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第40話
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正直に言えば、千佳ちゃんが私のことを本当の友達ではなく、学校での休憩所だと思っていたことはショックだった。でも……
「それでもいいよ。私といることで、少しでも千佳ちゃんの心が休まることができたなら、私はそれでいい。……それに、私だって千佳ちゃんを責められるほど立派じゃない。自分から積極的に皆と関わろうとせず、何もしなくても向こうから話しかけに来てくれる千佳ちゃんを、便利な友達代わりにしてたところ、あるから」
そういう意味では、私たち二人とも、どこか歪んでいる。居心地の悪い学校で楽に過ごすために、お互いがお互いを利用していたところもあるのかもしれない。
でも、それだけじゃない。確かに『本当の友達』じゃないかもしれないけど、まったく嘘っぱちの友達ってわけでもないはず。私は千佳ちゃんが話しかけてくれるのが楽しみで、彼女といると救われたし、千佳ちゃんも、少しは私に友情を感じてくれていたとは思う。
そうでなければ、うじうじしていた私が広瀬さんに絡まれた時に、自分で自分を悪く言ってまで私を庇ってはくれなかったと思うし、さっきガレスが尋ねた『稲葉加奈は、お前にとって友ではないのか?』という問いに、『どうかな……』なんて、中途半端な回答はしなかったはずだ。
だから千佳ちゃんが何と言おうと、彼女はやっぱり、私にとっては友達だ。私は気がつくと、今思った通りのことを言葉にし、無我夢中でガレスにまくしたてていた。その行動に何の意味があるのかと問われると返答に困るが、それでも、言わずにはいられなかった。
きっと、さっきから言いたい放題のガレスに、少しでも反論したかったのだろう。だがガレスは、相変わらず人を小ばかにしたような顔で、さらに私と千佳ちゃんを嘲笑してくる。
「くくく、なるほどなるほど。貴様の言いたいことはよくわかった。つまり、利害関係さえ一致していれば"友人契約"が成立すると言うのだな。なんとまあ、いびつな友情もあったものだ。お前たちは二人とも弱者だ! 『裏心の術』の力がなければ本心もさらけ出せず、無様に互いの傷を舐めあう情けない弱者! はははははっ!」
その言い草に、私の中で何かがプツンと切れてしまった。もはやガレスに恐怖心を感じる余裕もなく、目と鼻の距離まで近づいて、泥団子でも投げつけるように言う。
「それでも、あなたよりはマシだよ。卑怯者」
「ん? 聞き間違いか? 今、卑怯者と聞こえたが。くくく、聞き間違いか、そうでなければ言い間違いだな。魔界でも勇猛果敢で知られるこの俺が卑怯者などと……」
ぺちゃくちゃと喋り続けようとするガレスの言葉を、私は遮った。
「驚いた。あなた、卑怯者の自覚がないの? クラスの皆は、ほんの少しルディと関わっただけなのに、こんな陰湿な方法でネチネチと嫌がらせして、卑劣すぎるよ。あっ、そうか。この場合、卑怯者っていうか、卑劣者って言った方がしっくりくるのかな」
この場を支配し、余裕たっぷりだったガレスだが、プライドの高そうな彼にとって『卑劣者』よばわりされるのはそうとうにムッとすることらしく、ギロリと私を睨みつけてくる。
「おい。今言ったこと、取り消せ。弱者の分際で、この俺を侮辱すると許さんぞ」
ガレス自身の背の高さに、彼の立っている教壇の高さもプラスされて凄い威圧感だが、私は負けずに下から睨み返し、思いのたけをすべてぶつけた。
「取り消さない! 人の心の弱い部分を暴き立てて、笑いものにしてる卑劣なあなたに比べれば、弱者の方がずっとマシだって、何度でも言うよ! さらに付け加えるなら、あなたみたいに粗暴で器の小さい人が、次の魔王になんてなれるはずない!」
「それでもいいよ。私といることで、少しでも千佳ちゃんの心が休まることができたなら、私はそれでいい。……それに、私だって千佳ちゃんを責められるほど立派じゃない。自分から積極的に皆と関わろうとせず、何もしなくても向こうから話しかけに来てくれる千佳ちゃんを、便利な友達代わりにしてたところ、あるから」
そういう意味では、私たち二人とも、どこか歪んでいる。居心地の悪い学校で楽に過ごすために、お互いがお互いを利用していたところもあるのかもしれない。
でも、それだけじゃない。確かに『本当の友達』じゃないかもしれないけど、まったく嘘っぱちの友達ってわけでもないはず。私は千佳ちゃんが話しかけてくれるのが楽しみで、彼女といると救われたし、千佳ちゃんも、少しは私に友情を感じてくれていたとは思う。
そうでなければ、うじうじしていた私が広瀬さんに絡まれた時に、自分で自分を悪く言ってまで私を庇ってはくれなかったと思うし、さっきガレスが尋ねた『稲葉加奈は、お前にとって友ではないのか?』という問いに、『どうかな……』なんて、中途半端な回答はしなかったはずだ。
だから千佳ちゃんが何と言おうと、彼女はやっぱり、私にとっては友達だ。私は気がつくと、今思った通りのことを言葉にし、無我夢中でガレスにまくしたてていた。その行動に何の意味があるのかと問われると返答に困るが、それでも、言わずにはいられなかった。
きっと、さっきから言いたい放題のガレスに、少しでも反論したかったのだろう。だがガレスは、相変わらず人を小ばかにしたような顔で、さらに私と千佳ちゃんを嘲笑してくる。
「くくく、なるほどなるほど。貴様の言いたいことはよくわかった。つまり、利害関係さえ一致していれば"友人契約"が成立すると言うのだな。なんとまあ、いびつな友情もあったものだ。お前たちは二人とも弱者だ! 『裏心の術』の力がなければ本心もさらけ出せず、無様に互いの傷を舐めあう情けない弱者! はははははっ!」
その言い草に、私の中で何かがプツンと切れてしまった。もはやガレスに恐怖心を感じる余裕もなく、目と鼻の距離まで近づいて、泥団子でも投げつけるように言う。
「それでも、あなたよりはマシだよ。卑怯者」
「ん? 聞き間違いか? 今、卑怯者と聞こえたが。くくく、聞き間違いか、そうでなければ言い間違いだな。魔界でも勇猛果敢で知られるこの俺が卑怯者などと……」
ぺちゃくちゃと喋り続けようとするガレスの言葉を、私は遮った。
「驚いた。あなた、卑怯者の自覚がないの? クラスの皆は、ほんの少しルディと関わっただけなのに、こんな陰湿な方法でネチネチと嫌がらせして、卑劣すぎるよ。あっ、そうか。この場合、卑怯者っていうか、卑劣者って言った方がしっくりくるのかな」
この場を支配し、余裕たっぷりだったガレスだが、プライドの高そうな彼にとって『卑劣者』よばわりされるのはそうとうにムッとすることらしく、ギロリと私を睨みつけてくる。
「おい。今言ったこと、取り消せ。弱者の分際で、この俺を侮辱すると許さんぞ」
ガレス自身の背の高さに、彼の立っている教壇の高さもプラスされて凄い威圧感だが、私は負けずに下から睨み返し、思いのたけをすべてぶつけた。
「取り消さない! 人の心の弱い部分を暴き立てて、笑いものにしてる卑劣なあなたに比べれば、弱者の方がずっとマシだって、何度でも言うよ! さらに付け加えるなら、あなたみたいに粗暴で器の小さい人が、次の魔王になんてなれるはずない!」
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