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第34話
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リーゼルは当てが外れたと言う感じで頭をかきながら、言葉を続ける。
「なんだ。そこそこの魔法が使えるし、プラチナカードを持ってるくらいだから、幹部クラスだと思ったんだが、こりゃ期待外れだ。……お前、新参者だろ。新参は、幹部の会合には呼んでもらえないからな」
『新参者』と呼ばれたのがよっぽど悔しかったのか、これまで大人しくしていたシャーリーが、噴火した活火山のように怒りの感情をぶちまける。
「そうよ! あたしは、魔法使いになったのも、『至高なる魔女の会』への入会が認められたのも最近の、新参者よ! でもね、高い素質を評価されて、あっという間にナンバー9の地位を与えられたのよ! 今はまだ、会のトップであるフェルヴァ様のお顔を見ることすらできないけど、いずれはお側で仕えさせてもらうんだから! 何か文句ある!?」
「本当によく喋る奴だな。別に文句なんかねーよ。……『いずれはお側で仕えさせてもらう』か。かわいそうに。こんなに心酔してるのに、フェルヴァの奴は、お前に顔すら見せてやってないんだな」
そこでリーゼルは黙ると、手のひらを上に向けて、何かの呪文を唱えた。
すると、開かれたままのリーゼルの手に、光が集まっていく。
光の集合体は、あっという間に具体的なビジョン――立体映像となった。
ふーむ。
これまた、かなり高度な魔法だわ。
魔力自体はそんなに必要ではないが、光を映像にするためには、繊細な魔力コントロール技術が必要である。それを苦もなくやってのけるリーゼルの優秀さに、私は舌を巻いた。
立体映像は、女の子の顔だった。
年齢は、14歳……いや、15歳くらい……かな?
凄い美少女だ。
単に目鼻立ちが整っているというだけではなく、その美貌には、鮮烈なまでの『華』がある。プラチナシルバーの長い髪と、宝石のような青い瞳は、どこか人間離れした美しさであり、私はしばし見とれてしまった。それはシャーリーも同じようで、夢うつつの、ぽぉっとした様子で、立体映像の少女を見つめている。
ただ一人、リーゼルだけはつまらなそうな顔で、静かに口を開く。
「これが、あんたが見たがってる『フェルヴァのお顔』だ。綺麗なことは綺麗だが、二十歳過ぎのあんたから見れば、ガキだろ? なあ、シャーリーさんよ。あんた、こんなガキに、お仕えしたいってのか?」
シャーリーは、もうリーゼルの言葉を聞いていなかった。リーゼルの腕に縋り付くようにし、立体映像のフェルヴァに顔を近づけ、うっとりと、恋する乙女のように囁く。
「ああ……これが、『至高なる魔女の会』の、現最高実力者……フェルヴァ・アストラス様なのね……彼女があたしを、魔法使いにしてくれたのね……なんていう……美しいお姿……まさに、至高なる魔女だわ……」
その言葉を聞き、リーゼルは苛立った様子で立体映像を消去した。心酔するフェルヴァの顔が突如消えてしまったことで、シャーリーは取り乱し、リーゼルの片足に抱き着くようにして、必死に哀訴する。
「お願い、もう一度だけ、フェルヴァ様のお顔を見せて。ねえ、お願い、お願いよ……」
まるで、おもちゃを取り上げられた子供のように、幼く、哀れな姿だった。そんなシャーリーを見下ろしながら、リーゼルは、深く、重たい溜息をもらすのだった。
「なんだ。そこそこの魔法が使えるし、プラチナカードを持ってるくらいだから、幹部クラスだと思ったんだが、こりゃ期待外れだ。……お前、新参者だろ。新参は、幹部の会合には呼んでもらえないからな」
『新参者』と呼ばれたのがよっぽど悔しかったのか、これまで大人しくしていたシャーリーが、噴火した活火山のように怒りの感情をぶちまける。
「そうよ! あたしは、魔法使いになったのも、『至高なる魔女の会』への入会が認められたのも最近の、新参者よ! でもね、高い素質を評価されて、あっという間にナンバー9の地位を与えられたのよ! 今はまだ、会のトップであるフェルヴァ様のお顔を見ることすらできないけど、いずれはお側で仕えさせてもらうんだから! 何か文句ある!?」
「本当によく喋る奴だな。別に文句なんかねーよ。……『いずれはお側で仕えさせてもらう』か。かわいそうに。こんなに心酔してるのに、フェルヴァの奴は、お前に顔すら見せてやってないんだな」
そこでリーゼルは黙ると、手のひらを上に向けて、何かの呪文を唱えた。
すると、開かれたままのリーゼルの手に、光が集まっていく。
光の集合体は、あっという間に具体的なビジョン――立体映像となった。
ふーむ。
これまた、かなり高度な魔法だわ。
魔力自体はそんなに必要ではないが、光を映像にするためには、繊細な魔力コントロール技術が必要である。それを苦もなくやってのけるリーゼルの優秀さに、私は舌を巻いた。
立体映像は、女の子の顔だった。
年齢は、14歳……いや、15歳くらい……かな?
凄い美少女だ。
単に目鼻立ちが整っているというだけではなく、その美貌には、鮮烈なまでの『華』がある。プラチナシルバーの長い髪と、宝石のような青い瞳は、どこか人間離れした美しさであり、私はしばし見とれてしまった。それはシャーリーも同じようで、夢うつつの、ぽぉっとした様子で、立体映像の少女を見つめている。
ただ一人、リーゼルだけはつまらなそうな顔で、静かに口を開く。
「これが、あんたが見たがってる『フェルヴァのお顔』だ。綺麗なことは綺麗だが、二十歳過ぎのあんたから見れば、ガキだろ? なあ、シャーリーさんよ。あんた、こんなガキに、お仕えしたいってのか?」
シャーリーは、もうリーゼルの言葉を聞いていなかった。リーゼルの腕に縋り付くようにし、立体映像のフェルヴァに顔を近づけ、うっとりと、恋する乙女のように囁く。
「ああ……これが、『至高なる魔女の会』の、現最高実力者……フェルヴァ・アストラス様なのね……彼女があたしを、魔法使いにしてくれたのね……なんていう……美しいお姿……まさに、至高なる魔女だわ……」
その言葉を聞き、リーゼルは苛立った様子で立体映像を消去した。心酔するフェルヴァの顔が突如消えてしまったことで、シャーリーは取り乱し、リーゼルの片足に抱き着くようにして、必死に哀訴する。
「お願い、もう一度だけ、フェルヴァ様のお顔を見せて。ねえ、お願い、お願いよ……」
まるで、おもちゃを取り上げられた子供のように、幼く、哀れな姿だった。そんなシャーリーを見下ろしながら、リーゼルは、深く、重たい溜息をもらすのだった。
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