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第二部 獣人武闘祭
第276話
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「覚醒によって、筋力が足りないという弱点を克服した私は、技を磨くことにしました。ゾーダンク流の技術は全てマスターしていましたので、父の友人である合気道家――リモス先生に弟子入りしたのです」
「ほおぉ、リモスっちゅうたら、獣人合気道のパイオニアやないか。もうよぼよぼのおじいちゃんやけど、若い頃、襲いかかる300匹の魔物を、素手で全員投げ飛ばしたのは、有名なエピソードやな」
「それで、二ヶ月間修行し、免許皆伝をいただきました」
「「はぁ!?」」
私とシルヴァは、同時に叫んだ。
どんな武道でも、たった二ヶ月で免許皆伝など、許されるはずがない。
「嬢ちゃん、アホいうたらあかんで。いくらなんでも二ヶ月で免許皆伝はもらえんやろ。通信教育の『秘伝! 絶対に強くなれる武術講座!』でも、全部習い終えるまでにはもうちょいかかるわ」
「で、でも、リモス先生は、おっしゃいました。『お主にもう教えることはない。ワシの技術を、たった二ヶ月ですべて吸収してしまった。後は、実戦で技を磨きなさい。そうそう、あのJ1グランプリとやら。選手が一人足りんそうじゃ。お主、出てみたらどうじゃ』と。だから、私はこの再選考会に来たのです」
なるほど、そういう経緯だったのか。
うーん……身をもって、カズネの技の冴えを知っている私ではあるが、それにしたって二ヶ月で免許皆伝とは、にわかには信じがたい。シルヴァも私と同じ思いのようで、訝しげな顔でうんうんと唸っている。そして、何か思いついたように、ポンと手を叩いた。
「せや。ウチが試したる」
「えっ?」
カズネは、きょとんと首を傾げた。
「嬢ちゃんの合気道が、ほんまに免許皆伝にふさわしいか、うちが試したるっちゅうとるんや。先生に『実戦で技を磨け』言われたんやろ? よかったやん。うちみたいな『つわもん』とやれるなんて、めったにないで。ほら、準備しぃ」
「承知しました。J1グランプリ優勝者のお胸、貸していただきます」
「お胸って、いややわぁ。そないなスケベな言い方、やめてーな。気楽にやろ、気楽に。スパーやスパー」
「は、はぁ」
シルヴァとカズネは、体育館の中心で向かい合った。シルヴァはゴキゴキと拳を鳴らしながらこちらを見て、朗らかな笑顔で言う。
「ねーさん、審判してな」
「わかりました」
私は頷いた。
「ほおぉ、リモスっちゅうたら、獣人合気道のパイオニアやないか。もうよぼよぼのおじいちゃんやけど、若い頃、襲いかかる300匹の魔物を、素手で全員投げ飛ばしたのは、有名なエピソードやな」
「それで、二ヶ月間修行し、免許皆伝をいただきました」
「「はぁ!?」」
私とシルヴァは、同時に叫んだ。
どんな武道でも、たった二ヶ月で免許皆伝など、許されるはずがない。
「嬢ちゃん、アホいうたらあかんで。いくらなんでも二ヶ月で免許皆伝はもらえんやろ。通信教育の『秘伝! 絶対に強くなれる武術講座!』でも、全部習い終えるまでにはもうちょいかかるわ」
「で、でも、リモス先生は、おっしゃいました。『お主にもう教えることはない。ワシの技術を、たった二ヶ月ですべて吸収してしまった。後は、実戦で技を磨きなさい。そうそう、あのJ1グランプリとやら。選手が一人足りんそうじゃ。お主、出てみたらどうじゃ』と。だから、私はこの再選考会に来たのです」
なるほど、そういう経緯だったのか。
うーん……身をもって、カズネの技の冴えを知っている私ではあるが、それにしたって二ヶ月で免許皆伝とは、にわかには信じがたい。シルヴァも私と同じ思いのようで、訝しげな顔でうんうんと唸っている。そして、何か思いついたように、ポンと手を叩いた。
「せや。ウチが試したる」
「えっ?」
カズネは、きょとんと首を傾げた。
「嬢ちゃんの合気道が、ほんまに免許皆伝にふさわしいか、うちが試したるっちゅうとるんや。先生に『実戦で技を磨け』言われたんやろ? よかったやん。うちみたいな『つわもん』とやれるなんて、めったにないで。ほら、準備しぃ」
「承知しました。J1グランプリ優勝者のお胸、貸していただきます」
「お胸って、いややわぁ。そないなスケベな言い方、やめてーな。気楽にやろ、気楽に。スパーやスパー」
「は、はぁ」
シルヴァとカズネは、体育館の中心で向かい合った。シルヴァはゴキゴキと拳を鳴らしながらこちらを見て、朗らかな笑顔で言う。
「ねーさん、審判してな」
「わかりました」
私は頷いた。
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