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第116話
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……しかし、なんだろう。
先程から感じる、この違和感は。
マッギロウは、強い。
攻撃も、鋭い。
だが、何か変だ。
まるで、ぬるま湯につかっているような、奇妙な感覚。
そんな時、私はマッギロウのパンチをかいくぐり、彼の大きな顎に、回し蹴りを直撃させた。身長差が凄いので、飛び上がりながらの、ジャンピングキックだった。
直撃と言っても、本気で蹴ったわけじゃない。
足に対し、攻撃用の聖女の結界をまとわせてもいない。
これは、ただの模擬戦だし、『少し手合わせをしてみよう』という気持ちに違いないマッギロウの顔を本気で蹴る意味がない。って言うか、こんな軽い手合わせで、相手に大ダメージを与えるつもりの蹴りを放ったら異常者だわ。
それでも、まったく手抜きの蹴りというわけでもないので、普通の人間が相手なら顎の骨が折れるだろうが、このマッギロウにとっては、顎を撫でられたようなものだろう。
しかしマッギロウは、私の予想に反して、ドシーンと大きな音を立てて、倒れ込んでしまった。私は驚き、慌てて彼に駆け寄ると、「大丈夫ですか?」と声をかける。
見たところ、マッギロウの顎には、大した怪我はない。
そして、別に脳震盪も起こしたわけでもないようだ。
マッギロウは、たった今顔を蹴られたばかりだというのに、ニコニコと微笑んで、平伏し、私に頭を下げた。きっと『手合わせありがとうございました。参りました』という意味なのだろう。
その姿には、悔しさや闘志のようなものが、まったく感じられなかった。
……これは、ちょっと――いや、かなりめずらしいことである。
腕に覚えのある男なら、たとえ軽い練習試合でも、顔を蹴飛ばされて倒れたら、プライドを刺激され、多少は怒りや悔しさをにじませるものだ。立ったまま戦うことを誇りとするボクサーなら、なおのことである。
だがマッギロウには、それがまったくない。さっきの蹴りだって、大げさに倒れるほどの蹴りではない。耐えようと思えば、足を踏ん張って耐えられたはずだ。マッギロウは、たぶん、倒されることを、恥ずかしいと思っていないのだろう。
ああ、そうか。
さっきから感じていた、違和感の正体が分かった。
先程から感じる、この違和感は。
マッギロウは、強い。
攻撃も、鋭い。
だが、何か変だ。
まるで、ぬるま湯につかっているような、奇妙な感覚。
そんな時、私はマッギロウのパンチをかいくぐり、彼の大きな顎に、回し蹴りを直撃させた。身長差が凄いので、飛び上がりながらの、ジャンピングキックだった。
直撃と言っても、本気で蹴ったわけじゃない。
足に対し、攻撃用の聖女の結界をまとわせてもいない。
これは、ただの模擬戦だし、『少し手合わせをしてみよう』という気持ちに違いないマッギロウの顔を本気で蹴る意味がない。って言うか、こんな軽い手合わせで、相手に大ダメージを与えるつもりの蹴りを放ったら異常者だわ。
それでも、まったく手抜きの蹴りというわけでもないので、普通の人間が相手なら顎の骨が折れるだろうが、このマッギロウにとっては、顎を撫でられたようなものだろう。
しかしマッギロウは、私の予想に反して、ドシーンと大きな音を立てて、倒れ込んでしまった。私は驚き、慌てて彼に駆け寄ると、「大丈夫ですか?」と声をかける。
見たところ、マッギロウの顎には、大した怪我はない。
そして、別に脳震盪も起こしたわけでもないようだ。
マッギロウは、たった今顔を蹴られたばかりだというのに、ニコニコと微笑んで、平伏し、私に頭を下げた。きっと『手合わせありがとうございました。参りました』という意味なのだろう。
その姿には、悔しさや闘志のようなものが、まったく感じられなかった。
……これは、ちょっと――いや、かなりめずらしいことである。
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だがマッギロウには、それがまったくない。さっきの蹴りだって、大げさに倒れるほどの蹴りではない。耐えようと思えば、足を踏ん張って耐えられたはずだ。マッギロウは、たぶん、倒されることを、恥ずかしいと思っていないのだろう。
ああ、そうか。
さっきから感じていた、違和感の正体が分かった。
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