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第二部 獣人武闘祭
第246話
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かかわるのも馬鹿らしい。
私は彼らを大きく避けるようにして道を行こうとした。
だがその時、視界にきらりと光るものが入った。
いけない。
金髪の男が、刃物を抜いたのだ。
たちまち、長髪の男の顔が青くなる。
それで、金髪の男が、勢いづいた。嫌な笑みを浮かべ、刃物を高く振りあげると、怯え始めた喧嘩相手に向かって、切りつけようとする。
馬鹿なことを。
はぁ、仕方ない。
止めてやるとしますか。
そう思って私が動き出そうとすると、一匹のゴリラが素早く前に出て、金髪の男の、刃物を持つ方の腕をつかんだ。
「兄ちゃん、よそうや。男の喧嘩に、刃物を使うのはみっともないぜ」
ゴリラの声は、思ったより可愛らしかった。
それは、ゴリラではなく、ゴリラのマスクをかぶった、女だった。
刃物を持つ腕を掴まれた男は、「うるせえ!」と怒鳴り、反対側の腕でゴリラマスクの女の横っつらを殴った。そこそこ大きな音がしたが、ゴリラマスクの女は、平然としている。その平然とした顔に向かって、男は何かを言おうとしたが、最後まで言葉を紡ぐことはできなかった。
男の顔面に、ゴリラマスクの女の拳がめり込んだからだ。
腰の入った、いいパンチだった。
男は、「ぷぴゅっ」とも、「ぺふゅっ」とも聞こえる悲鳴を上げて、3メートルはぶっ飛んだ。そしてそのまま、起き上がってくることはなかった。
すると、先程まで真っ青になっていた長髪の男が、「ざまあみろ!」と叫びをあげて、倒れた男の顔を踏みつけようとする。
ゴリラマスクの女は、小さく「よしな」と言いながら、長髪の男の肩に手を置いた。男は一瞬振り向いたが、女の制止を無視して倒れた男の顔面を蹴り飛ばそうとした。
次の瞬間、長髪の男は鼻から血を噴出させながら、ぶっ飛んでいた。
ゴリラマスクの女に、パンチをぶち込まれたのだ。
奇しくも、彼が飛んだ距離は、先程の男と同じく、3メートルほどである。
清々しいくらいの、『喧嘩両成敗』だった。
私は自分でも気づかぬ間に、拍手をしていた。
それほどに、嫌な空気を吹き飛ばすような、爽快な二発のパンチだったのだ。
そして言った。
「お見事」
ゴリラマスクの女は、こちらを向いた。
私はそこで、やっと気がついた。
このゴリラマスクの女が、誰であるかを。
ゴヘイと共に閲覧したJ1グランプリ出場者の名簿表で、見た顔だ。
確か、名前は、ミス・マウンテンゴリラ。
写真で見るよりも、マスクは薄手で、彼女の表情がよくわかる。
私は彼らを大きく避けるようにして道を行こうとした。
だがその時、視界にきらりと光るものが入った。
いけない。
金髪の男が、刃物を抜いたのだ。
たちまち、長髪の男の顔が青くなる。
それで、金髪の男が、勢いづいた。嫌な笑みを浮かべ、刃物を高く振りあげると、怯え始めた喧嘩相手に向かって、切りつけようとする。
馬鹿なことを。
はぁ、仕方ない。
止めてやるとしますか。
そう思って私が動き出そうとすると、一匹のゴリラが素早く前に出て、金髪の男の、刃物を持つ方の腕をつかんだ。
「兄ちゃん、よそうや。男の喧嘩に、刃物を使うのはみっともないぜ」
ゴリラの声は、思ったより可愛らしかった。
それは、ゴリラではなく、ゴリラのマスクをかぶった、女だった。
刃物を持つ腕を掴まれた男は、「うるせえ!」と怒鳴り、反対側の腕でゴリラマスクの女の横っつらを殴った。そこそこ大きな音がしたが、ゴリラマスクの女は、平然としている。その平然とした顔に向かって、男は何かを言おうとしたが、最後まで言葉を紡ぐことはできなかった。
男の顔面に、ゴリラマスクの女の拳がめり込んだからだ。
腰の入った、いいパンチだった。
男は、「ぷぴゅっ」とも、「ぺふゅっ」とも聞こえる悲鳴を上げて、3メートルはぶっ飛んだ。そしてそのまま、起き上がってくることはなかった。
すると、先程まで真っ青になっていた長髪の男が、「ざまあみろ!」と叫びをあげて、倒れた男の顔を踏みつけようとする。
ゴリラマスクの女は、小さく「よしな」と言いながら、長髪の男の肩に手を置いた。男は一瞬振り向いたが、女の制止を無視して倒れた男の顔面を蹴り飛ばそうとした。
次の瞬間、長髪の男は鼻から血を噴出させながら、ぶっ飛んでいた。
ゴリラマスクの女に、パンチをぶち込まれたのだ。
奇しくも、彼が飛んだ距離は、先程の男と同じく、3メートルほどである。
清々しいくらいの、『喧嘩両成敗』だった。
私は自分でも気づかぬ間に、拍手をしていた。
それほどに、嫌な空気を吹き飛ばすような、爽快な二発のパンチだったのだ。
そして言った。
「お見事」
ゴリラマスクの女は、こちらを向いた。
私はそこで、やっと気がついた。
このゴリラマスクの女が、誰であるかを。
ゴヘイと共に閲覧したJ1グランプリ出場者の名簿表で、見た顔だ。
確か、名前は、ミス・マウンテンゴリラ。
写真で見るよりも、マスクは薄手で、彼女の表情がよくわかる。
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