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第二部 獣人武闘祭
第285話(ミャオ視点)
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とうとう試合が始まった。
観客たちの大声援が、音の波となって僕の全身を叩く。
元々高まっていた闘志が、さらに奮い立つようだった。
みんなの期待に応えて、良い試合をしないと――
自然と、そんな考えが頭に浮かぶ。
昔の僕なら、絶対にそんなこと、思わなかっただろう。
観客がどう思おうが、周りのことなんて、知ったこっちゃない。
ただ戦って、自分の強さを証明する。それだけしか、頭になかっただろう。
だが、今は違う。
僕は、まっちゃん――ネコカラテ女子世界チャンピオン、マリエール・カリクラの代わりに、このJ1グランプリ本戦に出場した。だから、お客の期待を裏切るようなみっともない試合はできない。そう、思っている。
本当なら、実力的にも、人格的にも、僕よりも優れているまっちゃんがここに立っているのが、順当。それを押しのけて、僕は今、ここに立っている。だから、まっちゃんと同レベルの戦い……とまではいかなくても、彼女に恥じないレベルの戦いをする義務が、僕にはあるニャ。
さあ、考えるのはここまで。
本格的に、戦闘開始ニャ。
拳を持ち上げ、アップライトスタイルで構える。
ネコカラテよりも、キックボクシングに近い構え。
先生に、教わった構えだ。
防御の甘い僕は、拳を高く掲げている方が、頭部への攻撃を防ぎやすいと言われ、素直にその通りにしている。そして、それでいいと思っている。
先生は、世界最高の先生ニャ。
先生の言う通りにしていれば、間違いなんてあるわけないニャ。
僕は軽くステップを刻みながら、ネルロちゃんに接近していく。
対するネルロちゃんは、まったく動かない。
試合開始前と同じように、立ち尽くしたまま、僕を見つめている。
それなら、それでいいニャ。
僕の方から、戦いの口火を切るニャ。
僕は突進し、ネルロちゃんの長くて細い足に、ローキックを打ちこんだ。
快音。
いい手ごたえニャ。まっちゃんには一発も当たらなかった蹴りが、今試合では即座に当たったことで、僕は気を良くした。間髪入れずにぐるりと腰を回して、左のフックを見舞う。
命中。
ネルロちゃんは顎を打たれ、軽く首を捻った。
これも、いい手ごたえニャ。
殴ったのがコンクリートブロックなら、今の一発で粉々ニャ。
しかし、ネルロちゃんは平然としていた。
そこでやっと、僕は気がついた。
ネルロちゃんが、痛がるそぶりすら見せていないことに。
観客たちの大声援が、音の波となって僕の全身を叩く。
元々高まっていた闘志が、さらに奮い立つようだった。
みんなの期待に応えて、良い試合をしないと――
自然と、そんな考えが頭に浮かぶ。
昔の僕なら、絶対にそんなこと、思わなかっただろう。
観客がどう思おうが、周りのことなんて、知ったこっちゃない。
ただ戦って、自分の強さを証明する。それだけしか、頭になかっただろう。
だが、今は違う。
僕は、まっちゃん――ネコカラテ女子世界チャンピオン、マリエール・カリクラの代わりに、このJ1グランプリ本戦に出場した。だから、お客の期待を裏切るようなみっともない試合はできない。そう、思っている。
本当なら、実力的にも、人格的にも、僕よりも優れているまっちゃんがここに立っているのが、順当。それを押しのけて、僕は今、ここに立っている。だから、まっちゃんと同レベルの戦い……とまではいかなくても、彼女に恥じないレベルの戦いをする義務が、僕にはあるニャ。
さあ、考えるのはここまで。
本格的に、戦闘開始ニャ。
拳を持ち上げ、アップライトスタイルで構える。
ネコカラテよりも、キックボクシングに近い構え。
先生に、教わった構えだ。
防御の甘い僕は、拳を高く掲げている方が、頭部への攻撃を防ぎやすいと言われ、素直にその通りにしている。そして、それでいいと思っている。
先生は、世界最高の先生ニャ。
先生の言う通りにしていれば、間違いなんてあるわけないニャ。
僕は軽くステップを刻みながら、ネルロちゃんに接近していく。
対するネルロちゃんは、まったく動かない。
試合開始前と同じように、立ち尽くしたまま、僕を見つめている。
それなら、それでいいニャ。
僕の方から、戦いの口火を切るニャ。
僕は突進し、ネルロちゃんの長くて細い足に、ローキックを打ちこんだ。
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命中。
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しかし、ネルロちゃんは平然としていた。
そこでやっと、僕は気がついた。
ネルロちゃんが、痛がるそぶりすら見せていないことに。
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