私を虫けらと呼ぶ婚約者。本当の虫けらはどっちでしょうね【完結】

「陰気で不細工な女め。僕は、お前のことがずっと嫌いだった」

廃村に私を呼び出したキュリック様は、徹底的に私を罵倒し、婚約を破棄しました。彼は、私の家からの援助が目当てで私に近づいただけであり、実家の状況が変わり、お金に不自由しなくなった今となっては、私との婚約には、何の価値もないそうです。

「僕にはな、お前と、お前の家に隠れて、ひそかに想いあっていた恋人がいるんだ」

薄々は、感づいていました。
キュリック様の心が、私ではなく、別の誰かに向いていることを。

しかし、私はどうしても納得がいかず、抗議しようします。

……そんな私を、キュリック様は平手で叩き、「喋るな、虫けら」と罵りました。いきなりの暴力と、冷徹な言葉で、何も言えなくなってしまった私を嘲笑い、キュリック様は去っていきます。

その時でした。

キュリック様が、何者かが作った大きな落とし穴に落ち、致命的な大怪我をしてしまったのです。
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