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第75話
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じわじわと、開いていくドア。
その開かれた隙間から、何かが猛スピードで飛んできた。
その『何か』の正体がわかる前に、アスラさんは左に動いて衝突を避けると、腰のナイフを抜いて、『何か』を切りつけた。
「ぎひえぇぇぇぇぇっ!」
不気味な断末魔と共に、『何か』は床に落ちる。
『何か』の正体は、蜘蛛とコウモリを混ぜ合わせたような、奇怪な生物だった。
驚いたことに、その奇怪な生物は、しばらくジタバタともがいた後、霧のように消えてしまった。アスラさんはその有様を一瞥した後、乱暴にドアを開け、室内に向かって言う。
「やっぱり、私たちが乗り込んでくるのを待ち構えてたってわけね。それにしても、こんなタチの悪い『使い魔』をいきなりけしかけてくるなんてね。……あんた、自分のやってること、ちゃんとわかってるの? 『使い魔』の使役は違法だし、『使い魔』を利用して人に怪我をさせた場合は、普通の傷害罪よりずっと重い罪になるのよ」
アスラさんの言葉から察するに、今飛んできた奇怪な生物が、『使い魔』という奴なのだろう。
本か何かで読んだことがあるが、『使い魔』とは、読んで字のごとく、魔導師に使役される悪魔のことだ。言うまでもないが、平和な社会において、悪魔の存在は害悪でしかなく、アスラさんが述べた通り、この国では『使い魔』を呼び出すだけで罪になる。
実際、アスラさんが一撃で倒してしまったから良かったが、あの『使い魔』がこの家から飛び出していき、何の罪もない人たちを襲いまわっていたかもしれないと思うとゾッとする。私はゴクリと唾を飲んで、先程『使い魔』が霧散した場所を眺めた。
その時、室内から楽しそうな声が聞こえてきた。
……忘れるはずもない。
アデットお姉様の、どこか間延びした、陰湿な声だった。
「ふふ、ふふふ。解錠の魔法で、人様の家に勝手に上がり込んでくるような奴に、違法だのなんだのと、説教されたくはないねぇ。それにしても、私の『使い魔』を一撃で殺しちまうとは、やるねぇ。いいねぇ、いいねぇ、そうこなくっちゃねぇ」
本当に、楽しそうな声だった。
まるで、パーティーが始まって大はしゃぎする、子供のようだった。
その開かれた隙間から、何かが猛スピードで飛んできた。
その『何か』の正体がわかる前に、アスラさんは左に動いて衝突を避けると、腰のナイフを抜いて、『何か』を切りつけた。
「ぎひえぇぇぇぇぇっ!」
不気味な断末魔と共に、『何か』は床に落ちる。
『何か』の正体は、蜘蛛とコウモリを混ぜ合わせたような、奇怪な生物だった。
驚いたことに、その奇怪な生物は、しばらくジタバタともがいた後、霧のように消えてしまった。アスラさんはその有様を一瞥した後、乱暴にドアを開け、室内に向かって言う。
「やっぱり、私たちが乗り込んでくるのを待ち構えてたってわけね。それにしても、こんなタチの悪い『使い魔』をいきなりけしかけてくるなんてね。……あんた、自分のやってること、ちゃんとわかってるの? 『使い魔』の使役は違法だし、『使い魔』を利用して人に怪我をさせた場合は、普通の傷害罪よりずっと重い罪になるのよ」
アスラさんの言葉から察するに、今飛んできた奇怪な生物が、『使い魔』という奴なのだろう。
本か何かで読んだことがあるが、『使い魔』とは、読んで字のごとく、魔導師に使役される悪魔のことだ。言うまでもないが、平和な社会において、悪魔の存在は害悪でしかなく、アスラさんが述べた通り、この国では『使い魔』を呼び出すだけで罪になる。
実際、アスラさんが一撃で倒してしまったから良かったが、あの『使い魔』がこの家から飛び出していき、何の罪もない人たちを襲いまわっていたかもしれないと思うとゾッとする。私はゴクリと唾を飲んで、先程『使い魔』が霧散した場所を眺めた。
その時、室内から楽しそうな声が聞こえてきた。
……忘れるはずもない。
アデットお姉様の、どこか間延びした、陰湿な声だった。
「ふふ、ふふふ。解錠の魔法で、人様の家に勝手に上がり込んでくるような奴に、違法だのなんだのと、説教されたくはないねぇ。それにしても、私の『使い魔』を一撃で殺しちまうとは、やるねぇ。いいねぇ、いいねぇ、そうこなくっちゃねぇ」
本当に、楽しそうな声だった。
まるで、パーティーが始まって大はしゃぎする、子供のようだった。
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