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第91話

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 かくして、ゴブリン討伐は無事終了した。

 囚われていた女の人たちは、精神的にも肉体的にも弱っていたが、なんとか自我は保っており、皆、自分の足で、自分の故郷へ帰って行った。……あれだけの目に遭ったのに、なんてタフな人たちだろう。彼女たちならきっと、辛い思いをしたことにも負けず、再び前を向いて、強く生きていけるに違いない。

 そんなことを考えながら、私は今、エリスにおんぶされて、町への帰路についている。分かってはいたが、体内の全魔力を放出した影響は甚大で、私はもう、自分の足で立つことすらできなくなっていた。

 エリスの背に頭を預けるようにして、私は言う。

「あの女の人たち、護衛もつけずに帰らせて大丈夫だったかしら……」

 エリスは後ろ手で私の体をしっかりと抱え、私を安心させるように、力強い言葉を発した。

「心配いりませんよ。この辺りは治安がいいですから、明るい間の街道なら、野盗がでることはありませんし、モンスターもいません。何より、彼女たちは皆、なかなかのつわものです。ゴブリンの巣にあった装備も取り返しましたから、並みのモンスターや野盗程度なら、蹴散らしてしまいますよ」

「それもそうね……あの長い髪の女の人は村一番の剣士で、もう一人は旅の武闘家。そしてもう一人、一番若い子は、ちゃんとした冒険者資格を持っている魔法使いだったわね。皆、ヒューマンゴブリンみたいな不死身の怪物が相手じゃなければ、ゴブリンの20匹や30匹、簡単にやっつけられたでしょうに……」

「そうですね。ヒューマンゴブリンは外見も、立ち振る舞いも、ぱっと見では人間としか思えませんから、そういう意味でも、気後れしたのかもしれません。戦うべきか、話し合うべきか迷っていると、どうしても動きが鈍りますからね。ああいう手合いは、ペラペラしゃべっている間に、とにかく先制攻撃で倒してしまうのがベストです」

「迷うと動きが鈍るか……まったくもってそのとおりね……迷ってるうちに、あんなタチの悪い魔物に捕らえられちゃったら、後に待ってるのは地獄だものね……」
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