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第15話(ジェイリアム視点)

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 俺はその疑問を、エルディット・マーク2にぶつけた。
 完璧なる機械の頭脳で、完璧なる答えを導き出してほしかった。

 エルディット・マーク2は、いつも通りの微笑を浮かべ、言った。

「陛下。不正を犯す者は、皆、こう思っているのです。『自分だけは大丈夫』と」

「馬鹿な! 俺と最も親しかったパウレンスの一族をも、規律を守るため、俺は皆殺しにしたのだぞ! あの、生まれたばかりの赤ん坊もだ! 俺は、罪に対しては公平に罰を与える! 『誰それだけは大丈夫』だなんて、そんなこと、あるはずがあるまい!?」

「陛下、そういうことではありません。世の中には、身分の高低にかかわらず、恐ろしく想像力に欠ける人間という者が、少なからず存在します。彼らは、自分の行動が、どんなリスクを生み、どんな結末を招くのかを、想像できないのです。ですからたやすく、愚かな真似をするのです」

「…………」

「残念なことですが、彼らのような愚者には、いかなる見せしめも効果がありません。彼らはいつだって『自分だけは特別』『自分だけは、何をしても許される』『まあ、どうせ大したことにはならないだろう』と思っているのですから」

「なら、どうすればいい。そんな連中がいる限り、『完璧なる平和』は達成できないじゃないか」

 エルディット・マーク2は、ギギギと頷いた。

「その通りです、陛下。『そんな連中がいる限り』、この国に『完璧なる平和』と公正さは訪れません。しかし、逆に考えると、『そんな連中がいなくなれば』、この国はもっと良くなるということです」

「そうか。確かに、そうだな」

「私はすでに、将来不正を犯す可能性がある人々のリストアップを済ませております。陛下、彼らを即刻、処刑いたしましょう」

「な、なにっ?」

 エルディット・マーク2の発言に、俺は動揺した。

 処刑? 追放ではなくて、処刑するというのか? それも、現時点では『不正を犯す可能性がある』というだけで、まだ何の罪を犯してはいない者たちを。

 俺はエルディット・マーク2の無感情な目を見て、言う。

「エ……エルディット・マーク2。それは流石に、行き過ぎた判断だろう。その者たちが将来、本当に罪を犯すか、わからないではないか……」
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