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第二部 獣人武闘祭
第262話(ミャオ視点)
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「それでパパは、なんとなくだけど、ご飯を分けてあげたの。そしたら、スライムはすぐに懐いて、修行の手伝いもしてくれるようになったそうよ」
「へぇ、そんなことって、あるんニャねぇ……」
「山籠もりを終えたパパは、人里へと帰って来た。驚いたことに、荷物の中に紛れて、スライムもついて来た。仲良くなったパパと離れたくなかったのね。パパも随分とスライムに情が移っていて、一人と一匹は、そのまま一緒に暮らし始めた」
「モンスターを町の中に入れて、他の人に文句とか言われなかったニャ?」
「もちろん、他の人にはばれないようにしてたらしいわ。スライムは日の当たらないじめじめした場所が好きだし、生活範囲が家の中だけでも、特に問題はなかったみたい」
「なるほどニャ」
「そんなある日のことよ、パパのお友達が、結婚したの。パパは熊柔道一筋で、それまでまったく女性に関心がなかったそうだけど、美しい花嫁さんを見て、ちょっぴり羨ましく思ったそうよ。それで、その日の夕食のとき、何気なくスライムに言ったの。『お前が女なら、ワシの嫁さんになってもらうのになあ! ガハハ!』って」
「あはは、面白いパパさんニャ」
「そして、次の日、奇跡が起こった。スライムは、人間の女性そっくりの姿に変形していたの。当然、ぬめぬめべとべとはしていたけどね。パパは大喜びで、彼女と結婚したわ。ほどなくして、私が産まれた」
ん、んなアホニャ……
驚いたような、呆れたような僕の顔を見て、ネルロちゃんは苦笑した。
「出来の悪いコメディみたいな話でしょ? でも本当のことなの。この私の存在が、何よりの証拠。私は、熊獣人とスライムのハーフ。だから、こんなに体が大きくて、こんなにぬめぬめべとべとしてるの」
確かに、彼女の存在は、幾千の言葉よりも、これまでの話が真実である証だった。
「ひげもじゃの旦那さんと、ぬめぬめの奥さん。そして体の大きなべとべとの子供。おかしな家族だったけど、私たちはとても幸せだったわ。ママも人型になっているから、モンスターだと気づかれずに家族みんなで外出できたしね。……でもね、その幸せを、私が壊してしまったの」
ただでさえ陰気なネルロちゃんの瞳が、さらに一段階暗くなった。
僕は、ゴクリとつばを飲み込んだ。
「へぇ、そんなことって、あるんニャねぇ……」
「山籠もりを終えたパパは、人里へと帰って来た。驚いたことに、荷物の中に紛れて、スライムもついて来た。仲良くなったパパと離れたくなかったのね。パパも随分とスライムに情が移っていて、一人と一匹は、そのまま一緒に暮らし始めた」
「モンスターを町の中に入れて、他の人に文句とか言われなかったニャ?」
「もちろん、他の人にはばれないようにしてたらしいわ。スライムは日の当たらないじめじめした場所が好きだし、生活範囲が家の中だけでも、特に問題はなかったみたい」
「なるほどニャ」
「そんなある日のことよ、パパのお友達が、結婚したの。パパは熊柔道一筋で、それまでまったく女性に関心がなかったそうだけど、美しい花嫁さんを見て、ちょっぴり羨ましく思ったそうよ。それで、その日の夕食のとき、何気なくスライムに言ったの。『お前が女なら、ワシの嫁さんになってもらうのになあ! ガハハ!』って」
「あはは、面白いパパさんニャ」
「そして、次の日、奇跡が起こった。スライムは、人間の女性そっくりの姿に変形していたの。当然、ぬめぬめべとべとはしていたけどね。パパは大喜びで、彼女と結婚したわ。ほどなくして、私が産まれた」
ん、んなアホニャ……
驚いたような、呆れたような僕の顔を見て、ネルロちゃんは苦笑した。
「出来の悪いコメディみたいな話でしょ? でも本当のことなの。この私の存在が、何よりの証拠。私は、熊獣人とスライムのハーフ。だから、こんなに体が大きくて、こんなにぬめぬめべとべとしてるの」
確かに、彼女の存在は、幾千の言葉よりも、これまでの話が真実である証だった。
「ひげもじゃの旦那さんと、ぬめぬめの奥さん。そして体の大きなべとべとの子供。おかしな家族だったけど、私たちはとても幸せだったわ。ママも人型になっているから、モンスターだと気づかれずに家族みんなで外出できたしね。……でもね、その幸せを、私が壊してしまったの」
ただでさえ陰気なネルロちゃんの瞳が、さらに一段階暗くなった。
僕は、ゴクリとつばを飲み込んだ。
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