なんでも欲しがる妹が婚約者まで奪おうとするので、思い切ってくれてやることにしました。私は彼の執事と添い遂げます【完結】

「ヘイデールさんって、本当に素敵な方ね。姉さんが羨ましいわ」

 妹はそう言い、私の婚約者を奪おうとしてきた。これまで散々、私の『大切な物』を自分のものにしてきたのに、それでは飽き足らず、『大切な人』まで手に入れようとするなんて。

 大好きだった婚約者ヘイデールは、妹の策略にやすやすと引っかかり、私に疑いの眼差しを向けてくる。私の言うことは信じないのに、妹の言うことは妄信するその姿に、愛情が急激に冷めていくのを感じた。

 ……そう。
 そんなに欲しいの、彼のことが。
 それならヘイデールは、あなたにあげるわよ。

 もう信頼と愛情は、とっくに無くなってしまったから。

 私は、ヘイデールに仕えている美しい執事、ジェランドさんと添い遂げるわ。
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