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第二部 獣人武闘祭
第336話(シルヴァ視点)
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対する、狐仮面――カズネ・ゾーダンクは、化け物や。
こないだ、少し手合わせしただけで、いやんなるほど分かったわ。
この世の中には、並の才能では、どんなに努力しても絶対に届かない、ほんまもんの天才がおる。カズネ・ゾーダンクが、まさにそれや。
お姉ちゃんのハツネにはかわいそうやけど、獣人格闘技界の英雄、ヴィト・ゾーダンクの血と才能は、そのほとんどがカズネ・ゾーダンクに受け継がれてしもたんやろなあ。
そうそう。天才っちゅう話なら、昨日の、あの狂暴なおちびも、相当なもんや。あいつに勝てるとしたら、カズネ・ゾーダンク以外、おらへんやろ。
残りの二人。
猫の嬢ちゃんと、ゴリラの姉ちゃんじゃ、正直言って、役不足や。
あれ、役不足って、意味ちごたっけ?
ええっと、ええっと、あっ、そうや。こういう場合は、力不足や、力不足。
まあ、あの二人もええ選手や。優勝は無理やけど、今回はできるところまで頑張ったらええ。ほんで、また何年かして、力をつけてから、てっぺん狙ったらええんや。特に猫の嬢ちゃんの方は、まだまだ発展途上や。これから、いくらでも強うなれる。
とにかく、楽しみなんは、あの狂暴おちびと、カズネ・ゾーダンクの試合や。
このうちでも、どっちが勝つか想像つかんわ。
あっ、そうや。
今日、試合中止んなったっちゅうことは、出勤せんでええやん。
うへへ、もういっぺん、寝直したろ。
うちは、ゴミの日に何度か出し忘れたゴミ袋を、かき分けるようにしながら、万年床に潜り込む。あんまり干していない、湿っぽい布団を気持ち良く感じてしまう自分を、女としてちょっとヤバイと思うが、それでも、気持ちええもんは気持ちええんや。しゃーないやろ。
あぁ~、それにしても、ぎょうさんゴミ、溜まってしもたなあ。朝のゴミ出し、いっつも忘れてまう。誰か、素敵な旦那さんでもおったら、うちの代わりに片付けてくれるんかなあ。
ほんで、朝飯も用意してくれるんや。
極めつけは、おはようのキスや。
うへへ……たまらんな。
はぁ……誰か、うちのことお嫁にもろてくれへんかな。
今年でもう、28やで。
まさか、このまま結婚でけへんってこと、あらへんよな。
…………ぐすっ。
あかん。
何泣いとるんや。
やめやめ、この話はやめや。
寝よ寝よ、このまま、昼まで寝たろ。
ほな、おやすみなさーい……
こないだ、少し手合わせしただけで、いやんなるほど分かったわ。
この世の中には、並の才能では、どんなに努力しても絶対に届かない、ほんまもんの天才がおる。カズネ・ゾーダンクが、まさにそれや。
お姉ちゃんのハツネにはかわいそうやけど、獣人格闘技界の英雄、ヴィト・ゾーダンクの血と才能は、そのほとんどがカズネ・ゾーダンクに受け継がれてしもたんやろなあ。
そうそう。天才っちゅう話なら、昨日の、あの狂暴なおちびも、相当なもんや。あいつに勝てるとしたら、カズネ・ゾーダンク以外、おらへんやろ。
残りの二人。
猫の嬢ちゃんと、ゴリラの姉ちゃんじゃ、正直言って、役不足や。
あれ、役不足って、意味ちごたっけ?
ええっと、ええっと、あっ、そうや。こういう場合は、力不足や、力不足。
まあ、あの二人もええ選手や。優勝は無理やけど、今回はできるところまで頑張ったらええ。ほんで、また何年かして、力をつけてから、てっぺん狙ったらええんや。特に猫の嬢ちゃんの方は、まだまだ発展途上や。これから、いくらでも強うなれる。
とにかく、楽しみなんは、あの狂暴おちびと、カズネ・ゾーダンクの試合や。
このうちでも、どっちが勝つか想像つかんわ。
あっ、そうや。
今日、試合中止んなったっちゅうことは、出勤せんでええやん。
うへへ、もういっぺん、寝直したろ。
うちは、ゴミの日に何度か出し忘れたゴミ袋を、かき分けるようにしながら、万年床に潜り込む。あんまり干していない、湿っぽい布団を気持ち良く感じてしまう自分を、女としてちょっとヤバイと思うが、それでも、気持ちええもんは気持ちええんや。しゃーないやろ。
あぁ~、それにしても、ぎょうさんゴミ、溜まってしもたなあ。朝のゴミ出し、いっつも忘れてまう。誰か、素敵な旦那さんでもおったら、うちの代わりに片付けてくれるんかなあ。
ほんで、朝飯も用意してくれるんや。
極めつけは、おはようのキスや。
うへへ……たまらんな。
はぁ……誰か、うちのことお嫁にもろてくれへんかな。
今年でもう、28やで。
まさか、このまま結婚でけへんってこと、あらへんよな。
…………ぐすっ。
あかん。
何泣いとるんや。
やめやめ、この話はやめや。
寝よ寝よ、このまま、昼まで寝たろ。
ほな、おやすみなさーい……
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