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第81話
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かつて、勇者パーティーの一員として旅をしていた時に何度も戦ったことのある、巨大なオーガやトロルと同等……いや、それ以上の迫力を感じる。
流石のエリスも、三匹同時に相手をするのは少々きついのでは?
そう思ったときには、勝負は終わっていた。
ゴブリンたちは皆、首から上がなくなっている。
怒りのこもったエリスの『魔拳』で、頭部は粉々に砕け散ったのだ。
私は、たった今目の前で起こったことを、一度だけ瞬きをして、反芻する。
まず、一匹目のゴブリンが、唸るようなストレートパンチでエリスに襲い掛かった。エリスは少しだけ首を逸らしてそれをかわしながら、右のショートアッパーを放つ。その一撃で、ゴブリンの頭は破裂した。
次に、二匹目のゴブリンが、丸太よりも太い腕でフックを放ってきた。エリスはそれをかわそうともせず、左のストレートパンチをゴブリンの顔面に叩き込み、鼻ごと顔面と頭蓋骨を粉砕した。
最後に、三匹目のゴブリンが両手の指を組んで頭上にあげ、エリスの脳天に両拳を叩きつけようとしたのだが、それよりも遥かに速く、エリスの右ストレートがゴブリンの頭を文字通り『ぶち抜いた』……それで、すべてのゴブリンは、絶命した。
たった、三つのパンチ。
そのすべてが、完璧なカウンターとなって、一瞬でゴブリンの命を奪った。
まだ、戦いが始まってから、10秒どころか、5秒ほどしか経っていない。
芸術的なまでの、無駄のない動き、そして、冷徹なる必殺の拳。
あまりにも見事な戦いぶりに、私は思わず「はぅ」と呆けた声を上げてしまった。
そして、気がついた。
エリスの『エルフ式魔術ボクシング』は、スポーツ的な格闘技ではなく、純粋な殺し合いでこそ真価を発揮するものだということに。……この子、『相手を確実に殺す』と心に決めたら、これほどの動きができるのね。
今分かったが、エリスは、一ヶ月前に私と戦ったときは、拳を振るう際、無意識に力をセーブしてたのね。そりゃそうよね。この、凶器そのものと言ってもいい『魔拳』が、100パーセントの威力で人間に直撃したら、確実に殺してしまうもの。
そして、拳の威力をセーブすると、カウンターのキレも、どうしても1~2割は落ちてしまうものだ。たった今、ゴブリンたちを葬ったカウンターが、エリス本来の強さなのね。
もしも一ヶ月前、エリスが今見せたような動きで襲い掛かって来ていたなら、正直、どうなっていたか分からないわね。まあ、その場合は、私も彼女と拳で打ち合ったりはせず、また別の戦法を取っていただろうけど。
流石のエリスも、三匹同時に相手をするのは少々きついのでは?
そう思ったときには、勝負は終わっていた。
ゴブリンたちは皆、首から上がなくなっている。
怒りのこもったエリスの『魔拳』で、頭部は粉々に砕け散ったのだ。
私は、たった今目の前で起こったことを、一度だけ瞬きをして、反芻する。
まず、一匹目のゴブリンが、唸るようなストレートパンチでエリスに襲い掛かった。エリスは少しだけ首を逸らしてそれをかわしながら、右のショートアッパーを放つ。その一撃で、ゴブリンの頭は破裂した。
次に、二匹目のゴブリンが、丸太よりも太い腕でフックを放ってきた。エリスはそれをかわそうともせず、左のストレートパンチをゴブリンの顔面に叩き込み、鼻ごと顔面と頭蓋骨を粉砕した。
最後に、三匹目のゴブリンが両手の指を組んで頭上にあげ、エリスの脳天に両拳を叩きつけようとしたのだが、それよりも遥かに速く、エリスの右ストレートがゴブリンの頭を文字通り『ぶち抜いた』……それで、すべてのゴブリンは、絶命した。
たった、三つのパンチ。
そのすべてが、完璧なカウンターとなって、一瞬でゴブリンの命を奪った。
まだ、戦いが始まってから、10秒どころか、5秒ほどしか経っていない。
芸術的なまでの、無駄のない動き、そして、冷徹なる必殺の拳。
あまりにも見事な戦いぶりに、私は思わず「はぅ」と呆けた声を上げてしまった。
そして、気がついた。
エリスの『エルフ式魔術ボクシング』は、スポーツ的な格闘技ではなく、純粋な殺し合いでこそ真価を発揮するものだということに。……この子、『相手を確実に殺す』と心に決めたら、これほどの動きができるのね。
今分かったが、エリスは、一ヶ月前に私と戦ったときは、拳を振るう際、無意識に力をセーブしてたのね。そりゃそうよね。この、凶器そのものと言ってもいい『魔拳』が、100パーセントの威力で人間に直撃したら、確実に殺してしまうもの。
そして、拳の威力をセーブすると、カウンターのキレも、どうしても1~2割は落ちてしまうものだ。たった今、ゴブリンたちを葬ったカウンターが、エリス本来の強さなのね。
もしも一ヶ月前、エリスが今見せたような動きで襲い掛かって来ていたなら、正直、どうなっていたか分からないわね。まあ、その場合は、私も彼女と拳で打ち合ったりはせず、また別の戦法を取っていただろうけど。
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