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第143話

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 大通りにいる人々すべてから、謎の太陽の情報を集めようとしている今、ふらりといなくなってしまった不良娘と不良少女を、しつこく追いかけている暇などなかったのだろう。あの太陽の力は、完全に人知を超えており、まさか、私たちみたいなのが、今回の騒動の中心にいただなんて、夢にも思わないでしょうしね。

 とはいえ、一度マークされた以上、ふらふら町に舞い戻ったりしたら、今度こそ面倒なことになりかねない。だから私は、このまま旅立つことにした。そもそも、『至高なる魔女の会』が解散し、フェルヴァ・アストラスがいなくなった今、これ以上あの町に長居する理由がないからだ。

 ……しかし、リーゼルはどうするのだろう?
 まさか、私と同じく、旅人になるつもりなのだろうか?

 私は、ちらりと後ろのリーゼルを見やり、今思った通りのことを、ほとんどそのまま尋ねる。

「ねえ、リーゼル。あなた、これからどうするの? 私みたいな、旅人になるつもり?」

 リーゼルは少々の沈黙の後、口を開いた。

「そう……だな。そう……なるのかな」

 まるで、言葉をちぎって吐くようであった。
 私は口を挟まず、静かに、リーゼルの次の言葉を待った。

「町を出る時から、ずっと考えてたけど、俺、やっぱり、フェルヴァをこのまま放っておくことはできないよ。あいつがどこに行っちまったのかはわからないが、このまま旅をして、あいつを捜して、それで……」

「それで、どうするの? ……こう言っちゃなんだけど、昨日のフェルヴァを見た限りじゃ、説得なんて、無理っぽい感じだったけど」

「そうだな……でも、だからと言って、何もしないってのは、間違ってると思う。少なくとも俺には、あいつをなんとかしなきゃいけない、責任があると思うから……」

「そう……」

 それから私たちは、しばらくの間、無言で飛び続けた。
 今日は良く晴れており、陽光が心地いい。

 のんびりと飛んでいるので、風切り音も少なく、実に快適だ。
 その、快適な空の旅の最中、リーゼルがおずおずと語り始めた。

「それで……さ。もしよかったら、なんだけどさ。このまま、あんたと一緒に、旅してもいいかな。俺、長い旅なんて、したことないから、その、一人だと、ちょっと不安でさ……」

 相変わらず、言葉をひとつひとつちぎって投げるような、語り口である。
 気落ちしているというか、自信なさげというか……
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