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第二部 獣人武闘祭
第195話(ミャオ視点)
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「随分威勢がよろしいこと。あなた、どこの道場所属ですの?」
桃色の髪を後頭部で結わえた猫耳女が、僕に話しかけてきた。
体格は、僕とほとんど同じ。
身長150cm台の後半。
体重も、60kgあるかないかだろう。
この予選会場に集まった選手の中には、180cmを超える大柄な人が何人もいるから、こいつも、僕も、かなり小さいほうニャね。まあ、僕のパワーなら、体格の不利くらい、どうってことないニャが。
それにしても、こいつ、なんだかほんのりと、甘い香りがする。……まさか、これから戦いが始まるっていうのに、香水をつけているのニャ?
かぁーっ、これだから町育ちの獣人は嫌いニャ。
それに、この気取った言葉遣い。
ますますもって僕の嫌いなタイプニャ。
着ている服だって、普通の道着じゃなくて、スポーツ用のスタイリッシュなボディスーツニャ。かああぁぁーっ、かっこつけてんじゃねーニャ。
何よりこいつも、J1グランプリ本戦に出るための、たった一つの切符を奪い合うライバルの一人ニャ。こういうのは、最初に舐められたら終わりニャ。戦いはすでに始まっているのニャ。僕、普段はもうちょっと良い子だけど、今日一日は狂暴モード全開で行くニャ。
よおし、思いっきりガンを飛ばしてやるニャ。
「なんニャお前。気安く話しかけんなニャ。だいたい、そーいうのは自分から名乗るのがすじニャ」
僕の態度に、猫耳女の表情が一瞬険しくなる。
しかし、すぐに平静を取り戻すと、奴は優雅にお辞儀をしたニャ。
「これは失礼いたしましたわ。わたくし、カジヤマ拳道会所属、マリエール・カリクラと申します」
「僕はミャオニャ」
名乗られたからと言って、こちらも名乗ってやる必要はないニャが、先生はいつも、礼儀もきちんとしなさいと言ってるし、一応名前くらいは教えてやるのニャ。
「ミャオニャさん、ですか」
「ニャはいらんニャ。ミャオ、ニャ」
「そうですか。それで、所属はどこですの?」
「その所属っていうの、よくわからんニャ。別に僕は何かの付属物じゃないニャ」
「いえ、そういう意味ではなく、どこの道場に籍を置いているかということですわ」
「籍? お前、道場と結婚してるニャ? 変わったやつニャ」
「結婚は、『籍を置く』ではなく『籍を入れる』でしょう。はぁ、もういいですわ。やっている武術はなんですの?」
「ネコカラテニャ」
「あら、奇遇ですわね」
「ニャッ?」
「わたくしも、ネコカラテ使いですわ」
桃色の髪を後頭部で結わえた猫耳女が、僕に話しかけてきた。
体格は、僕とほとんど同じ。
身長150cm台の後半。
体重も、60kgあるかないかだろう。
この予選会場に集まった選手の中には、180cmを超える大柄な人が何人もいるから、こいつも、僕も、かなり小さいほうニャね。まあ、僕のパワーなら、体格の不利くらい、どうってことないニャが。
それにしても、こいつ、なんだかほんのりと、甘い香りがする。……まさか、これから戦いが始まるっていうのに、香水をつけているのニャ?
かぁーっ、これだから町育ちの獣人は嫌いニャ。
それに、この気取った言葉遣い。
ますますもって僕の嫌いなタイプニャ。
着ている服だって、普通の道着じゃなくて、スポーツ用のスタイリッシュなボディスーツニャ。かああぁぁーっ、かっこつけてんじゃねーニャ。
何よりこいつも、J1グランプリ本戦に出るための、たった一つの切符を奪い合うライバルの一人ニャ。こういうのは、最初に舐められたら終わりニャ。戦いはすでに始まっているのニャ。僕、普段はもうちょっと良い子だけど、今日一日は狂暴モード全開で行くニャ。
よおし、思いっきりガンを飛ばしてやるニャ。
「なんニャお前。気安く話しかけんなニャ。だいたい、そーいうのは自分から名乗るのがすじニャ」
僕の態度に、猫耳女の表情が一瞬険しくなる。
しかし、すぐに平静を取り戻すと、奴は優雅にお辞儀をしたニャ。
「これは失礼いたしましたわ。わたくし、カジヤマ拳道会所属、マリエール・カリクラと申します」
「僕はミャオニャ」
名乗られたからと言って、こちらも名乗ってやる必要はないニャが、先生はいつも、礼儀もきちんとしなさいと言ってるし、一応名前くらいは教えてやるのニャ。
「ミャオニャさん、ですか」
「ニャはいらんニャ。ミャオ、ニャ」
「そうですか。それで、所属はどこですの?」
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「いえ、そういう意味ではなく、どこの道場に籍を置いているかということですわ」
「籍? お前、道場と結婚してるニャ? 変わったやつニャ」
「結婚は、『籍を置く』ではなく『籍を入れる』でしょう。はぁ、もういいですわ。やっている武術はなんですの?」
「ネコカラテニャ」
「あら、奇遇ですわね」
「ニャッ?」
「わたくしも、ネコカラテ使いですわ」
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