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第3話

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 それから三日後。
 適当な町で宿を確保し、私は一人、今後の身の振り方について考えていた。

「はぁ~、どうしよっかな~。まっ、普通に考えたら、故郷に帰るべきよね。いや、でも、故郷に帰ったらな~、また、退屈な聖女の仕事をこなさなきゃいけないしな~」

 安っぽい部屋の、安っぽいベッドに横になりながら、誰に言うでもなく、ぶつぶつと語り続ける私。……やばいわね。たった三日、誰とも話さなかっただけで、洪水みたいに独り言が出てくる。私ってもしかして、喋りたがりの、寂しがり屋なのかしら。

 ……やっぱり、故郷に帰ろうかな。
 私、孤児だったから、親や兄弟はいないけど、故郷には何人か、友達がいるし。

 でもなあ。
 帰ったら絶対、聖女の仕事、やらなきゃいけないわよね。
 私の任期、まだ残ってるもん。

 さて、ここで、『聖女の仕事』について解説しておきましょう。

 私の生まれ故郷では、最も高い魔力を秘めた女性が『聖女』となり、その膨大な魔力を使って、外敵から国を守る結界を張らなければならないのです。……恐ろしいことに、休みなしで。

 しかも、その任期は、なんと10年。

 私が聖女に選ばれたのは16歳の時だから、今、21歳の私が国に戻ったら、たぶんあと5年、国防のために結界を張らされるだろう。勇者パーティーに勧誘されたから、特例で『聖女の仕事』を休むことができただけで、書類の上では、今でも私が、王様によって選ばれた聖女ということになっているはずだものね。

 うわ~……

 一気に帰りたくなくなってきたわ~……

 だって、聖女の仕事って、疲れる上に、退屈なんだもん。

 それに、今こうして、私が遠くに離れていても、故郷が魔物や他の国に攻められたって話は聞かないから、私が帰らなくても大丈夫でしょ、たぶん。

 よし。
 とりあえずこれで、『故郷に帰る』という選択肢は消えた。

 となれば、後は『一人で旅を続ける』か、『どこかに定住する』しかないのだが、どちらの道を選ぶにしても、ある程度のお金を稼がなきゃいけない。……何故なら、私の所持金は、すでに底をつきつつあるからだ。

 勇者パーティーの給料は、お世辞にも多いとは言えない水準だったから、大して無駄遣いもしていないのに、あっという間に金欠になってしまった。このままでは、この安っぽい宿にすら、泊まり続けることはできない。

「しょうがない。何か、仕事でもしますか」

 ほんの少し前まで勇者パーティーの一員だったという経歴を活かせは、何かしらの仕事が見つかるだろう。私はベッドから起き上がり、町の職業斡旋所に向かった。
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