二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ

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第二部 獣人武闘祭

第315話

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「えっ、親睦パーティーですか?」

 私は、ゴヘイに聞き返した。
 彼は、大きな体を揺するようにして笑う。

「ガハハ! 左様です! 未来ある若き女性武闘家同士、大いに夢を語り合うべきですからな!」

「はぁ……なるほど」

 一昨日にミャオの試合、先日にアニーの試合があったので、今日は休養日にするということらしく、それを利用して、本戦出場選手と、関係者、報道陣を集めて、親睦を深めるためのパーティーを開くそうである。

 悪くない話だとは思うが、困ったことに、私とミャオはパーティーに着て行けるような正装を持っていない。さすがに、冠婚葬祭の場ほどガチガチの礼服で行く必要はないだろうが、いくらなんでもタンクトップにショートパンツ、そして、シルヴァ・レーンのサインが入った着古した戦闘服で行くわけにはいかないだろう。

 私は、困ったように頭をかきながら、ゴヘイに言う。

「あのぉ……出席したいのはやまやまなんですけど、私たち、ちゃんとした礼服みたいなの、持ってないんで……」

「なんと! そうなのですか! うーむ、これは困りましたな!」

 こういう時のために、ドレスの一着くらいは持っておくべきだったかな。だけど、安物のドレスでも、けっこうなお値段がするのよねぇ。収入のない身では、なかなか手が出るもんじゃないわ。

 自然と、小さなため息が漏れた。
 そんな私の憂鬱を、ゴヘイは豪快に笑い飛ばす。

「ガハハ! よろしければ、ドレスをお貸ししましょうか!? 貸衣装屋にツテがありますんで! ディーナさんとミャオさんにピッタリの、最高の逸品を用意しますぞ! あ、もちろんお金はいりませんぞ!」

「ええっ!? そ、それはありがたいですけど、どうして、そこまで……」

「ガハ! ミャオさんのためですぞ!」

「ミャオのため?」

 ゴヘイは大きく頷いた。

「昨日、ネルロがミャオさんとお話をして、ここを出発する前にですな! ワシの方を見て、久しぶりに笑ったんですわ! それがもう、嬉しくて嬉しくて! きっと、同年代のミャオさんとお友達になれたからでしょう! ネルロの笑顔を取り戻してくれたミャオさんには、感謝してもしてもしきれませんぞ! ガハハ!」
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