら、その分、はよ家に帰れる。ほんで、彼氏と乳繰り合えるやん。あーあ、お熱いな、けっ、あほくさ」
「何言ってるのこの人……」
※※※※※【アニー視点】※※※※※
ちょっと、いつまで我慢してるの!?
もう極まってるんだから、ギブアップしてよ!
ミャオちゃんは、脂汗を垂らしながら、強情な瞳でこちらを睨みつけている。
その迫力に、極めているほうの私が、気圧される。
私は、彼女を諦めさせるため、さらにほんの少しだけ、力を込めた。
ミャオちゃんの喉の奥から、痛々しい悲鳴が聞こえる。
私の胸は、罪悪感に締め付けられた。
※※※※※【ミャオ視点】※※※※※
折ればいいニャ。
そうすれば、勝負が決まったと思って油断するはずニャ。
その瞬間を逃さず、反対の拳でパンチをぶち込んでやるニャ。
先生には、『もしこの試合に勝って……』なんて言ったけど、もしもクソもないニャ。僕は、負けない。負けるわけにはいかない。
まっちゃんやネルロちゃん。
予選で、僕に『もう一度チャンスをあげたら』と言ってくれた優しい人たち。
皆を押しのけて、僕はここまで来たニャ。
だから、限界まで戦う責任があるニャ。
優勝するのは、無理ニャ。
あのタマラちゃんには、逆立ちしたってかなわない。
だから、この試合が、僕にとっての決勝戦ニャ。
ここで、すべてを出し切る。
腕が折れてもいい。
足が折れてもいい。
勝利が、手に入るのならば。
皆に恥ずかしくない試合が、できるのならば。
「な? うちの言うたとおりやろ?」
「ミャオ選手も途中まで、いい感じだったのに……」
「寝技っちゅうんはな、経験値の差がもろに出るんよ。同じ技でも、何通りもの入り方・極める手順があり、それに対応する、何通りもの防ぎ方・逃げ方がある。あの猫ちゃんのセンスは素晴らしいけど、たった四ヶ月の修行じゃ、本職のレスラーに極められるんは、時間の問題やったっちゅうわけやな」
「なるほど。なんだか今日は、凄いちゃんとした解説者みたいですね」
「うちはいつだって凄いちゃんとした解説者や」
「これで、勝負ありでしょうか?」
「ギブアップした方がええやろな。ゴリラのねーさんがもうちょい力込めたら、腕、ポッキリいくで」
「う~ん、まだまだ放送時間があるんで、もう少し頑張ってほしいところですが」
「くーちゃんにとっては、はよ終わった方がええんと違う?」
「えっ? 何でですか?」
「はよ終わったら、その分、はよ家に帰れる。ほんで、彼氏と乳繰り合えるやん。あーあ、お熱いな、けっ、あほくさ」
「何言ってるのこの人……」
※※※※※【アニー視点】※※※※※
ちょっと、いつまで我慢してるの!?
もう極まってるんだから、ギブアップしてよ!
ミャオちゃんは、脂汗を垂らしながら、強情な瞳でこちらを睨みつけている。
その迫力に、極めているほうの私が、気圧される。
私は、彼女を諦めさせるため、さらにほんの少しだけ、力を込めた。
ミャオちゃんの喉の奥から、痛々しい悲鳴が聞こえる。
私の胸は、罪悪感に締め付けられた。
※※※※※【ミャオ視点】※※※※※
折ればいいニャ。
そうすれば、勝負が決まったと思って油断するはずニャ。
その瞬間を逃さず、反対の拳でパンチをぶち込んでやるニャ。
先生には、『もしこの試合に勝って……』なんて言ったけど、もしもクソもないニャ。僕は、負けない。負けるわけにはいかない。
まっちゃんやネルロちゃん。
予選で、僕に『もう一度チャンスをあげたら』と言ってくれた優しい人たち。
皆を押しのけて、僕はここまで来たニャ。
だから、限界まで戦う責任があるニャ。
優勝するのは、無理ニャ。
あのタマラちゃんには、逆立ちしたってかなわない。
だから、この試合が、僕にとっての決勝戦ニャ。
ここで、すべてを出し切る。
腕が折れてもいい。
足が折れてもいい。
勝利が、手に入るのならば。
皆に恥ずかしくない試合が、できるのならば。
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