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第23話
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翌日。学校に行くと、クラスの皆がルディを囲み、昨日は聞ききれなかった質問を次々とぶつけてきた。『マカイってどんな国?』『なんであんなにサッカーが上手いの? 初めてだったんでしょ?』『どういうきっかけで稲葉さんの家にホームステイすることになったの』と、だいたいまあ、そんな感じである。
ルディはもう慣れたもので、それほど考える時間も必要とせず、順番に答えていく。
「魔界について一言で説明するのは難しいな。だが、この国とそれほど違うわけでもない。平和で、人々が穏やかに生活している点は同じだ。サッカーを実際にやるのは確かに初めてだったが、まあ、幼い頃から体を使う訓練はたくさんしてきたからな。その応用だ。で、加奈の家にホームステイするきっかけは……」
ルディが私をちらりと見て『加奈』と呼んだとき、一部の女子がざわついた。小学生の頃はあまり意識しなかったものの、中学一年生ともなると、男子と女子の間には独特の壁のようなものができ、よっぽど仲の良い相手以外は、名前で呼ぶことが少なくなるものだ。
いや、その『よっぽど仲の良い相手』でも、皆にからかわれるのが恥ずかしくて、名前でなく名字で呼んでしまうようになるのが中学生というものである。しかし今、ルディが何のためらいもなく私を名前で呼んだことで、男子と女子の関係について機敏な反応をするタイプの子たちが、あれこれ小声で言いあっているのが聞こえた。
そのざわつきを、不愉快とまではいわないが、ちょっとだけため息が出る。男子が女子を名前で呼んだから、いったい何だと言うんだろう。本人たちは、"そういうこと"に機敏な自分たちを、周りより大人びていると思っているようだが、いちいち"そういうこと"に反応している方が、よっぽど幼稚な気がするんだけど。
まあ、幼稚な噂が好きと言うなら、別に、好きに噂しあっていればいい。無神経に絡んでさえこなければ、こちらから何も言うつもりはなかった……のだが、あろうことか、あの広瀬さんが、幼稚な噂をしている子たちを引っ張るようにして、ルディに直接質問してきたのである。
「ねえ。クーランドくんって、稲葉さんとつきあってるの?」
自分の顔が、カッと赤くなり、体温が上昇するのが分かった。それは、単に恥ずかしかったからではなく、明らかな怒りが心の中に芽生えたからでもあった。
私とは正反対に、ルディは平然としており、いつものくせで、首をかしげて聞き返す。
「『つきあってるの?』とは、また抽象的な問いだな。言葉通りに解釈して、『つきあいがあるのか?』という意味と捉えるならば、加奈は友人であるゆえ、もちろんつきあっていると言えるな」
「そういうことじゃなくってさ。恋愛関係かって……」
私は思い切り椅子を引いて立ち上がった。予想以上に大きな音がして、広瀬さんも、ざわついていた皆も黙り、一斉に私を見る。……昨日までの私なら、その視線に耐えられず、逃げ出していたかもしれない。しかし、今日の私は、間違っても『逃げる』だなんて情けない行動をとる気はなかった。
自分でも、驚くほどの闘志が胸の内から湧き上がってくる。それは今、凄く怒っているせいもあるけど、昨日、ルディに悩みを打ち明けて、弱気になっていた自分を変えるために、戦っていく覚悟が決まったからだろう。
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翌日。学校に行くと、クラスの皆がルディを囲み、昨日は聞ききれなかった質問を次々とぶつけてきた。『マカイってどんな国?』『なんであんなにサッカーが上手いの? 初めてだったんでしょ?』『どういうきっかけで稲葉さんの家にホームステイすることになったの』と、だいたいまあ、そんな感じである。
ルディはもう慣れたもので、それほど考える時間も必要とせず、順番に答えていく。
「魔界について一言で説明するのは難しいな。だが、この国とそれほど違うわけでもない。平和で、人々が穏やかに生活している点は同じだ。サッカーを実際にやるのは確かに初めてだったが、まあ、幼い頃から体を使う訓練はたくさんしてきたからな。その応用だ。で、加奈の家にホームステイするきっかけは……」
ルディが私をちらりと見て『加奈』と呼んだとき、一部の女子がざわついた。小学生の頃はあまり意識しなかったものの、中学一年生ともなると、男子と女子の間には独特の壁のようなものができ、よっぽど仲の良い相手以外は、名前で呼ぶことが少なくなるものだ。
いや、その『よっぽど仲の良い相手』でも、皆にからかわれるのが恥ずかしくて、名前でなく名字で呼んでしまうようになるのが中学生というものである。しかし今、ルディが何のためらいもなく私を名前で呼んだことで、男子と女子の関係について機敏な反応をするタイプの子たちが、あれこれ小声で言いあっているのが聞こえた。
そのざわつきを、不愉快とまではいわないが、ちょっとだけため息が出る。男子が女子を名前で呼んだから、いったい何だと言うんだろう。本人たちは、"そういうこと"に機敏な自分たちを、周りより大人びていると思っているようだが、いちいち"そういうこと"に反応している方が、よっぽど幼稚な気がするんだけど。
まあ、幼稚な噂が好きと言うなら、別に、好きに噂しあっていればいい。無神経に絡んでさえこなければ、こちらから何も言うつもりはなかった……のだが、あろうことか、あの広瀬さんが、幼稚な噂をしている子たちを引っ張るようにして、ルディに直接質問してきたのである。
「ねえ。クーランドくんって、稲葉さんとつきあってるの?」
自分の顔が、カッと赤くなり、体温が上昇するのが分かった。それは、単に恥ずかしかったからではなく、明らかな怒りが心の中に芽生えたからでもあった。
私とは正反対に、ルディは平然としており、いつものくせで、首をかしげて聞き返す。
「『つきあってるの?』とは、また抽象的な問いだな。言葉通りに解釈して、『つきあいがあるのか?』という意味と捉えるならば、加奈は友人であるゆえ、もちろんつきあっていると言えるな」
「そういうことじゃなくってさ。恋愛関係かって……」
私は思い切り椅子を引いて立ち上がった。予想以上に大きな音がして、広瀬さんも、ざわついていた皆も黙り、一斉に私を見る。……昨日までの私なら、その視線に耐えられず、逃げ出していたかもしれない。しかし、今日の私は、間違っても『逃げる』だなんて情けない行動をとる気はなかった。
自分でも、驚くほどの闘志が胸の内から湧き上がってくる。それは今、凄く怒っているせいもあるけど、昨日、ルディに悩みを打ち明けて、弱気になっていた自分を変えるために、戦っていく覚悟が決まったからだろう。
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④魅力ある錬成アイテム
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◾️第3章完結!現在第4章執筆中です。
◾️この小説は小説家になろう、カクヨムでも連載しています。
◾️作者以外による小説の無断転載を禁止しています。
◾️挿絵はなんでも書いちゃうヨギリ酔客様からご寄贈いただいたものです。
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